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2008/05/18

西澤保彦/スコッチ・ゲーム

スコッチ・ゲーム (角川文庫)
スコッチ・ゲーム (角川文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
通称タックこと匠千暁、ボアン先輩こと辺見祐輔、タカチこと高瀬千帆、ウサコこと羽迫由起子、ご存じキャンパス四人組。彼らが安槻大学に入学する二年前の出来事。郷里の高校卒業を控えたタカチが寮に帰るとルームメイトが殺されていた。容疑者は奇妙なアリバイを主張する。犯行時刻に不審な人物とすれ違った。ウイスキイの瓶を携え、強烈にアルコールの匂いを放っていた。つけていくと、河原でウイスキイの中身を捨て、川の水ですすいでから空き瓶を捨て去った、と…。タックたちは二年前の事件の謎を解き、犯人を指名するため、タカチの郷里へと飛んだ。長編本格推理。

今回は長編。
タカチこと高瀬千帆が故郷から遠く離れた安槻大学に入る(つまりタックやボンちゃん、ウサコたちと知り合う)きっかけになった、連続殺人事件の真相を探る物語。

お、重い…。
事件の内容も重いけど、解明された真実も動機もあまりにも重くて救いがない。

こんな事件の当事者(というか中心にいる人物)になってしまったとしたら、タカチがあんなにエキセントリックな性格なのも理解できる。
でも、タカチがあんななのは「この事件があったから」ではないんだよね。
逆にその前のほうが大学時代よりも更に(性格的には)過激だった印象。
その原因についても物語の中で言及されていたりはするんだけど、ちゃんと納得出来る回答は出てこなかったな。
どっちにしても「面倒くさい性格の人だなあ」という印象は変わらなかったけど(笑)

文章は簡潔で読みやすかったけど、人間関係が入り乱れていてしかもその間に事件とは直接関係のないタカチや他の登場人物たちの心情や考察が入ってくるので事件の動きを理解するのが難しかった。
しかも事実の提示方法(順番とか、タイミングとか)にちょっと違和感あり。
例えば、上のあらすじで書いてあるアリバイは同じことが小説の裏表紙に書いてあるんだけど、これが作品の中で明らかにされるのはかなり物語が進んでから、解決編の直前くらいなのだ。
あらすじを書くのは作家本人ではないんだろうけど…なんだかちょっと変な感じがした。

キャラクターの描き方は巧い。
ただ、あまりに巧すぎて誰がメインで誰が脇役なのかを判断するのが難しい、とか話が妙に長い(直接事件と関係ない話が多い)という難はあり。
私としてはその「関係ない部分」のほうが(今回も)面白かったので、個人的にはいいんだけど、ミステリーとして読んだ場合はどうなんだろう?

特にタカチやタックたちの関係性の築きかたについての考察はなかなか考えさせられるところが多かった。
ボンちゃん(ボアン先輩)みたいな人が実際にいたら救われる人ってたくさんいるんじゃないかな。
でも、もしかしたらその真意に気付かずに、単に「しつこい人」「空気が読めない人」と判断されてしまう可能性もなきにしもあらずかも…。
人間関係って難しい(というか面倒くさい^^;)。

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