有栖川有栖/モロッコ水晶の謎
内容(「BOOK」データベースより)
推理作家・有栖川有栖の眼前で起きた毒殺事件に、臨床犯罪学者・火村英生が超絶論理で挑む表題作ほか、クリスティの名作「ABC殺人事件」をモチーフに書かれた、連続挑戦予告殺人を追う「ABCキラー」、誘拐殺人の陰に潜む悲劇を描く「助教授の身代金」など、研ぎ澄まされた論理が光る有栖川本格全4編を収録。
「国名シリーズ」8作目。
表題作を始めとして「助教授の身代金」「ABCキラー」「推理合戦」の4編を収録。
面白かった。
ストーリーがどうというよりまず手法が安定していて、事実の確認、伏線の張りかた、当事者、関係者の発言の提示など読者に対して誠実であることろがいい。
その上で、ストーリーがあり、キャラクターがあり、の積み重ね。
推理小説の王道って感じで安心して読んでいられる。
そして何よりも文章の巧さ。
「モロッコ水晶~」の謎解きについては正直ちょっと「う~ん…」と思わないでもなかったけど、あそこまで話を引っ張って盛り上げる、そしてその難しい結末にも説得力を持たせるだけの小さな伏線の積み重ねは素晴らしいと思う。
でも、実は私が一番好きだったのは全部で7ページしかない「推理合戦」。
わりとヘビイな中編の間に、こういう何気ない謎が、サラリと書いてあるのってセンスいいなあ、と思う。
これは新刊で平積みされていたのでつい買ってしまったけど、表紙の折り返しの作品リストを見たら「国名シリーズ」でまだ読んでいないのもたくさんあった。
これから遡って読んでみようかな。
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コメント
お早うございます。
これ、新刊なんですね。有栖川さんは、徹也が持っていた本を何冊か読みました。国名シリーズもあります。
先日は、「この情報を登録する」にチェックを入れ忘れたまま投稿してしまい、失礼しました。
投稿: 涼 | 2008/03/20 10:34
■涼さん
こんにちは。
>これ、新刊なんですね。
正しくは「新刊文庫」ですね。
国名シリーズは文庫棚でもズラッと並んでいるのに今まであまり食指が動かなかったのですが、新刊文庫の平積みに弱いので(笑)ついフラフラと…。
読みやすいし、ハズレがないのでやっぱりいいですね>有栖川作品。
コメントありがとうございました[♪]
※前回のコメントの件はお気になさらずに。
※こちらで編集してお名前入れさせていただきますね。
投稿: tako | 2008/03/20 17:19