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2008/04/20

原作:秋本治/小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所

小説こちら葛飾区亀有公園前派出所
小説こちら葛飾区亀有公園前派出所 

KOROPPYさんの感想文を読んで「面白そう!」と思ったので、図書館で借りて読んでみました。

期待通り、面白かった!

こういうパロディ的な作品というのは、元の作品を知っていれば知っているほど楽しめる、というのは周知の事実。
ところが、私は『こち亀』は昔、弟がジャンプを読んでいた時に雑誌で読んだことがあるので登場人物や作品の雰囲気は判る、という程度の知識しかないし、作品を提供している作家さんの作品(シリーズ)も、全部を知っているわけではない…というちょっと残念な状況^^;
でも!これはそれでもかなり楽しめるハイレベルな作品集だった。

やはりポイントは作家たちの実力。
全て30~40ページ前後の短篇だけど、その中で自分のキャラと『こち亀』登場人物の出会いに始まり、ちょっとした事件を経て結末に至るまでの物語がきちんと『こち亀』のキャラクターも自分の作品のキャラクターも活かしながら展開していく。
ただ単に他の作品のキャラクターを登場させました、というだけでなく、それ自体一つのエンターテイメント作品としてちゃんと成立しているのは「さすがプロ!」という感じ。
そして、そんなプロの作品としての見事さと同時に、「一『こち亀』ファン」としての遊び心や思い入れ、尊敬の念もそれぞれにたっぷり入っていて読んでいるこちらまで嬉しくなってくる作品ばかりだった。

でも、やっぱり一番すごいのは、どんな作家の作品の中に入っても全然ブレることのない『こち亀』キャラたちのアクの強さかも(笑)
どれを読んでも、全く同じイメージの人物像が出てくるのは凄いと思う。
さすが連載開始以来30年(!)も休むことなく描き続けられ、愛され続けた作品だけのことはある。

以下、執筆作家と作品名。
大沢在昌「幼なじみ」、石田衣良「池袋⇔亀有エクスプレス」、今野敏「キング・タイガー」、柴田よしき「一杯の賭け蕎麦-花咲慎一郎、両津勘吉に遭遇す-」、京極夏彦「ぬらりひょんの褌」、逢坂剛「決闘、二対三!の巻」、東野圭吾「目指せ乱歩賞!」。

定年退職後、趣味でプラモデル作りを始めた元刑事が、プラモデル屋に飾ってあった作品を見て作者の両さんに憧れ、それに負けない作品を作ろうと奮闘する「キング・タイガー」が一番好きだったな。
両さんの登場のさせ方が印象的で巧かった。
でも、この2人、刑事の在職中に出会っていたら、こんな関係には絶対ならなかったんじゃなかと思う。
人と人の出会いってやっぱりタイミングも重要だよね。

その他では大原部長と寺井の会話でストーリーが進み、結局両さんは作品に登場しない「ぬらりひょんの褌」や、江戸川乱歩賞(というか文学賞全て?)の選考に対するパロディ(というか問題提起というか…(笑))になっている「目指せ乱歩賞!」が面白かった。

各作品に数点ずつ挿入された秋本氏の描きおろしイラストもよかった。
特に「池袋⇔亀有エクスプレス」の

キャメルのトレンチコートに、グレイフラノのボルサリーノ。目には何年か前に流行ったティアドロップ型のレイバンのサングラス

という両さんが必見!
(衣良さん、遊びすぎです(笑))

こちら葛飾区亀有公園前派出所 159巻 (159) (ジャンプコミックス)
こちら葛飾区亀有公園前派出所 159巻 (159) (ジャンプコミックス)


 

前述のKOROPPYさんのエントリーにトラックバックさせて頂きました。

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コメント

まずはコメントが遅れて済みませんでした。

トラバもせっかく頂いたのに、うまく届いていなかったので、
遅ればせながらこちらでつなげさせていただきました。
頼むよ、ココログ~(;>_<;)

私の記事から読んでいただけただなんて、すごく嬉しいです。

>全部を知っているわけではない…というちょっと残念な状況^^;
私も同じくです~。
そういう、コアファンではない人でも楽しめちゃう上手さが、
この本はありますよね。
逆にここから、オリジナルのシリーズに手を出す人が現れそうな。

こういう企画、またやってほしいですね♪

投稿: KOROPPY | 2008/04/21 10:25

■KOROPPYさん
こんにちは!

>コメントが遅れて

いやいやいや…私の方こそトラックバックを送りっぱなしで失礼しました。
しかも、届いてなかったとは…(T_T)お手数掛けてごめんなさい^^;

作品のほう、楽しかったです!
音楽などではカバーとかコラボ作品とかよくありますよね。
私はそういった、オリジナルじゃないところから見える意外性というのがすごく好きなので、小説なのにそうした楽しみ方が出来たこの作品は大ヒットでした(^^)

>こういう企画、またやってほしいですね♪

ですね~♪また何か見つけたら教えてくださいね。

KOROPPYさんの感想は表現が冷静で的確だし、私はあまり手を出さない分野の本もたくさん読んでいらっしゃるのでいつも更新が楽しみです。
これからも参考にさせて頂きますので宜しくお願いします(^^)

投稿: tako | 2008/04/21 20:41

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『週刊プレイボーイ』で連載された『「こち亀」ミステリー』を、加筆・修正したもの。 単なるノベライズのような作品かと思って、読んでいなかったこの本。 その後、評判を聞いて興味を持ち、探してみました。 評判に違わぬ、面白い作品でした。 まずは、執筆陣が豪華です。 大沢在昌なら『新宿鮫』。 石田衣良なら『池袋ウエストゲートパーク』。 柴田よしきなら"花咲慎一郎"シリーズ。 というように、自らのキャラクターを使って描かれる、両さんらとのエピソード。 両方の世界を知っていると、二倍楽しめます。 自らのキャラク... [続きを読む]

受信: 2009/05/30 15:59

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