藤野恵美/ハルさん
内容(「BOOK」データベースより)
(瑠璃子さん…今日はね、ふうちゃんの結婚式なんだよ。まさか、この僕が「花嫁の父」になるなんて…)ふうちゃんの結婚式の日、お父さんのハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った五つの謎を。幼稚園児のふうちゃんが遭遇した卵焼き消失事件、小学生のふうちゃんが起こした意外な騒動…。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった。児童文学の新鋭が、頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴った快作。
最愛の妻・瑠璃子さんが夭折して以来、人形作家のハルさんが男手一つで育て上げた一人娘・ふうちゃん。
今日はそのふうちゃんの結婚式。
花嫁の父として結婚式に臨むハルさんの脳裏に、小さい頃からのふうちゃんの思い出がよみがえります。
元気で社交的なふうちゃんの周囲に起きる事件を、人付き合いが苦手で心配性なハルさんが天国の瑠璃子さんの手助けを借りながら解決していくという構成。
「消えた卵焼き事件」「夏休みの失踪」「涙の理由」「サンタが指輪を持ってくる」「人形の家」の5編が収録されています。
最愛の人を早くに亡くし、遺された一粒種のふうちゃんの養育に心を砕くハルさんと、その愛情を一身に受けて明るく頭がよく誰からも好かれる素敵な女性に育っていくふうちゃんの成長の様子が丁寧に描かれたほのぼのした物語だったのですが…私はちょっと苦手でした。
原因はハルさんの人物設定。
人付き合いが下手で気が弱くて心配性、だけど人形作家としての才能は一流で一人娘のふうちゃんを何よりも大切にしている…という設定のようなのですが、どうも私にはマイナス部分ばかりが目に付いてしまったんですよね~。
特にふうちゃんに何かあったときの動転っぷりが尋常じゃない。
一人娘を心配する父親の心情としては当然なのかもしれませんが、それにしても大人なんだからもうちょっと落ち着いたほうがいいんじゃないの?と読んでいてイライラしてしまいました。
しかもただオタオタしてるだけで、建設的な考えや行動に結びついて行かない、結局死んだ奥さんの手助けがないと何も解決されないというのはどうなのよ、と。
物語の中の1つくらい自力で解決してもよかったんじゃないのかなあ、と思いました。
物語の中でふうちゃんは幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と成長して行くのですが、それにつれて行動も考え方も発言も少しずつ変わっていく部分はすごく丁寧にリアルに描けていると思いました。
(特に中学生になって反抗期に入ったふうちゃんの描写が良かったです♪)
なのにハルさんの性格だけがずぅっと同じなんですよね。
あまりに変わらないのでだんだん「死んだのは瑠璃子さんじゃなくてハルさんだった」というオチなんじゃ?と穿った見方をしてしまうくらいでした^^;
でもそのくらい頼りなくて現実感がない感じだったんですよ…。
完全に好みの問題ですが、私としてはもうちょっとしっかりした人物像であって欲しかったです。
まあ、ハルさんの周囲の人、特にふうちゃんはそういうハルさんが大好きなんですから、その他の人間がどう思おうとハルさんには関係ないんでしょうけどね。
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