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2008/08/03

田中啓文/落下する緑

落下する緑 (創元推理文庫 M た 6-1 永見緋太郎の事件簿)
落下する緑 (創元推理文庫 M た 6-1 永見緋太郎の事件簿)

内容(「MARC」データベースより)
連綿と受け継がれたクラリネットの秘密、消えたトランペット奏者の行方…。孤高の天才サックス奏者・永見緋太郎の活躍を描く、本格ミステリ連作集。『ミステリーズ!』連載に、幻のデビュー作と書き下ろしを加えて単行本化。

プロのジャズバンドでアルトサックスを担当する青年・永見緋太郎が行く先々でぶつかる不思議な事件を、その直感力と洞察力で解決していく連作短篇集。
表題作他「揺れる黄色」「反転する黒」「遊泳する青」「挑発する赤」「虚言するピンク」「砕け散る褐色」の7編を収録。

ジャズをメインテーマとしたミステリーという珍しい作品集。
著者自身ジャズバンドに参加するほどのジャズ好きということで、「付け焼き刃的でない」と門外漢にも伺い知ることが出来る丁寧で突っ込んだ描写が随所に見られた。
内容によっては正直、「どんな状況なのかよく判りません」という部分もあったけど、読者に向けた安易に判りやすい書き方ではなくその世界特有の言葉を使ったことで世界観をストレートに表現出来ていたと思う。

探偵役の永見は上記の紹介文で書いてあるような『孤高のサックス奏者』というイメージではなく、ジャズ以外には興味がなくて、一般常識には全く頓着しない単なる「ジャズ・バカ」(誉め言葉です(笑))って感じの青年。
ただ、その分「本物」に対する鋭い洞察力と直感力は目を瞠るものがあり、それを武器に謎を解決していく、という設定。
この永見のキャラクター設定がかなり徹底していたのがとても良かった。

謎のほうは、血生臭いものではなくちょっとした舞台裏のトラブル系のものが殆どで安心して読めたし、読後感も悪くなかった。
ただ、7編中2編で同じようなトリックだったのはちょっと興醒めだったかな。
しかもそのうちの1編は実在の小説家(しかも大御所)を想像させる人物を登場させる内容で、その結末があれって問題ないんだろうか…?

雑誌の読者には人気があるけど、ジャズプレイヤーに評判が悪い評論家が登場する「挑発する青」が一番面白かった。

著者オススメのジャズレコード解説付き。

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