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2010/09/10

永井路子/乱紋(上・下)

乱紋〈上〉 (文春文庫)
乱紋〈上〉 (文春文庫)
乱紋〈下〉 (文春文庫)
乱紋〈下〉 (文春文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
織田信長の妹・お市と近江の雄・浅井長政の間には三姉妹がいた。長女・お茶々は、秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待っていた―。おごうの生涯を描く長篇歴史小説。

だめだー、苦手だった。

信長に滅ぼされた浅井家三姉妹の末娘でのちに二代将軍・徳川秀忠の正室となるおごうの生涯を描いた長編小説なんだけど、誰にも感情移入が出来なかった。

特に語り手であるおごうの侍女のおちかが苦手。
この人、侍女としてあまり適性がないような気がする。
少女時代からおごうに付き従って、その人生の変遷を一緒に渡り歩いて来ているのに何かっていうと動揺しすぎ、周囲にまどわされ過ぎ、状況が見えなさ過ぎ。
この時代の女性が全て有能だったわけではないだろうけど、それでも激しい流転の果てに征夷大将軍の正室となったほどの女性のそば近く仕える役目がおちかに務まるとは到底思えないんですけど。
ていのいい「人質」として他家へ嫁いでいく女主人もそうだろうけど、主人を守るために同行する侍女だってある意味命がけなはず。
なのに、最初のうちはともかくおごうの立場がどんなに変わっても、同じようにちょっと何かあると一人でうろたえて騒いでるばっかりの侍女って…違和感ありすぎです。
で、騒がしいわりに気が利かない。
いくら自分で出産の経験がないと言ったって、女主人の懐妊を2回も見逃すお傍付きの侍女なんて意味ないんじゃ?
一回なんて「具合が悪いから」とお寺にお参りに行って、その途中であった男に「それはご懐妊なのでは?」といわれて初めて気がつく始末。
ぼんやりしてるにもほどがあるってば。

そのほかの話の内容も「姉妹の誰が美人」だの、「秀吉がおごうに色目使った」だの、「あの人は私が好きなんだろうか…」だのそんな話ばっかりにページが割いてあって、もっと重要な局面、例えば秀吉が死ぬところや関が原で西軍が負けるところなんかはひどくあっさりとしか書いてない。
さらには、おごうがどんな人物なのかが全く見えない。
もともと華やかで饒舌な2人の姉たちとは違い、地味で口数少なく気の効いたことも言えない、という性格設定ではあるんだけど、それにしても語らなすぎ。
普通ならそれを語り手であるおちかが補うところだと思うんだけど、そういう方向にはいかなくていつも「まったくおごう様はいつも無口で困ったものだ」という同じような感想で終わってしまう。
むしろ彼女の二人の姉茶々とお初のほうが性格も行動もハッキリと丁寧に(というか「しつこく」)描かれていて判りやすかった。
特に最後のほう、大阪城落城のあたりは茶々(淀)とお初は出ずっぱりだけど、おごうは全く出番ナシ。
ラストもおちかが密かに(?)思いを寄せていた男の死を看取るところで終わりって…いったい、これは誰の物語だったんだろう??

おしゃべり好きなおばさんの井戸端会議か、OLの給湯室での噂話を延々聞かされた気分。
それが意識したものであれば手法としてはアリだと思うけど、だったらもっと徹底して欲しかった。
取り敢えず、おちかをもうちょっと芯のしっかりした人物にして欲しかった。
これなら、男好きで噂好きちょっとだらしないけどそういう自分を受け入れて、自分の生き方を貫いた"おたあ"のほうが好感が持てるなあ。

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