江國香織/間宮兄弟
内容(「BOOK」データベースより)
だって間宮兄弟を見てごらんよ。いまだに一緒に遊んでるじゃん。“そもそも範疇外、ありえない”男たちをめぐる、江国香織の最新恋愛小説。
江國香織さんの作品はちょっと苦手意識があって殆ど読んだことがない。
(確か「すいかの匂い」だけしか読んでないと思う)
なんかこう、繊細で傷つきやすいのに敢えて傷つく言動に出てしまうような、メンドクサイ人がたくさん出てきそう…じゃない?
違うかな?(笑)でも、私の中ではそういうイメージがあって読んでいるとイライラしそうだったのと、もともと基本的に「恋愛」がメインテーマの小説って苦手なので「読まなくていいや」分類の作家さんだった。
でも、この作品は恋愛ものというよりも家族ものみたいな感じがしたし、文庫だったら失敗してもいいかと思って買って読んでみたら…面白かった!
都内のマンションに2人だけで暮らす明信と徹信。
決して若いとは言えないけど2人とも思い込みが激しく、人付き合いがヘタ、しかも外見もイマイチなので今まで女性と付き合ったことがない。
そんな2人が女性を招いてカレー・パーティーを開くことに…という導入部から始まる兄弟とそれを取り巻く人々の物語。
何かが起こりそうで揺れ動くんだけど、結局何も起こらないまま終わっていく緩やかな、穏やかな話の展開がいい。
私は何が起こるのか、どう決着したのかがハッキリしない物語ってあまり好きじゃないんだけど、このお話はその曖昧さがポイント。
別にどうでもいい2人の暮らしの中のこだわりとか、決まりとか、習慣、家族への愛情を丁寧に描くことで、少しずつ兄弟に愛着が沸いてくる。
「いい年して一緒に住んでるなんてなんか変」と思えた兄弟の暮らしがどんどん豊かで羨ましいものに思えてくる。
ただ、「穏やかで緩やか」だと思うのは、端から見てる傍観者の勝手な感想であって、兄弟本人にしてみればその間にも嵐のような葛藤や苦悩があるんだろうなあ。
そうしてそうやって葛藤し、苦悩した分、それを知らなかったときとは確実に「何か」が変わっている。
そんな明信の心の叫び。
会社の入っているビルを見上げ明信はため息をついた。そして、世間にはややこしい恋愛沙汰がごろごろしているらしいのに、なぜ自分の身にだけ起きないのだろうと考えてしまった。起きないのに、厄介なとばっとりだけは被るのだ。
ちなみにこの「とばっちり」を与えている人々はすご~くデリカシーに欠けていて私は苦手だった。
明信と徹信は他人に対して繊細すぎるんだよね、きっと。
人と人の関係なんて「誤解」で成り立ってるようなものなのに、2人はきちんと理解した上でないと成立しない、と思ってる。
だから臆病で、慎重で、不器用なんだ。
この作品は'06年に映画化されている。
その映画自体は見ていないけど、明信が佐々木蔵之介、徹信が塚地武雅がキャスティングされていたのは知っていた。
なので小説を読んでいる間も兄弟はその2人の姿だった(笑)
2人ともイメージにピッタリ!(特に塚ちゃん!蔵之介はちょっとカッコよすぎかも?)
映画も見てみようかなと思って、読み終わってから他のキャストをチェックしてみたけど、2人以外はあまりピンと来なかった。
う~ん、どうしようかな。
■「間宮兄弟」公式サイト
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