小路幸也/僕は長い昼と長い夜を過ごす
内容(「BOOK」データベースより)
50時間起きて20時間眠る特殊体質のメイジ。草食系でのんびりした性格に反し、15年前、父親を殺されたというハードな過去の持ち主。現在はゲームプランナーをしつつ、体質を活かした“監視”のバイトをしている。だが、そのバイトのせいで二億円を拾ってしまい、裏金融世界の魔手に狙われる羽目に。メイジは戸惑いながらも知恵と友情を武器に立ち向かうが、この利とも枷ともなる体質が驚愕の事態を招く。
これでもかっ!というくらい複雑な主人公・明二の設定がまず印象に残る。 この設定分割すれば3つくらい物語がかけるんじゃ?と思うくらい。
正直「そこまでする必要あったのかなあ」と思う。
特に明二の両親についての設定は非常に重く、辛い。
にもかかわらず、それをにとらわれず、マイペースに生きる明二。
その気持ちの有り様についても何度も書かれているけれど、それを上手く飲み込めなかった。
それは「こういう原因があるなら、こういう結果であるはず」という視野が狭い私の思い込みなのかもしれないけど、必然の設定というより設定のための設定という印象が最後まで拭えなかった。
物語自体は冒頭の明二のバックグラウンドを紹介するあたりがちょっとモタついている感じだけど、それ以降設定が複雑なのに展開がスムーズでテンポがよくとても読みやすかった。
明二を始め、登場人物もみんな生き生きとしてて好印象。
なかでも大金を手にしてしまった明二の逃亡と交渉をサポートする謎の男<ナタネ>の存在感は圧倒的。
<強奪屋><奪還屋>の裏を読んで明二たちを安全な場所に導いていく過程もカッコよく面白かったし、ラストで真実を静かに語る姿もとても印象的だった。
ただ、途中までどこに着地するか判らなくてドキドキしながら読んだ割には敵側と対峙するシーンが割とあっさりと終わってしまったのはちょっと肩透かしだったかな。
もうちょっと派手なシーンを期待していたんだけど。
ところで、あの方法でお金を使った場合、税務処理とか大丈夫なのかな~?
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