奥田英朗/空中ブランコ
内容(「BOOK」データベースより)
人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?怪作『イン・ザ・プール』から二年。トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。
伊良部シリーズ第2弾。
文庫になっていたので早速購入。
面白かった~♪
相変わらずハチャメチャな行動のくせに、ちゃんと患者の心に入り込み自分を見つめさせて回復に持っていってしまう伊良部…もしかして名医?(笑)
まあ、真剣に悩んで病院の門を潜る患者にしてみれば「なんだ、このふざけた医者は!」って思うだろうし、伊良部本人にしても真面目に治療しているというより「自分がやりたいからやってる」ってことなんだろうけど。
でも、その患者が一番必要としているものを敏感に感じ取り、そこに向かって一直線な部分とか、自分も一緒になって楽しむところ、何に対しても手を抜かない、何があっても誰か(特に患者)のせいにしない、なんてところはけっこう「アリ」なんじゃないかなあ、なんて思うんだけどどうだろう。
それぞれ50ページほどの短篇なので、非常に読みやすく書かれているのにきちんと話が完結していて満足感も高い作品集。
物語の作り方や人物設定が本当に上手い。
登場人物(患者)がみんなちょっと特殊な職業(サーカスの空中ブランコ乗り、暴力団の若頭、大学病院勤務の医師、プロ野球選手、流行作家)なのが気になるけど、自分とは違う立場の人の話だから却って笑って読める部分があるのかな。
作家が主役の「女流作家」のラストはちょっと感動的だったけど、あそこであの人物にあのセリフを言わせちゃうなら、伊良部はいらないんじゃ…?とちょっと思った。
(それを素直に聞けるような心理状態にしたのは伊良部だったのかもしれないけど)
でも、そのあとのマユミの(意外な(笑))行動はとてもよかった。
何だかんだ言ってもベストなコンビなのかも。
表題作他「ハリネズミ」「義父のカツラ」「ホットコーナー」「女流作家」の5編を収録。
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コメント
あ、これ只今申し込み中です。
来ても読むのかなぁ > 自分
投稿: 涼 | 2008/01/27 13:42
■涼さん
こんにちは。
こっちは面白かったですよ。
短篇なのでサクサク読めましたし…大丈夫なんじゃないかなあ?(笑)
コメントありがとうございました。
投稿: tako | 2008/01/28 22:21
こんばんは。
はい、読み出したら一気に読めました。面白かったです。私はマユミの言葉が以外ではなかったです。こう来ると思っていました。
トラックバックさせていただきました。
投稿: 涼 | 2008/02/15 21:12
お早うございます。
たびたび、すみません。
私はマユミの言葉が以外ではなかったです。→「意外では」の間違いです m(_ _)m
投稿: 涼 | 2008/02/16 08:50
■涼さん
こんにちは。
コメント&TBありがとうございました。
>読み出したら一気
>面白かった
よかったです~♪って、私が書いたわけでもないですが(笑)
>こう来ると思っていました
私は伊良部の言動に惑わされ過ぎかな…^^;
確かに後から考えてみれば「ベタな」展開ではありますよね。
投稿: tako | 2008/02/17 11:43