松井今朝子/吉原手引草
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ、吉原一を誇った花魁葛城は、忽然と姿を消したのか?遣手、幇間、楼主、女衒、お大尽―吉原に生きる魑魅魍魎の口から語られる、廓の表と裏。やがて隠されていた真実が、葛城の決意と悲しみが、徐々に明らかになっていく…。誰の言葉が真実なのか。失踪事件の謎を追いながら、嘘と真が渦巻く吉原を見事に紡ぎあげた、次代を担う俊英の傑作。
07年前期の直木賞受賞作。
以前図書館で借りようと思ったらすごい順番待ちだったので「どうしようかな~」と思ってるうちに、文庫になってしまいました。
(どんだけ迷ってるんだ(笑))
吉原五丁町一と謳われながらある日忽然とその姿を消して行方が知れなくなった花魁・葛城。
吉原の中ではタブーとなっているその話題について茶屋の女将や店の主、芸者、幇間、葛城の贔屓客など葛城に関わった十数人の人々に次々に話を聞きまわる謎の人物。
それが誰なのか、何の目的なのか全く判らないまま読者はその人物の視点で吉原の中で暮らす様々な役割の人間たちの話を聞き、葛城の人となりや生き様を少しずつ理解し組み立てて行きます。
そしてその数々の証言の中から最後に葛城が吉原から消えうせた方法と理由、同時に謎の人物の正体とその目的が明らかになるのです。
人物の書き分け、吉原という特殊な場所のしきたりや慣習、そしてその中で見事に生き抜き自分の使命を全うした葛城という一人の女の人生の見事さ…どれもが圧倒的な迫力で、しかもバランスよく描かれていて最後まで一気に読ませる素晴らしい作品でした。
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