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2009/01/19

恩田陸/ネクロポリス(上・下)

ネクロポリス 上 (朝日文庫)
ネクロポリス 上 (朝日文庫)
ネクロポリス 下 (朝日文庫)
ネクロポリス 下 (朝日文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
懐かしい故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。死者たちを『お客さん』と呼び、温かく迎えるヒガンという祝祭空間。連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が―めくるめく想像力でつづられる謎とファンタジーの結晶体。

面白かった!

本屋の新刊文庫コーナーで見つけたときは、分厚いし、上下巻だし、しかもタイトルも表紙絵もオドロオドロしいのでヘビィな内容だったらヤだなあ…と思って一瞬躊躇したのですが、たまたま出先で待ち時間があって、でも何も読むものがないという状況だったので「いいや!」と思って購入したのでした。
で、読み始めてみたら、最初の印象と違ってすごく読みやすくてサクサク読めて最後まですごく楽しめました。

内容はミステリー風味のファンタジー、または幻想小説といった感じでしょうか。
イギリスと日本が融合したような風土と習慣を持つV.ファーという架空の土地、その中でもまた特別の意味を持つ「アナザー・ヒル」という場所の設定が秀逸でした。
イギリスは私も大好きな国。
大陸を隔てて反対側にあるのに、何故か日本と似てる気がするんですよねえ。
特に空気の重さとか質感とか。
なので「イギリス+日本」という設定は個人的にすごくツボで、それだけでマルでした。

それに加えて好奇心旺盛でおしゃべり好き、何があってもある程度時間が経てば当然のように受け入れて順応してしまうV.ファーの住民たちの描き方も魅力的でした。
血塗れの惨殺死体や幽霊や超常現象などがたくさん出て来て重くて読みにくくなっていきそうな物語を、全体的に妙に明るい雰囲気にしてくれていたのは彼らの存在だったと思います。

全体的に緩急があったし「どこに着地するんだろう」と最後までワクワクドキドキさせてくれて面白く読んだのですが、唯一残念だったのは連続殺人事件の犯人との対決が何となく中途半端な印象で終わってしまったこと。
あれだけヤ~な感じの捨て台詞を残して去って行ったので、どんな対決シーンがあってどんな決着が着くのかと期待していたら、あっさり終わってしまって…ちょっとビックリ。
あれはちょっと納得行きませんでした。
ラインマンももっと活躍して欲しかったな。

あ、それと、主人公のジュンの一人称が「俺」だったのがちょっと引っかかりました。
あの性格設定だったら「僕」のほうが似合うんじゃないかなあ。

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