'10年12月の読了本
- 上野正彦『死体検死医』(角川文庫)
法医学の第一人者である著者の豊富な経験がたくさん紹介されていて面白かった。どんな事件、依頼についても先入観を持たず自分の経験や知識に基づいて真摯に対応している姿に感銘を受けた。特に「宇宙人の解剖ビデオ」(?!)を見せられた時のエピソードが良かった。 - 畠中恵『ゆんでめて』(新潮社)
しゃばけシリーズ第9弾。このシリーズ、決して嫌いではないんだけど何故かいつも「う~ん…?」と思ってしまう。言葉の選び方とか、話の進み方とか。今回も同じ。いろんなところで引っ掛かった。特に最後の話、あんなに面倒な展開にする必要なかったと思うんだけどなあ。 - 東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)
面白かった。一つ一つの要素がすごく丁寧に書いてあるのに全く停滞せずにスムーズに読ませる文章、構成が素晴らしかった。あのトリックはすごい。技巧的ではなく、心理的に。ただ、その分、ガリレオでないと解明出来なかったのかなあ?という疑問も残る。 - 東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)
短編集。こちらも面白かった。湯川が解明すべき「物理トリック」という意味ではこちらのほうが相応しいかも。特に「撹乱す(みだす)」は、緊迫感があってよかった。内海とのコンビネーションもスピード感があって読んでて気持ちいい。 - 澤康臣『英国式事件報道 なぜ実名にこだわるのか』(文藝春秋)
加害者、被害者だけでなく周囲の人物まで実名で報道するイギリスの事件報道について書かれた本。現職の記者である著者が多数の現地の関係者にインタビューした内容が書かれているので一定の説得力はあったけど、報道される側になったらと考えるとやはり無条件に納得は出来ないなあ。 - 石持浅海『賢者の贈り物』(PHP研究所)
自分の身の周りで起きたある状況について主人公(+その仲間)が何故そうなったのかを考察して答えを導き出すという思考系ミステリー短篇集。古典文学や昔話をモチーフにしたお話それぞれよく出来ていていると思うけど、同じパターンなので読み続けるとちょっと飽きる。 - 矢崎存美『キッチンぶたぶた』(光文社文庫)
12冊目のぶたぶたシリーズ、とのこと。今回は洋食屋「キッチンぶたぶた」のマスターとして登場。ちょっと強引だなあという展開もあるけど、やっぱりぶたぶたのキャラには負けるw 今回もほのぼのしました。 - 篠田真由美『風信子の家』(カドカワエンタテイメント)
建築探偵桜井京介シリーズのスピンオフ作品。京介の大学の恩師 神代宗教授が主人公の短編ミステリー集。(京介や蒼も出てくる)あまり明るい話はないけど、結末に暖かさや救いがある話が多くてよかった。途中で挫折してる本編もまた読んでみようかな。 - 大倉崇裕『警官倶楽部』(祥伝社文庫)
友人の借金返済のために宗教団体の裏金を強奪する警察マニアたち。次々に目の前に現れる問題をそれぞれの得意分野を結集させて切り抜けて行く。登場人物が多いのでキャラを把握するのが大変だけど、そこを気にしなければスピード感があって一気に読めて楽しかった。 - 高田崇史『クリスマス緊急指令』(講談社文庫)
連作短編集かと思ったら、アンソロジー的な作品だった。最初の予想と違ったせいか、バラバラな作品の雰囲気に馴染めず全体的に今ひとつな印象。その中では「k's Bar」を舞台にした2作品は落ち着いた雰囲気でオチも判りやすくて一番良かった。
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