祝康成/真相はこれだ!-不可思議8大事件の核心を撃つ
内容(「MARC」データベースより)
美智子皇后を失語症に追い込んだのは誰か、3億円事件で誤認逮捕された男の「悲劇」、猪木・アリ戦に「向けられていた銃口」など、今こそ話せる重大証言続出! 『週刊新潮』連載「置き去り20世紀の奇談」を加筆修正。
事件の後追い記事を読むのはわりと好き。
その事件の渦中では見えなかった、語られなかった本音や真実が見える場合が多いし、またその当時の事件そのものを忘れている(または知らなかった)場合もあって興味深い。
この本は2001年に週刊新潮誌面に「置き去り20世紀の奇談」というタイトルで掲載された連載作品に加筆したものらしい。
「週刊新潮」というと電車の中吊り広告の見出しだけで"お腹いっぱい"になってしまうので殆ど本誌を読んだことがないけど^^;、これは丁寧な取材の結果が落ち着いた、判りやすい文章で書かれていて非常に読みやすかった。
取り上げてある題材も「美智子皇后の『失語症』」「3億円事件」「美空ひばりvsNHK」「丸山ワクチン」など有名な人物、事件が殆どなので飽きずに読むことが出来た。
この中で一番衝撃的だったのは昭和43年に実施された日本初の心臓移植手術の舞台裏。
心臓外科の権威と呼ばれた札幌医科大の和田教授により海水浴中に溺れてなくなった大学生の心臓を、18歳の心臓病患者に移植する手術が実施される。
しかし、実はドナーの大学生は実は(重体ではあったが)生きていたし、患者の心臓は移植するほどの重病ではなかった…という内容。
密室で行われたことだし、実際問題として起訴されなかったようなので本当に事件性があったのかどうかは謎だけど、事実だとしたらかなり怖い話。
こういうのを読むと『事実は小説より~』という言葉は単なる比喩ではないんだなあ、と実感する。
他には先日発生した自衛隊のイージス艦「あたご」の事故以来、ニュースで耳にすることの多くなった「なだしお」の事件について書いてある章がタイムリーで興味深く読んだ。
それにしても、「強大な権力や組織の前では個人の尊厳、権利、更には「生」でさえ何の力もない」と思わせられる事件がなんて多いこと!
こうやって好き勝手に本を読んだり、文章を書いたり、寝たり、食べたり…とフツーに生活出来ることは、本当はすごく特別なことなのかも。
いつ何時、この生活が覆ってもおかしくない危険性を誰もが持っているのかもしれない。
…だからといって、そうならないように防ぐ手段も思いつかないけど。
本の内容は面白かったけど、読んでいて憂鬱な気分になってしまった。
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