田中啓文/元禄百妖箱
内容紹介
日本推理作家協会賞短編部門受賞第一作!
五代将軍・徳川綱吉は狐に取り憑かれていた!
それを知った神官が放つ暗殺者。
奇想天外な切り口で「忠臣蔵」を描いた日本推理作家協会賞短編部門受賞第一作!
天下の悪法・生類憐れみの令を発布した五代将軍綱吉、その母・桂昌院、寵臣の柳沢吉保の3人は実は強力な力を持った狐に取り憑かれていた。
その狐を退治するために立ち上がった神官・羽倉斎は偶然にも彼らの弱点であるある品物を高家筆頭・吉良上野介が所有していることを知る。
羽倉は殿中・松の廊下での刃傷事件を利用して上野介からこの品物を奪い取る計画を立てる…というお話。
要するに「異聞・忠臣蔵」ですね。
四代将軍家綱が死んで綱吉が次代将軍になるところから始まるので、なかなか内容が把握出来ず、しかもこの狐付き3人の所業がかなり悪辣に書かれているので最初のほうはちょっと読むのがきつかったですが、話がよくある忠臣蔵に沿ったものになってきたあたりから、(別にギャグではないのですが)笑える部分もあったりしてグンと読みやすくなりました。
特に大石内蔵助のキャラクター設定がツボでした。
「昼行灯」というのは「敵を欺く仮の姿」ではなく、本当にそういう人物であり、浅野家が改易になるときも「迷惑だ。早く面倒事から逃げ出したい」と逃げるチャンスばかりを伺っていたような人物になっています。
その大石がどのようにして「吉良家討ち入り」という、先には「死」しか待っていないような面倒事の先頭に立つ気になったのかの描写が面白かったです。
荒唐無稽な内容でありながら、個々のエピソードはきちんと史実に合わせた説得力がある描写で読み応えがありました。
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