堂場瞬一/雪虫
内容(「BOOK」データベースより)
俺は刑事に生まれたんだ―祖父・父を継いで新潟県警捜査一課の刑事となった鳴沢了は、晩秋の湯沢で殺された老女が、かつて宗教教団の教祖で、五十年前に殺人事件に関わったことを突き止めた。了は二つの事件の関連を確信するが、捜査本部長の父はなぜか了を事件から遠ざけるのだった。正義は、そして歳月は、真実を覆い隠すのか?新警察小説。
刑事・鳴沢了シリーズの1冊目。
鳴沢家は主人公の了自身だけでなく、祖父、父と三代に渡って刑事(しかも「優秀な」)だったという設定。
これをもっと引っ張るのかと思っていたのに、それが軽く裏切られる結末でちょっとビックリしました。
(読んでいるうちにある程度予想は出来るのですが)
一人暮らしの老女・本間あさ殺しに始まる一連の事件の捜査~解決の流れはまあまあ面白かったのですが、その間に挟まる了の個人的な人間関係(家族や恋人)についての記述がかなり多いな~、という印象を受けました。
特にひっかかったのは了と現在は新潟魚沼署の署長を務める父親との確執(というか、了の一方的なこだわり?)が何度も描かれるのですが、その理由が明確に説明されていないこと。
作中で「(了が)刑事になるときに一方的に反対されたから」との記述はあるのですが、「ホントにそれだけ?」って感じがする嫌い方なんですよね。
なので、もっと深い理由があるんじゃないかと思っているのですが…。
(もしもホントにそれだけの理由だとしたら、了ってかなりガキだなあ、と思うんですが…^^;)
また「鳴沢家の男は15歳で独立する」ってことで、高校から東京で一人暮らしするっていうのもなんだかわかったような判らないような…って感じの設定でしたし。
更にそうやって多くのページを了の個人的な感情や人間関係に費やしている割に「鳴沢了」という登場人物のアウトラインはどうも曖昧なままに終わってしまったような気がしてちょっと消化不良でした。
これからシリーズが進むにつれてその辺りの事情も明らかになっていくのでしょうか。
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