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2009/02/22

畠中恵/つくもがみ貸します

つくもがみ貸します
つくもがみ貸します

お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟二人で切り盛りする、小さなお店「出雲屋」。鍋、釜、布団にふんどしまで、何でも貸し出す出雲屋ですが、よそにはないような、ちょっと妙な品も混じっているようで…。彼らは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位も高く、いたずら好きでおせっかいな妖怪たちは、今日もせっせと、出雲屋を引っ掻き回すのでありました。ほろりと切なく、ふんわり暖かい。畠中ワールド、待望の最新作。

人間と妖の関係を描いているのは「しゃばけ」シリーズと同じですが、こちらの作品の中の妖は小道具屋兼損料屋の商品として登場するので「しゃばけ」のように全面的に人間の味方だったり協力的だったりはしません。
(といっても「しゃばけ」も妖たちが味方するのは若旦那だけであって、他の人間はいてもいなくても同じ、という部分はあるわけですが)
自分勝手で働くのが嫌いでお喋り好き、詮索好きな彼らはお紅と清次の都合で動かされることにブーブー文句ばっかり。
でも、結局何だかんだ言ってもちゃんと必要な情報を集めて帰ってきてくれる。
それは、自分たちの存在を知っても気味悪がったり売り払ったりせずに大切にしてくれる2人のためであるのと同時に、そういう居場所を失わないための彼らのしたたかな計算だったりもするんですよね。
そういう、一見仲が悪そうなのに、実はお互いに大切に想っているという距離感の関係が巧く描かれていて楽しく読めました。

それぞれの短篇に日本の色を表す名前(「利休鼠」「裏葉柳」「秘色」「似せ紫」「蘇芳」)がついていて、最初のページの紙色がその色になっているのもおしゃれでした。

ただ、作品全体を通じてキーワードとなる「蘇芳」について、最初のお紅のこだわり方とその後明らかになっていく関係性になんとなくしっくりこない部分があったのが残念。

それと、結末が「多分こうなるんだろうなあ」と思っていたそのままだったのが物足りなかったです。
最後はあそこに辿り着くのはいいにしても、その前にもうひとひねりあってもよかったのでは。

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