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2008/09/27

山本一力/赤絵の桜 損料屋喜八郎始末控え

赤絵の桜―損料屋喜八郎始末控え (文春文庫 や 29-7)
赤絵の桜―損料屋喜八郎始末控え (文春文庫 や 29-7)

内容(「MARC」データベースより)
損料屋に身をやつし、与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせて、次々と難事件を解決する喜八郎。江戸で繰り広げられる痛快事件簿、シリーズ第2弾! 短編連作5篇を収録。

シリーズ2作目。
1作目(著者のデビュー作)を読んでいたので2作目も、と思って読んでみたんだけど…1作目を読んでから随分時間が経っていた(6年)ので設定を殆ど忘れていて、最初のうちなかなか物語に入っていけなかった。
特に登場人物が多く、それぞれが重要な役割を担っている山本作品なので、彼らの人間関係が不明なのは致命的。
喜八郎が(当然)主役なのは覚えているけど、喜八郎以外に頻繁に出てくる「伊勢屋」と「米屋」と喜八郎の力関係がよく判らないのがもどかしい。
加えて一話目の「ほぐし窯」はその中ではある組織による悪事と喜八郎がそれに対抗するために動き回る姿が描かれているんだけど、その悪事の仕組みもよく理解できなくてわけが判らないまま終わってしまった印象だった。

二話目以降からはそれでも何となく話が見えてきて楽しめた。
話の内容は一話目から基本的な部分はずっと繋がってはいるけれどそれを別の登場人物、別の角度から描いてそれぞれ単独でも読めるようになっているし、何より個性的な登場人物の設定や細かい場面描写、小さくそして何気なく見えて実は印象的なエピソードの積み重ね…といった山本作品の魅力が満載で読みやすかった。

ラストの「初雪だるま」では、前作の感想で「この後どうなったのか気になる」と書いた喜八郎と江戸屋の女将・秀弥のこともちゃんと書いてあった。
いくら気に入らない相手を慌てさせたいからといって、こんなに大がかりでお金も掛かることを企む江戸のお大尽たちの遊び心に驚く。
しかも、結果として相手を不幸に陥れるのではなく、幸せを手に入れる後押しをする形で終わるようになっているという人情と度量が生きた設定が素晴らしく、読んだ後満足して本が閉じられる内容だった。

でも、人物設定がうろ覚えってことで何となく気分的に中途半端な感じが抜けないので、近いうちに1作目をもう一度読み返してみよう。

表題作他「ほぐし窯」「枯れ茶のつる」「逃げ水」「初雪だるま」の5編を収録。

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