柳広司/ザビエルの首
内容(「BOOK」データベースより)
聖フランシスコ・ザビエルの遺骸は、死後も腐敗することがなかったという。鹿児島で新しく見つかった「ザビエルの首」を取材した修平は、ミイラと視線を交わした瞬間、過去に飛ばされ、ザビエルが遭遇した殺人事件の解決を託される。修平が共鳴したザビエルの慟哭の正体とは…。
面白かった。
タイトルと導入部の印象から、400年経って何故か鹿児島で発見されたザビエルの首を巡る歴史(またはホラー)ミステリーって感じなのかと思って読んでいたら、取材に行った主人公(フリーライターの片瀬修平)がいきなりザビエルが生きていた時代にタイムスリップしてそこで起きた殺人事件の謎を解く話だったのには驚いた。
しかも、飛んでいくのは修平の意識だけで、その意識がザビエルの傍にいる人間(通訳だったり、友人だったり、肉親だったり)の頭に入り込んで、最初はその人物として事件を見聞きし(その間、修平は自分の意志では動けない)最後になって呪縛が解けたように修平の意識でもってその事件の謎解きをする…というかなり手が込んでいる設定。
設定が凝っている分、事件に至るまでの展開やスムーズで、トリックも思い込みや錯覚を利用したシンプルなものが多く読みやすかった。
ただ、今まで普段と全く変わりなく自分の隣にいた人間がいきなりそれまでとは全く違う、まるで何かが取り憑いたような状態(ある意味ホントにそうだけど(笑))で喋り出すというのは、その周囲の人にとっては違和感アリアリなのでは?
修平の意識が抜けたあとその人たちがどうなったかに興味がある、というか心配だなあ。
それこそ「魔女裁判」にでもかけられそうな状態なのでは?^^;
それにしても「フランシスコ・ザビエル」って日本人ならたいていの人が顔も名前も知っている有名人でもちろん私も知っていたけど、これを読むまでそのザビエルに「キリスト教伝来」以外の歴史(どこで生まれて、どんなふうに育って、そしてどこでどうやって死んだのか)があったなんて考えたこともなかった。ましてその死後数カ月経っても遺体が全く腐敗しなかったため後に「聖人」となったなんて全く知らなかったので、そうした歴史的事実や当時の宗教観なども面白く読めた。
歴史ってやっぱり面白いよね~。
でもあまりにも膨大すぎてどこから手を付ければいいか判らないんだなあ…。
<参考>
■フランシスコ・ザビエル(ウィキペディアより)
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