'10年11月の読了本
- 浅田次郎『中原の虹 第4巻』(講談社文庫)
物語の規模が大きすぎて私の頭では内容についていくのが難しかったけど、どの時代の物語も文章も美しく気高く読んでいて心地良かった。ただ最後の方は話が広がりすぎて曖昧な印象のまま終わってしまった感じ。私は2巻あたりが一番好きだったな。 - 小路幸也『DOWNTOWN ダウンタウン』(河出書房新社)
登場人物の優しい気持ちだけで作られたような暖かい作品…なんだけど、何故かうまく物語に入って行けなかった。感情移入出来ないというか。なんでだろ。最後の方、ショーゴと父親が理解し合っていくあたりがよかった。 - 石持浅海『ガーディアン』(カッパ・ノベルス)
"ガーディアン"というどこか温かみさえ感じるようなタイトルを持ちながら、内容はかなりハード。特に後半の「円の章」では人が大量に死んで行くのでビックリ。あまり克明な描写ではないので結構すんなり読めてしまうけど、実際の光景を想像するとかなり怖い。 - 森谷明子『葛野盛衰記』(講談社)
やっと読み終わった…。桓武天皇の時代から平氏の滅亡までという長いスパン(約400年)の話だし登場人物も多く複雑で読み進むのが大変だった。取り敢えず「力をもった年寄りがいつまでも自分の思い通りに振舞ってるので周りが大迷惑」という話だったなと。 - 東野圭吾『白銀ジャック』(実業之日本社文庫)
途中で同じような内容が繰り返される部分があってそこで少々もたつく感じがあったけど、全体的にスピード感があってさくさく読めて面白かった。終わり方もスッキリしてたし。ところで警察に届けない事件での「身代金」ってどうやって税務処理するの? - 東野圭吾『新参者』(講談社)
面白かった。少ない紙数の中で簡潔に語られる登場人物の人となり、想い、そして相手を思い遣るがゆえの小さな秘密、嘘。それらを丁寧にすくい上げ、もつれた糸を解きながら確実に事件の核心に近づいていく加賀の描き方が見事だった。こんな刑事ばかりなら事件も減るのかも。 - 茅田砂胡『デルフィニア戦記外伝 大鷲の誓い』(中公文庫)
冒頭部分でたくさん出て来る固有名詞に翻弄されてクラクラしたけど、その後は面白く読めた。緩急のある展開と読み易く判りやすい文章、何より主人公2人を始めとする人物の造形と描き分けが見事。最後、ちょっと駆け足になってしまったのが残念。 - 石田衣良『6TEEN』(新潮社)
直木賞受賞作『4TEEN』の続編。1編が25pくらいずつしかないせいか、何となく食い足りない感じ。始まって動き出したと思うともう結論といった感じで、物語の中で4人が感じているであろう様々な感情がこちらに伝わる前に終わってしまうものが多かったのが残念。 - 山本兼一『利休にたずねよ』(PHP文芸文庫)
端正な小説。利休の生涯を描く意外な構成、細かく章立てされた各編のタイトル、そして何より抑制のきいた、それでいて内部に熱を感じる文章。どれをとっても非常に美しく読み応えがあった。結末も見事。
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