« 春日井玲子お料理教室(スパムメール) | トップページ | みずのゆったりとながれるさま »

2009/06/12

小路幸也/東京バンドワゴンシリーズ

東京バンドワゴン (集英社文庫)
東京バンドワゴン (集英社文庫)
シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン (集英社文庫)
シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン (集英社文庫)
スタンド・バイ・ミー
スタンド・バイ・ミー
 

内容(「MARC」データベースより)
下町の老舗古書店「東京バンドワゴン」。ちょっと風変わりな四世代の大家族が、転がりこんでくる事件を解決する。おかしくて、時に切なく優しい、下町情緒あふれる春夏秋冬の物語。

築数十年の古い建物、季節ごとの自然、そして親密なご近所付き合いが残る、東京のとある下町。
この町で大正時代から「東京バンドワゴン」という変わった名前の古本屋(現在はカフェも併設されている)を営む堀田家は80歳になっても元気な家長の勘一から生まれたての曾孫まで四世代が一緒に暮らす大家族。
この堀田家周辺で起こる小さな謎や事件を中心にした連作短編集。

既刊4冊のうち『東京バンドワゴン』『シー・ラブス・ユー 東京バンドワゴン』『スタンド・バイ・ミー 東京バンドワゴン』の3冊を順番に読みました。

す~ごく面白かったです!

とにかく、登場人物がとても多いのが印象的。
なにしろ中心になる堀田家からして12人(!)の大家族。
(シリーズ1冊目では8人でしたが、その後お嫁さんとお婿さんが1人づつ+赤ちゃんが2人増えて3冊目現在は12人になりました。今後、更に増えそうな予感です(笑))
これだけでも充分多いのに、そのほかにもお嫁さん、お婿さんの親御さん、町内のご近所さん、お店の常連さん、子供たちの同級生やその保護者などなど。
これだけ人が出てくると普通は誰が誰だか判らなくなったり、出てきたけど印象が薄くて忘れちゃったりするものですがこの作品ではそういう人が殆どいないんですよね。
それぞれがきちんと人物設定、性格設定されて物語の中に存在して、それぞれの役割を果たしているので、小説の登場人物の名前や人間関係を覚えるのがあまり得意ではない私でも覚えようと意識しなくても読んでいるうちに一人一人がスーッと自然に入ってきてしまう感じでした。

個性的な登場人物の中でもダントツなのは、勘一の一人息子・我南人(がなと)。
60歳を過ぎて、孫までいるおじいちゃんなのに、職業は「伝説のロッカー」(「自称」ではなくホントの有名人)なのです。
金色長髪に派手な服、あちこちをふらふらしてまともに家に寄り付かず、口癖は「Loveだねぇ」…という奇抜なキャラクター。
とても「下町の古本屋(しかも大家族)」にはそぐわない設定なのですが、そんな我南人でさえ悪目立ちすることもなくちゃんと堀田家の一員、作品の中の登場人物として違和感なくそこに存在している、その世界観がスゴイと思うのです。

このシリーズには巻末に「あの頃、たくさんの笑いと涙を届けてくれたテレビドラマへ」という献辞が入っています。
つまり、この作品は「あの頃」のテレビドラマへのオマージュなんですね。
イメージからいうと「寺内貫太郎一家」あたりかな?
家長の勘一が80歳という高齢という設定なので、ドラマみたいに「毎回ちゃぶ台をひっくり返して喧嘩するシーン」はありませんが(笑) 家族みんなで食事するシーンはどのお話にも出てきて、これがすごく印象的。
お料理は名前が出てくるだけでそんなに詳しいディテールが描かれているわけではないのですが、贅沢ではないけれどちゃんとバランスが考えられた手料理がいっぱいに並ぶ大きなテーブルで、家族全員が集まってワイワイ喋りながらの食事シーンはそのまま「幸せ」を表現しているような気がしました。
(だからといって、一人でご飯食べるのが「不幸」だということではないですけどね)
私は正直あまり大勢の人と一緒にいるのが得意なほうではないのですが、この作品を読むと「家族っていいよねえ」と自然に思ってしまいますね。

物語は堀田家の中やその周辺で起こる小さな謎や騒動を中心に展開します。
それらの事件も伏線がきちんと引いてあり結末も自然でよく出来ているのですが、それ以上にそうした事件や騒動があっても繰り返される堀田家の日常、日ごとに成長していく子供たち、人との繋がりを大切にして真面目にまっすぐ生きている人々がきちんと描かれている部分が素晴らしい作品でした。
感動して大泣きすることはありませんが、読んでいる間も読み終わった後もすごく気持ちよくて、「人に優しくしよう」という気分になります。

これからもずっと続いていって欲しいシリーズです。

取りあえずは今年の4月に出たシリーズ最新刊『マイ・ブルー・ヘブン』(勘一の若い頃を描いた番外編らしい)は現在図書館の順番待ち中。
もうすぐ読めそうなのですごく楽しみです(^^)

マイ・ブルー・ヘブン―東京バンドワゴン
マイ・ブルー・ヘブン―東京バンドワゴン
 

公式サイト発見!
集英社「東京バンドワゴン」シリーズ

|

« 春日井玲子お料理教室(スパムメール) | トップページ | みずのゆったりとながれるさま »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

読了本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29699/45321238

この記事へのトラックバック一覧です: 小路幸也/東京バンドワゴンシリーズ:

« 春日井玲子お料理教室(スパムメール) | トップページ | みずのゆったりとながれるさま »