坂木司/短劇
内容(「BOOK」データベースより)
たとえば、憂鬱な満員電車の中で。あるいは、道ばたの立て看板の裏側で。はたまた、空き地に掘られた穴ぼこの底で。聞こえませんか。何かがあなたに、話しかけていますよ。坂木司、はじめての奇想短編集。少しビターですが、お口にあいますでしょうか。
タイトルどおり、10ページ前後の短編ばかり26作が並んだ作品集。
普段は柔らかい語り口と丁寧な描写で最後にパワーや癒しを与えてくれるものが多い坂木さんの作品ですが、この本にはそうした作品の中では見えてこない人間の悪意や苛立ちがストレートに描かれています。
でも、こんな作風もまた「意外」と思わせず、「やっぱりこういう作品も書けるんだなあ」と納得させてしまうところが坂木さんの巧さだろうと思います。
長い物語ではちょっと重く生臭くなってしまいそうな内容を、短い枚数の中でサラッと書くことによってそれを回避してピリッとスパイスの効いた佳作に仕上がっています。
また、ダークな内容であっても弱い者が徹底的にいじめられるといった類のものはなく、最後まで読むと小心者の読者もちょっとした「共犯者意識」を持って思わずニヤリとしてしまう結末になっているあたりにいつもの坂木さんの姿が覗いているように思いました。
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