海堂尊/ナイチンゲールの沈黙
内容(「BOOK」データベースより)
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。
田口・白鳥シリーズ(でいいの?)2作目。
1作目(「チーム・バチスタの栄光」)がかなり面白かったので期待して読んだんだけどテンテンテン、な感じ。
読み終わってからAmazonの書評など見てみたら、やはりかなり低評価なようで…^^;
とにかく、長すぎ。
全部で400ページ強の作品だけど、こんなにページ数使う必要なかったのでは?
少なくても100ページは減らせそうな気がする。
特に事件が起きるまでの前フリが長かった。
たくさんの人物が入り乱れ彼らの人物紹介とか細かい描写が続くけど、それが物語の中でどんな役割を担うのか、そしてこの物語の核心は何なのかが読んでも読んでもなかなか判らないことにかなりイラついた。
それに一つのこと、同じことを何度も、しかもくどいほど丁寧に描きすぎている気がした。
登場人物や組織への別名(渾名)付けも鬱陶しかった。
普通、人やグループや組織に渾名付けることってそんなにないんじゃないの?
それとも病院組織というのはそういう慣習があるんだろうか?
しかも肝心のネーミングのセンスも「どうなのよ」って感じだし…。
またちょっとした言葉(多分その現場では普通に使われている言葉なんだろうけど決して「一般的」ではない)が何の説明もなく文章にポンと放り出されているのもあまり親切ではないと思う。
ただ、こうしたことは、前作でも入っていたことなんだよね。
でもその時は物語の流れのなかですごくスムーズに処理出来ていて、全然気にならなかった。
それが今回はいちいち引っ掛かる感じ。
全体のテンポが悪い、ということはこうした部分にも悪影響を及ぼしてしまうものなんだね。
後半、前作で強烈な印象を残した白鳥が登場してからは多少ペースアップして読みやすくなったけど、彼のキャラクターもちょっと薄くなってしまったような…。
(やはり初登場の印象には勝てないということか。あるいは「似たもの同士」の加納とのぶつかり合いで相殺されてしまったのかも)
少々人数が多すぎたきらいはあるもののキャラクター設定とセリフは今回も楽しめる部分が多かった。
もうちょっと人数とエピソードを絞ってコンパクトに仕上げた方がよかったと思う。
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コメント
おひさしぶりです。
今、コメントを入力してたらいきなり画面が真っ白に!
びっくりしました。
で、この本ですが、私も同じような感想をもちました。
???って感じかな。
一作目があんなに素晴らしかったのにどうしちゃったの?
って。
でも、「ジェネラルルージュの凱旋」を読むと
また印象が変わるかもしれません。
この二つの作品は対になってるので、
ナイチンゲールで「??」だったところが
「あ~、そうだったのか」に変わるかも、です。
感想文を残してないのであてにならない記憶なんですけどね。
ここのところやたら寒いです。
私はちょっと風邪っぽいです。
たこさんもお気をつけあれ~~。
投稿: shirokko | 2008/01/20 17:45
■shirokkoさん
こんにちは。ご無沙汰しています。
>一作目があんなに素晴らしかったのに
ですよね~。
期待しすぎ(されすぎ)ってことなんでしょうか?
けっこう次々と作品を発表しているようだったので順調なのかと思っていたら、この内容とは…。
>「ジェネラルルージュの凱旋」を読むとまた印象が変わる
>この二つの作品は対になってる
なるほど。
「ナイチンゲール~」でちょっと評価下がってしまったので次読もうかどうか迷っていたのですが、そういうことなら「ジェネラル~」も読んでみますね。
(といっても図書館頼りなのでちょっと時間がかかりそうですが^^;)
あれ?ってことは、白鳥・田口ペアはこの期間にもう一つの謎解きもしてるってことなんでしょうか?
東京も先週はかなり寒かったです^^;(今日はちょっとマシでした)
去年の末に2回も風邪引いて病院に行ったので、もうこれ以上はひかないように注意してます。
shirokkoさんも温かくしてお過ごし下さいね。
お大事に。
投稿: tako | 2008/01/21 22:38
>白鳥・田口ペアはこの期間にもう一つの謎解きもしてるってことなんでしょうか?
そうです、多分。。。。
あー、かなり記憶がおぼろげで。
でも「ナイチンゲール」と「ジェネラルルージュ」は
同時進行だったような。
海堂さんの作品はあと「螺鈿迷宮」を読んでますが、
それにも前三作で知った名前が出てきます。
なので、そういう楽しみ方も出来ますよ~。
私は今「ブラックペアン」を図書館で予約中。
果たしていつになるのやら。
投稿: しろっこ | 2008/01/23 16:14
■しろっこさん
こんにちは。
わざわざお返事ありがとうございます。
この間のコメントを頂いてすぐに図書館で「ジェネラル~」予約しました。楽しみです。
といっても現在45人待ちなのでまだ読めるのはしばらく先になりそうですが^^;
新書で出た「死因不明社会」は買ったのですが(小説ではありません)、まだ手つかずです。
副題が「Aiが拓く新しい医療」ってことなんで「ナイチンゲール~」で出てきたあの「Ai」についての内容なんでしょうね。
難しそう…^^;
投稿: tako | 2008/01/28 22:11