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2007年12月の14件の記事

2007/12/24

鯨統一郎/浦島太郎の真相

浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス)
浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 (カッパ・ノベルス)

渋谷にある日本酒バー〈森へ抜ける道〉の常連で私立探偵の工藤が抱える難事件を、美人お嬢様大学院生でメルヘンの研究をしている桜川東子(はるこ)が日本のおとぎ話をヒントにして解明していくミステリー短篇集。

以前読んだ『九つの殺人メルヘン』の続編。
物語の前半でバーのマスター・島と工藤、もう一人の常連・山内の3人(名付けて「ヤクドシトリオ」)の無駄知識(トリビア)合戦が展開され、その後工藤の抱える事件が披露されそれを東子がおとぎ話をヒントに隠された犯人の「心のアリバイ」を解いていく…という前作と殆ど同じ趣向。
違っているのは『九つの~』では謎解きに使われるのは外国のおとぎ話(童話)だったのが、今回は日本のおとぎ話(民話)に変わったのと、東子が大学生から大学院生になったこと、工藤が警察を辞めて私立探偵になったこと…くらいかな?

相変わらず前半のトリビア合戦が圧巻。
といっても私の場合、殆ど判るものがなかったけど^^;
(これは年代的なものよりも、小さい頃の私がどれだけ「何も考えていなかったか」「記憶力がなかったか」によると思う…)
その中でちょっとついて行けたのはTV関連(アニメとドラマとお笑い芸人)の話題の部分。
「そういえばそんなのあったなあ」という部分が多くて楽しめた。
でも、たとえ判らなくてもこれだけいろんな固有名詞が次々と繰り出されていくと、読んでいるだけで判ったような気になってしまうのが不思議。

おとぎ話の新解釈の部分は「なるほど」とは思うけど、爆発的に意外性があって「鱗がボロボロ落ちました」というのはなかったかなあ。
ただ「カチカチ山」の真相はかなり納得した。
そうなんだよね、あそこに出てくるウサギはやたらに凶暴なので「なんとなく違和感あるなあ」と感じてはいた。
ただその前に「でも元々はタヌキが悪い」という前提があって「だから仕返しされるのは仕方ない」納得しちゃってた。
また、(多分)「ウサギ」=「善良な第三者」という図式を勝手に作って、だからそんなにひどい登場人物(人じゃないけど)のはずがないと思いこんでいた部分もあるかも。
(あとは、最初のタヌキは自分でおばあさんを叩き殺す(!)けど、ウサギはけっこう頭を使った方法でタヌキを懲らしめるので結果はかなり凶暴だけど手口で誤魔化されていたのかも)
でもその考え方より、この解釈のように「死んで(殺されて)しまったおばあさんの後釜につくことを目論んだ別のタヌキがウサギに化けて最初のタヌキを追い出した」と考えたほうがスムーズな感じがするな。なるほど。
ただ、そうなると気になるのは「誰がこの話を考えたのか」ってこと。
誰か見ていた人がいたんだろうか…。

表題作の他「桃太郎の真相」「カチカチ山の真相」「さるかに合戦の真相」「一寸法師の真相」「舌切り雀の真相」「こぶとり爺さんの真相」「花咲か爺の真相」の8編を収録。


九つの殺人メルヘン (光文社文庫)
九つの殺人メルヘン (光文社文庫)

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浅田次郎/あやし うらめし あなかなし

あやしうらめしあなかなし
あやしうらめしあなかなし

内容(「BOOK」データベースより)
日本特有の神秘的で幻妖な世界で、生者と死者が邂逅するとき、静かに起こる優しい奇蹟。此岸と彼岸を彷徨うものたちの哀しみと幸いを描く極上の奇譚集。名手が紡ぐ、懐かしくも怖ろしい物語。

夢とも現実とも判断できない、ぼんやりとした部分で行き交う生ける者と死す者の邂逅の物語。

いつもの扉を開けたらそこに別の世界が広がっていたとでもいった感じに易々と異世界に踏み込んでしまう導入部とどこに連れて行かれるのかが判らない展開で、読んでいる間は背中がゾクゾクする作品ばかり。
それでいて読み終わって感じるのは恐怖ではなく、憐れみ、懐かしさ、哀しみ、安堵…といった柔らかい感情ばかりであるところが浅田次郎らしい作品集だった。

「赤い絆」「虫篝(むしかがり)」「骨の来歴」「昔の男」「客人(まろうど)」「遠別離」「お狐様の話」の7編を収録。

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2007/12/17

ドラマ:「ガリレオ」最終回

久しぶりに月9を全回通しで見た。(「のだめ~」以来かな)
1話完結、そんなに重くない推理物で笑いの要素もあり、と好きなパターンのドラマだったし、実際つまらなくはなかったんだけど…初回見たときに思ったほど面白くもならなかったなあ、というのが正直な感想。
なんだか最後はただ福山氏の魅力だけで引っ張っていたようにも思える。
(最近、連続ドラマの感想はこのパターンが非常に多い。最初に盛り上げるだけ盛り上げておいてその期待値をクリアできずに尻つぼみに終わる、というのはドラマの宿命なんだろうか?)

特にラスト2回は、2話に分ける必要あったのかさえも疑問。
あまり話として面白くなかったような気がするんだけど。
最後のあの変な機械(爆弾?)とか全然カッコよくないし(というか、あんなデカイものをどうやって運び込んだのだ!?)、暗号の解読のタイムリミットも全然緊迫感がなくてなんとな~くゆる~い感じで終わってしまった、って感じがした。

他にずっと気になっていたのは内海がいつも一人で動き回っていたこと。
警察の捜査って2人で行動するのが基本だったと思うんだけど。
しかも事件について誰にでもペラペラ喋っちゃうし…(まあ、これはミステリーの基本かもしれないけど(笑))。

あと、やっぱり湯川センセはカッコよすぎでしょ。
あんなに男前でスタイルもセンスもよくてスポーツ万能で頭がよかったらちょっとくらい変わっててもご愛敬なのでは?(笑)

主役2人のユニット「KOH+」は文句なしカッコイイと思いました マル

ドラマが終わったら映画(「容疑者Xの献身」)の撮影が始まるらしい。
映画は来年の秋公開予定、とのこと。

ガリレオ(フジTV)
KOH+(公式サイト)

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2007/12/16

鯨統一郎/すべての美人は名探偵である

すべての美人は名探偵である (光文社文庫 く 10-6)
すべての美人は名探偵である (光文社文庫 く 10-6)

内容(「BOOK」データベースより)
歴史学者・早乙女静香は、沖縄への研究旅行中に殺人事件に巻き込まれた。事件には、徳川家の秘密が関係しているようなのだが!?静香は、彼女に憧れる学生・三宅亮太、美人女子大生・桜川東子とともに、沖縄―北海道の同時殺人事件と、童謡に隠された歴史の新事実を探る。変幻自在、鯨ミステリーの集大成。

「邪馬台国はどこですか?」に登場した歴史学者・早乙女静香と、「九つの殺人メルヘン」に登場したお嬢様女子大生・桜川東子(はるこ)の2人がタッグを組んで殺人事件の謎と、それに関連した暗号解明に挑む、という豪華版(?)ミステリー。

旅行先での謎の殺人事件、徳川家の秘密、行方不明の古文書、童謡の歌詞に隠された暗号、謎の信仰団体、幾重にもはりめぐらされたアリバイ崩し、更にはミスコン、入浴シーンなどTVの2時間サスペンスものの要素がこの1冊のなかにギュギュッと詰まっている、といった感じの作品。
相変わらず軽快な語り口で物語がどんどんストレスなく進むので、長編なんだけどサクサク読めた。
その分、後に残るものはあまりなかったけど…(汗)

タイトルは「すべての美人は名探偵」となっているけど、この作品の中で名探偵なのは東子だけだったような気がする。
静香は行動力はあるけど、別に考えたり推理したりはしてないような…。
でも「邪馬台国は~」や「新・世界の~」に出てきたときは、美人を鼻に掛けた勘違いで高飛車の鼻持ちならない女ってイメージしかなかったけど、この作品では裏表のない性格で他人に感謝したり自分の損得は考えずに約束を守ったりするキッチリした面もあることが判ってちょっと印象が変わったかな。
といっても、確かに高飛車な部分はあるし言葉も辛辣だからあまりお友だちになりたいタイプではないけど…^^;

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)
新・世界の七不思議 (創元推理文庫)
新・世界の七不思議 (創元推理文庫)
九つの殺人メルヘン (光文社文庫)
九つの殺人メルヘン (光文社文庫)

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喜国雅彦/本棚探偵の回想

本棚探偵の回想 (双葉文庫 き 15-2)
本棚探偵の回想 (双葉文庫 き 15-2)

「本棚探偵の冒険」に続く、漫画家・喜国雅彦氏による古本エッセイ第2弾。

読み始めたのは随分前(2ヶ月くらい前?)だったけど、読んでる途中で図書館本が何冊か入ってきたため保留にしたまま忘れていた^^;

こちらも1冊目同様、私のような(蒐集するための)古本には何の興味もない人間には「ネタじゃないの?」と思うような内容ばかり。
でも喜国氏の語り口がホントに楽しそうなので(「大変だ」「苦しい」と書いてある部分もあるけど、それはそれで楽しそう(笑))、読んでいるこちらも楽しい気分になってくる。
好きなことを語ることから生まれるパワーを感じる。
でも、読んでいる人にもそれ(ハッピーになること)を伝えられるというのは、書き手の技術や力量があってこそじゃないかな。
私が古本蒐集にハマることはきっとないだろうけど、だからこそ自分の知らない世界をちょっと覗き見させてもらうにはちょうどいい本だと思う。

それにしてもマニアな人というのはマメで几帳面、好奇心旺盛、研究熱心かつ整理整頓好きな人なんだなあ…。
私には(幸か不幸か(笑))既に素質の時点で適性がないってことなのね。

本人以外の話では、最近全集ものやアンソロジーを買うとよく見かける編集者・日下三蔵氏の「お宅拝見」が載っていたのが面白かった。
ここまで家の中が本で浸食されてる状態って…あまり羨ましくないかも^^;
本人はともかく、ご家族の方は大変だ…。

本棚探偵の冒険 (双葉文庫)
本棚探偵の冒険 (双葉文庫)この作品の感想もよかったらどうぞ。
喜国雅彦/本棚探偵の冒険

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2007/12/15

梨木香歩/沼地のある森を抜けて

沼地のある森を抜けて
沼地のある森を抜けて

内容(「BOOK」データベースより)
始まりは「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、呻くのだ。変容し、増殖する命の連鎖。連綿と息づく想い。呪縛を解いて生き抜く力を探る書下ろし長篇。

梨木さんの本は今までに何冊か読んでいるけど、読むたびに意外な感じを受ける。
イメージが一定しない、というか。
最初の頃に読んだ『裏庭』や『西の魔女が死んだ』のイメージが大きくて、そこが基準になっているせいなのかな。

この作品はそんな中でもかなり「意外」な作品。

主人公・久美の家に代々伝わる家宝の「ぬか床」。
独身のまま急死した母方の叔母からマンションとともにそのぬか床を譲り受けた久美の周囲で不思議なことが起こり始める。
それをきっかけに自分の家族や祖先が住んでいた「島」について調べはじめ、ついにはその「島」に渡ることを決意する。
ぬか床を持って渡った島で久美が知った真実とは…。

ぬか床が呻いたり、いつのまにか卵が入っていたり、更にはそこから人(のようなもの)が生まれてきたり…と前半はSFというかホラーの世界。
でも、それを見ている久美はパニックになったりせずかなり冷静に「それ」の存在を観察しているので緊迫感はない。
もちろん多少のストレスはあるんだけど、むしろ彼女は「それ」に共感や懐かしさを感じているように思えた。
(恩田陸の「月の裏側」をちょっと思い出した)

「ぬか床」という家庭料理の基本のような存在のもののなかから、母性や性的なものへの嫌悪、コンプレックス、トラウマが出てくるというのは、「ぬか床」自体が「家」そのもの、また「自分自身」を表現してるってことなのかな。
よくわかんないけど。

後半出てくる暗喩のような「僕」の物語もかなり謎だった。
(もしかして細胞の話なのかなあ、と思ったりしたけど…)

読み始めたらスルスル読めたけど、全体的に「なるほど」な感じは殆どない、でも読後感も悪くないという不思議な物語だった。

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浅田次郎/お腹召しませ

お腹召しませ
お腹召しませ

内容(「BOOK」データベースより)
入婿が藩の公金に手を付けた上、新吉原の女郎を身請けして逐電。お家を保つために御留守居役が出した名案は「腹を切れ」。妻にも娘にも「お腹召しませ」とせっつかれ、あとにひけなくなった又兵衛は(表題作)―二百六十余年の太平で、武士の本義が薄れてきた幕末から維新にかけてを舞台に、名手が描く侍たちの物語。全六篇。

江戸末期を舞台にした時代小説短篇集。
表題作の他、「大手三之御門与力様失踪事件之顛末」、「安藝守様御難事」、「女敵討」、「江戸残念考」、「御鷹狩」の6編を収録。

以前読んだ『五郎治殿御始末』は明治に変わってからの生活や習慣の激変の中でその流れに翻弄されながらも己の矜持を保ち、必死で生きていこうとする「元武士」たちの姿が感動的に描かれていて泣ける作品集だった。
一方この作品はもうちょっと時代が早く、足音は聞こえているのでちょっときな臭いな、と感じつつもまだ制度としての「江戸」の形は残っているので気楽な雰囲気が残っているといった感じ。
本人はすごく困っているんだけど、端から見るとその必死さが可笑しい、といった感じの作品が多かった。

中でも思いがけず大藩の主になってしまった主人公が初めて経験する「斜籠」という謎のしきたりに右往左往する「安藝守様御難事」は、本人の悩みが真剣であればあるだけその悩みよう、慌てようが可笑しかった。
また、そんな彼を笑いながら読んでいる読者もまた徐々に「斜籠」とはなんぞや?という謎に絡め取られていく、といったミステリー的な要素もあり。
ただ、そうやって盛り上がった分、最後の謎解きが今ひとつハッキリしないあいまいな描写で終わってしまったのはちょっと残念。
(まあ、「大人の事情」ってイメージは伝わって来たけど)

肩が凝らずに楽しめて、それでいて読み終わると何か大切なものについて考えさせられる作品集。
物語の冒頭と最後にこの話を書いた人物が出てきて物語の生まれた背景やきっかけ、物語の後日談に触れるという構成も効果的だった。

五郎治殿御始末 (中公文庫)
五郎治殿御始末 (中公文庫)この作品の感想もよかったらどうぞ。
浅田次郎/五郎治殿御始末

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2007/12/13

風邪の治りが遅くなった

月曜の夜から風邪気味。今日で4日目。
以前はちょっと「変だな」と思ったら寝る前に薬のんで首の後ろにホカロン貼って寝れば次の日には治ってたのに、最近は(そんなにひどくはならないけど)咳とかくしゃみとか喉の痛みとか微妙な風邪の症状が1週間くらいダラダラ続くようになってきた。
今回も最初喉が痛くて咳が出て、それが治まってきたら今度は声がかすれて出なくなってきた。(熱はない)
「声が出ない」というのは、本人としては特に身体がツライわけではないんだけど「熱がある」よりも周りに判りやすい現象なので(笑)みんなに「大丈夫~?早く帰ったほうがいいよ」と口々に言われてしまったので、「じゃあお言葉に甘えて」ということで早帰りして病院に行って来た。

診察のあと、熱はそんなになかった(といっても6度8分は私にしてはちょっと高め)けど時期が時期なので念のためインフルエンザの検査もされた。
鼻の穴に長めの綿棒を差し込まれて粘膜を取られた…!痛かった…(泣)それから採血と、ネブライザーでの喉の炎症を抑える薬の吸入。
ネブライザーで吸入するのは初めてだったんだけど、苦い薬が細かい霧状になって口中に広がるし、口にくわえる部分がけっこう大きいし、しかも10分くらいやらされたのでかなり大変。
でも、おかげで終わったら、やる前よりも随分スムーズに声が出るようになっていた。
むせそうになりながら我慢した甲斐があった!

インフルエンザのほうは幸い陰性、白血球も正常値だったので今の症状を抑える薬のみ処方してもらう。
(血液検査で貧血を指摘されたので、ついでに鉄剤も出してもらった。)

それにしても最近、(治りが遅くなっただけでなく)病院に行く機会も増えたなあ…。
トシ取ったってことかしら^^;
食生活や基礎体力をもうちょっと考えないと。

取りあえず今日はサッサと寝ます。
おやすみなさ~い。

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2007/12/11

聞きまつがい

会社にて。

私「この間、『半落ち』やってたの観た?」
同僚「え?何?『半魚人』?」

…。

どんな内容のドラマだ^^;

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2007/12/10

言いまつがい

会社帰りの電車にて。
発車間際のアナウンス。

飛び込み乗車はお止め下さい」

…。

思わずプッと吹き出しそうになったけど周りの乗客は全く無反応だったので一人で笑うわけにもいかず…。
くやしいのでブログネタにしてみました(笑)

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2007/12/09

ドラマ:「半落ち」

ゆうべ、テレビ朝日でやっていたドラマ『半落ち』を見た。
「土曜ワイド劇場」の30周年記念特別企画だったらしい。

出演は渡瀬恒彦、椎名桔平、高島政伸、橋爪功、風吹ジュン、銀粉蝶…などなど、殆どの配役が実績のある有名な役者さんばかりできちんと作ってあるという印象の作品で見応えがあった。
特に番組冒頭、妻を殺してしまった梶(渡瀬恒彦)が縁側で庭に向かって座っているシーン。
妻の丹精した庭を見つめそこにある全て脳裏に刻みながら、それでいて何も写っていないかのような、全ての感情をなくしてしまった梶の眼差しが非常に印象的だった。
※全く見る予定はなかったのに、なんとなくチャンネルを合わせたらこの目にぶつかって結局そのまま見ちゃった、という感じだった。

全体的な感想としては真面目にきちんと作ってあって面白かったし引き込まれたんだけど…ちょっと疑問。
普通、すごく辛いことがあって「生きていたくない」と思うときに、「死にたい」とは言うかもしれないけど、「殺して」ってことはあまり言わないんじゃないかな、と思うのだけど。(こんなことで「普通」とつけるのもどうかと思うけど)
例えば自分では全く身体が動かせないという状態なのだったらともかく、そうでないのに誰かに自分の殺人を依頼するというのが心情的に解せなかった。
しかも梶は警察関係者であるわけだからそうする(させる)ことでどんな立場に立たされるか、その前にその後彼がどういう行動を取るかは妻である彼女には予想出来たと思うんだけどな。
だって「殺して」っていうのは、彼女が正気に戻ったときなんだから。
だったら相手に「殺して」っていう前に自殺に向かう方があり得そうな行動のような気がする。
それとも、そうしたことも考慮できないほどパニック状態だったってことなんだろうか?

原作(横山秀夫氏の同名小説。私は未読)にはちゃんとそのあたりも描かれているのかな。
映画化作品は以前TVで放映されたときに一度見てる(ので内容はだいたい判ってた)けど、そのへんがどうなっていたかは(あまり気にしていなかったとみえて)全く記憶がない…。

あと、中尾(東ミッキーが演じてた新聞記者)が途中で急にいなくなってしまったのもちょっと不可解。
あそこまで行ったら意地でもウラを取るための取材をするのでは?と思うんだけど。(仕事として成立しないとしても)

他には県警本部ってこんなにキレイなの?とか、きっぺいちゃんカッコいい!とか、銀粉蝶さんっていい人なんだか怖い人なんだか謎とか、いっけいさんってこういう役多いなあとか、「SP」始まるまでに終わるのかな~とか。
そしてなにより目撃証言をした売店のおばちゃんのその後が気になるドラマでした(笑)

土曜ワイド劇場
※「半落ち」の紹介ページはこちら

半落ち (講談社文庫)
半落ち (講談社文庫)
半落ち
半落ち

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2007/12/05

「このミステリーがすごい!2008年版」

このミステリーがすごい! 2008年版
このミステリーがすごい! 2008年版

昨日久しぶりに(2週間ぶりくらい?)本屋に寄ったら、真っ赤な表紙の「このミス 2008年度版」が平積みになっていたので思わず購入してしまった。

今回の「このミス」は刊行20周年記念号らしい。
ベストテンの発表の他に、「人気作家59人による特別エッセイ」なんて企画や、海堂尊の書き下ろし短篇(田口・白鳥コンビが登場するらしい)、座談会など盛りだくさんな内容。
にも関わらずお値段は特別価格の500円(税込み)!安い!
しばらく楽しめそうです。わ~い♪

それにしても。
ベスト10に既に読んだ本が入っているとは最初から思ってなかったけど、多少は「知っている」「聞いたことはある」のがいくつかは入っているかと思っていたのに、見てみたら殆ど知らない作品だった…^^;
しかも「名前しか知らない」ではなく、「名前さえも知らない」という状況は(一応)本好きとしてはどうなのよ、と。
確かに最近ハードカバーの新刊コーナーもあまり行かないし、書評系の雑誌やサイトもちゃんと見ていなかったなあ…。
「このミス」に選ばれるのは新刊だから今後も発表までに読んでいる可能性は低いと思うけど(ハードカバーは買う気がない(笑))、せめてタイトルくらいは押さえておきましょう>自分。

ちなみにベスト3は
1位:警官の血(上下)/佐々木譲
2位:赤朽葉家の伝説/桜庭一樹
3位:女王国の城/有栖川有栖
でした。

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2007/12/02

文学賞メッタ斬り!~受賞作はありません編~

文学賞メッタ斬り! 2007年版 受賞作はありません編 (2007)
文学賞メッタ斬り! 2007年版 受賞作はありません編 (2007)

大森・豊崎コンビの「メッタ斬り!」シリーズ第3弾。
今まで同様、過去1年の文学賞受賞作やその文学賞の審査員、または文学賞自体の存在に対する忌憚のない辛口コメント満載で面白かった。

でもやっぱりこういう本を読んでいて思うのは「本の感想って結局個人の趣味の部分に帰結してしまうのでは?」ということ。
いくらお二人が「この作品はそうじゃなくて!」って言ったとしても、感覚的にそれに同調できない人ってたくさんいると思うんだよねえ。
何といっても最終的に受け取る読者自体がそれぞれの価値観でもって作品を選んでいるわけだし。

だとしたらこの本が版を重ねそれなりの権威というか「意味」を持ってしまうことで、(レベルの差はあると思うけど)両氏が批判する各賞の審査員コメントと同じスタンスになってしまうことにならないのだろうか。
自らが否定しているところに近づいていっているという気がする。
(もちろん、その辺りも充分理解した上で両氏も論を展開しているのだろうとは思うけれど)
とはいえ、これだけ内輪話が入っているとすれば、本好きでもかなり限られた人しか読まないと思うから別にそれはそれでいいのかもしれないけど(笑)

ところで今回から表紙に「~年度版」の文字が…。
毎年恒例になっていくのでありましょうか?
もし今後年度版として継続出版するのであれば、今の装丁じゃなくてもうちょっと手に取りやすい廉価版にしたほうがいいと思う。
(たとえば「このミス」みたいな感じ。値段も出来れば800円くらい高くても1000円以内にして欲しい)
今の作り、値段ってけっこう微妙で、でもだからこそ読む人を限定してしまう部分があるんじゃないかな。
私も自分で本屋で買おうって気には今ひとつならなくてつい図書館を利用してしまう。
でもそうすると出版されて半年くらい経たないと手元に来ないので、なんかちょっと時期はずれな感じが…。
1000円以下だったら雑誌感覚ですぐに買えると思うので考えてくれると嬉しい。
手に取りやすくなって、「何となく面白そうだから買ってみようかな」的な読者が増えればまた違った反響も期待できるんじゃないだろうか。
出来上がるまでには手間も暇も時間も掛かっているんだろうからなかなか値段を下げるのは難しいかもしれないけど、是非検討して欲しい。

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2007/12/01

手編み:透かし編みのストール

先週毛糸が足りなくなって中断していたストールがようやく編み上がりました。
stole_fin1
 前回編み残したのは縁編みだけだったのですが、長さを長くした分縁編みだけでもかなりの分量、しかも本に載っている編み方が何となく気に入らなかったので途中まで編んだのをほどいて他の編み方を考えながら編んだため思った以上に時間が掛かりました。
しかも、出来上がってみたらけっこう重い!
下の写真のように広げて肩に掛ければそうでもないですが、まとめて首に巻くとかなりズッシリきます^^;
やっぱりこの長さ(約160cm)にするにはモヘアのようなもっと軽い糸じゃないとダメだったかな。

stole_fin2

見た目はちょっと難しそうですが、編み方(技法)自体は長編みと鎖編みしか使われていないので簡単といえば簡単です。
ただ8段ひと模様でその段ごとに模様の状態が違うので各段の編み方を覚えるのにかなり時間が掛かったし、覚えてからもかなりの頻度で間違えました。
しかも間違えたことに気付きにくいというのも頭痛のタネで、次の段で間違えたところまで編んで取るべき目が見当たらないのでようやく気付いてそこまで(約2段分)ほどいて編み直し、というのを何度もやってました。
そこまでやっても縁編みをしていたら「え、なんでここ、こんな状態になってるの?」という部分が何ヶ所かありましたが…(汗)
まあ、出来上がっただけでもヨシとしましょう。

使用糸:ハマナカ 純毛中細(40g)×6個半(本では5個で作ってあります)
使用針:3号かぎ針
参考書籍:

素敵なかぎ針編み
素敵なかぎ針編み

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