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2008/06/16

金城一紀/映画編

映画篇
映画篇

出版社 / 著者からの内容紹介
物語の力が弾ける傑作!!
笑いと感動で胸が温かくなる傑作ぞろいの作品集。『ローマの休日』『太陽がいっぱい』など不朽の名作をモチーフに、映画がきっかけで出会った人々の友情や愛を描く。

映画をモチーフに、といってもその映画そのものをなぞるわけではなく、エピソードの一つとして使われているといった感じ。
いや、私が気が付いていないだけでもっと深くシンクロしているという可能性もあるか…^^;
でも、そういう知識がなくても気持ちよく楽しめる短篇集。
最初ちょっと重めな話で始まるので「ずっとこの雰囲気なのかな~?」と不安になったけど、だんだん柔らかで暖かな内容になってきたので安心して読めた。

特に愛する夫を亡くして元気がなくなった祖母を元気づけるために孫たちが2人の思いでの映画を上映する計画を立てる「愛の泉」がとてもよかった。
おばあちゃんの思い出話、個性的な孫たちそれぞれの生活と関係、そして中心人物(孫の1人)哲也の生活と恋の物語などいくつものストーリィが短い物語の中にきちんと収まっていて読み応えがあった。

昔自分の家族を殺した仇敵に立ち向かっていくパンチパーマで5等身のおばちゃんと両親が離婚しそうな小学生の男の子の1日だけの友情を描いた「ペイルライダー」も面白かった。

この作品で哲也たちが区民会館で無料上映する「ローマの休日」が全編に共通して出てきて、それぞれの登場人物たちが(そうとは知らずに)その上映会に集まってくるという設定が効果的。
映画という媒体の持つパワーを感じさせてくれる作品だった。

「太陽がいっぱい」「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニー もしくは トゥルー・ロマンス」「ペイルライダー」「愛の泉」の5編を収録。

「この世界は見えないシーソーみたいなものでさ、悪いほうに傾き過ぎたりすると、浜石教授みたいな人がそれに気づいてもう片っぽのほうに乗っかってくれるから、なんとかバランスを取れてるんだよね。わたしももっとがんばって、いつかちゃんとしたほうに乗っかれる人になりたいな」(「愛の泉」p342より)

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