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2009/03/27

坂木司/夜の光

夜の光
夜の光

出版社 / 著者からの内容紹介
慰めはいらない。癒されなくていい。本当の仲間が、ほんの少しだけいればいい。
本当の自分はここにはいない。高校での私たちは、常に仮面を被って過ごしている。家族、恋愛、将来……。問題はそれぞれ違うが、みな強敵を相手に苦戦を余儀なくされている。そんな私たちが唯一寛げる場所がこの天文部。ここには、暖かくはないが、確かに共振し合える仲間がいる。そしてそれは、本当に得難いことなのだ。

面白かったです。

家族との関係や自分自身の存在に疑問や苛立ち、違和感を抱えいつか自分らしく生きられる場所に辿り着くために「本当の自分」を隠して学校生活を送る4人の男女。
その4人がたまたま入部した天文部で、それぞれが自分と同じように「戦っている」ことに気付き、クールだけど得難い仲間として友情を育てていく物語です。

仲間を見つけたからといって自分の悩みが解決するわけではないけれど、自分以外の人間の言動から問題に直面したときの対処法、柔軟さ、他者に対する優しさ・強さを学び、そして前に進む勇気を貰って成長していく4人の姿が愛情に満ちた優しい筆致で描かれています。

4人の周囲で起こるちょっとした謎を解決することで、少しずつそれぞれの親密度、信頼感を増していくという流れなのですが、謎(事件)自体は高校の校内で起こる事件なのでそんなに派手だったり意外性があったりするわけではありません。
ただ、その特別過ぎない、本当に実際にあり得そうなリアルな感じが却って物語に説得力を与えているように思いました。
特に学園祭のバザーで買ったセーターが原因でトラブルが起こる話は愛のある結末も含め、とても印象的なエピソードでした。
(あと、Gunsの曲が山ほど出てくるエピソードは意外すぎてビックリでした!(笑))

それぞれが語り手になった作品が各1編ずつ(「季節外れの光」「スペシャル」「片道切符のハニー」「化石と爆弾」)と、4人が高校を卒業しそれぞれの道を歩み始めてしばらくしてまた再会する様子を描いた1編(「それだけのこと」)の計5編を収録。
びっくりするようなどんでん返しもなく、全体的に淡々とした展開のまま終始しますが、自分の人生を自分の意志で歩み始めた若者たちの確かな決意が伝わってくるいい作品でした。

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