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2011年1月の9件の記事

2011/01/16

東野圭吾/赤い指

赤い指 (講談社文庫)
赤い指 (講談社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

少女の遺体が住宅街で発見された。捜査上に浮かんだ平凡な家族。一体どんな悪夢が彼等を狂わせたのか。「この家には、隠されている真実がある。それはこの家の中で、彼等自身の手によって明かされなければならない」。刑事・加賀恭一郎の謎めいた言葉の意味は?家族のあり方を問う直木賞受賞後第一作。

1月3日に放送されたドラマの原作。
ドラマを観る前に読もうと思っていたんだけど、つい遅くなってしまいやっと読了した。

読んでみて感じたのは「ドラマはかなり原作に忠実に作られていたのね。」ってこと。
よって、納得出来ない部分もドラマと同じだった。
つまり「犯人の父親とその母親(犯人の祖母)の関係はあれで修復されたかもしれないけど、犯人とその母親はその輪からはみ出して置き去りにされてしまったのではないか」ということ。
それでも犯人である少年は逮捕され隔離され罪を償い、人間として成長することで自分を取り戻せるかもしれないけど、(自業自得とはいえ)夫に裏切られ息子も守り切ることが出来なかった母親(妻)はその後どうやって周囲と折り合いをつけていくのかがとても気になった。
ドラマではラストで夫婦と夫の母親が3人で寄り添って歩くシーンが挿入されていたけど、あそこまでこじれた人間関係がそうそう簡単に修復されるとは思えないけどなあ。
あの部分はちょっときれいに終わらせすぎじゃないかと。

また、小説の中の母親(妻)はドラマよりも更に独善的で優しさも思いやりもない人物に描かれているのも気になった。
非常に共感を得にくい人物像なのでドラマよりも原作を先に読んでいたらもしかしたらこんなに妻の心情を考えることはなかったかも。(そういう狙い?)
その人が実際にどんな人物かよりも、その人がどんな言葉で語られているかのほうが大きな意味を持つというのは、考えてみるととても怖いことだと思う。

もう一組の親子である加賀と父親の最後のエピソードが秀逸。
思いやりと理解で繋がった人間関係の美しさが表現されていたと思う。
家族として共に暮らしながら、それぞれ自分のことしか考えていない、見えていなかった犯人一家との対比が残酷過ぎるほど鮮やかに描かれている。
それでも、それだけ心を尽くした親子であったとしても外(松宮)も目からは全く別の姿が見えている。
その家の中で何が起こっているのか本当のところを判断するのは難しい。

そういえば、松宮が死期が近い父親のお見舞いにも行かない加賀の振る舞いに腹を立てて

母親が家出をしたぐらいのことがなんだ、という気持ちになる。

という描写があってビックリした。
いくら世話になった伯父さんの肩を持ちたいからってそんな言い草ないんじゃないの?^^;

東野圭吾ミステリー 新春ドラマ特別企画「赤い指」

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大崎梢/スノーフレーク

スノーフレーク
スノーフレーク

小学生の時に死んでしまった大好きな幼馴染 速人。
高校の卒業、そして東京の大学への入学を間近に控えた真乃はずっと引きずってきた「速人は生きているのでは?」という想いを断ち切ることを決意する。
そんな矢先、真乃の目の前に成長した速人を思わせる人物が現れて…という話。

話の展開はスムーズで読みやすかった。
でも、真乃と彼女に好意を寄せる男の子たちの描写はおばさんにはちょっと甘すぎ。
大人しいけどけなげで一途な少女、優しくて頭が良くて思いやりがあったのに小さな約束を残したままさよならも言わずにいなくなってしまった少年、活発で女子にも男子にも人気があっていつも笑顔が絶えないけどいつだって寂しそうな少女の横顔だけを見つめ続けた少年…大昔に読んだ少女漫画みたいな設定で気恥ずかしかった^^;
その分、純愛ものとしても、友情ものとしても、ミステリーとしても読ませる部分があるので、若手アイドルを起用した映画の原作によさそう。
版元が角川さんだから実現性ありかも?(笑)

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中山七里/さよならドビュッシー

さよならドビュッシー
さよならドビュッシー

火事に巻き込まれ、大好きな祖父といとこを失い自身も全身に大やけどを負った少女・遥。
一時は生きる気力を失った遥だったが、新進気鋭のピアニスト岬洋介に出会いピアニストへの夢を目指して再び血の滲むようなレッスンを始めやがてそれは少しずつ実を結び有名なコンクールに学校代表として出場するまでになる。
しかし、そんな遥の身辺で再び不吉な事件が相次ぎ、ついには身近な人間の死へと繋がっていく。
犯人は誰なのか、そしてその目的は?…というお話。

面白かった。

まあ、かなり無茶な話だとは思う。
火事で全身の3分の1に重度のやけどを負って全身を皮膚移植手術したっていうのに、退院してすぐにピアノを引き始めて数ヵ月後には有名なコンクールで優勝を競うまでになる…って普通あり得ないでしょ。
いくら若くて体力があって、もともとピアノの才能があるといってもかなり無理のある展開なのでは。

ただ、そういう部分を「お話」として割りきってしまえば、スピード感、文章の読みやすさ、先が見えない展開、そして何よりピアノ演奏シーンの描写の緻密さが魅力的でどんどんページが進んで一気読みしてしまった。

でも、ピアノの話と事件は別々のほうがよかったなあ。
ピアノの部分(レッスンや遥の学校生活)と事件の部分の描写のバランスがよくない。
前者が丁寧で迫力があるのに対して、後者はなんとなく弱く量も少なくて「付け足し」みたいな印象を受けた。
ピアノの話ですごく盛り上がっていてもその途中で刑事が出てくるシーンになると、急にテンポが悪くなるようなそんな感じ。
探偵役のピアニスト岬洋介にしても、純粋にピアニストとして人間として魅力的に描けているから別に謎解きをする必要はないと思うし。
あの結末を持ってくるには事件性が必要だったんだろうと想像は出来るけど、あの謎解き自体、読んだ後「やられた!」でも「ズルイ」でもなく「あ~…なるほどねえ」としか思えなくて後味が悪いのであまり得策とも思えないんだけどな。
そういう意味でももっと素直にピアノによって少女が成長する話でもよかったような気がする。


『このミステリーがすごい!』大賞STORIES (別冊宝島) (別冊宝島 1711 カルチャー&スポーツ)
『このミステリーがすごい!』大賞STORIES (別冊宝島) (別冊宝島 1711 カルチャー&スポーツ)

ところでこの話を読む前に偶然手にした「『このミステリーがすごい!』大賞STORIES」という雑誌。
ここにも山本さんの短編「要介護探偵の冒険」が掲載されていたんだけど、この作品は遥のおじいちゃんが主人公(探偵役)。
自分の管理する不動産の敷地内で起きた殺人事件を車椅子のまま精力的に動きまわって解決する、という内容だった。
なのでこちら(「さよなら~」)でもそういう役割なんだろうと思って読み進めていたら、早い段階で火事で死んでしまうという展開だったのですごくビックリした。
作家さんというのはいろんな手を持ってるものなのね~(笑)

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月島総記/巴里の侍

巴里の侍 (ダ・ヴィンチブックス)
巴里の侍 (ダ・ヴィンチブックス)

明治初期、フランス留学中に勃発した普仏戦争に市民兵として参加した日本人の青年を描いた小説。
「ダ・ヴィンチ文学賞A.S.(アナザーステージ)ゼロワングランプリ」大賞受賞作。

導入部がもたついたけど、パリが戦闘状態になり正名が市民兵としてその戦いに参加していく後半はスピード感があってサクサク読めた。
登場人物も主人公の正名をはじめ魅力的な人物が多かったんだけど、心理描写や会話の部分の描写が今ひとつで共感できるというところまでいかなかったのが残念。
敵役のフランス正規軍将校がほとんど人間的な性格を与えられず、ステロタイプな嫌なヤツに設定されていたのも気になった。
正名側の一方的な正義の物語ではなく、敵側の葛藤や苦悩も描いて欲しかった。

ちなみに主人公の前田正名は明治期に活躍した実在の人物。
若い頃パリに7年間留学していたのは事実だけど、この小説のように普仏戦争に参加したかどうかは不明。

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柄刀一/時を巡る肖像

時を巡る肖像 (実業之日本社文庫)
時を巡る肖像 (実業之日本社文庫)

イタリア帰りの絵画修復士・御蔵瞬介を探偵役にしたミステリー。

事件の内容や人間関係が複雑で判りにくい部分が多かったし、美術品絡みの謎を扱っているとは言っても探偵役が絵画修復士である必然性もちょっと希薄だったような。
(同じ修復士を主人公にした北森鴻さんの「佐月恭壱シリーズ」の濃密な描写が印象に残っていたからかも)
瞬介が依頼を受けた家族の秘密に関わる物語ばかりだったけど、むしろ私は瞬介自身の家族(亡き妻シモーナと彼女が遺した一粒種の圭介)の話が読みたかったな。

表題作他「ピカソの空白」「『金容』の前の二人」「遺影、『デルフトの眺望』」「モネの紅い睡蓮」「デューラーの瞳」の6編を収録。

「デューラーの瞳」はどこかで読んだような気がするな~と思ったら、去年の6月に読んだ『名探偵の奇跡』というアンソロジーに入っていた短編だった。
ちゃんと覚えていてホッとしたw

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堂場瞬一/チーム

チーム (実業之日本社文庫)
チーム (実業之日本社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)

箱根駅伝出場を逃がした大学のなかから、予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チーム「学連選抜」。究極のチームスポーツといわれる駅伝で、いわば “敗者の寄せ集め”の選抜メンバーは、何のために襷をつなぐのか。東京~箱根間往復217.9kmの勝負の行方は―選手たちの葛藤と激走を描ききったスポーツ小説の金字塔。巻末に、中村秀昭(TBSスポーツアナウンサー)との対談を収録。

選抜に漏れた大学の成績優秀な選手を集めた「学連選抜」というチームで箱根駅伝に参加することになった選手たちと監督の物語。

それぞれの大学から集まったほとんど面識のないメンバーが様々な葛藤を経て同じ目標を目指すチームとしてまとまって行く過程、そして試合の様子が丁寧に描かれていて読み応えがあった。

ただ、全体的に三浦しをんの『風が強く吹いている』に似ているという印象は否めない。
特に後半の試合当日部分。
と言っても全く同じコースを描いているわけだから、印象的な部分を切り取ろうと思ったら必然的に同じところ(山登り、下り、ゴール直前)を選ばざるをえないんだろうな。
それに「似てる」というのも読み終わってから感じた感想で描写自体は緻密かつ迫力があって読んでいる間はグイグイ引き込まれた。

ゴールの様子は少々演出過剰という感じがするけど、死力を尽くして最後の箱根を走ったことで繋がった絆やメンバーらが選んだその後の進路に明るさがあって読後感がいい物語だった。

しかし、あんなことが実際にあったら格好のTVネタだろうなあ(笑)

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2011/01/06

OutlookExpressの「名前を付けて保存」

会社のPCでメーラーにOutlookExpressを使っている人から
「以前はメールを<名前を付けて保存>しておけば、テンプレートとして使い回し出来たんだけど、PC入れ替え(2K→XP)したら出来なくなった。何故だか判る?」
と質問された。
確かに私も以前はそういう使い方をしていたことがあったので、「何か設定で変なところ触ったのかな~?」と思いながらPCを見せてもらったけど今ひとつ原因が判らない。
<名前を付けて保存>自体は出来るけど、その後開いてもファイルを添付することも出来ないし、それどころかよく見たら「送信ボタン」もなくなっているのに気づいた。

これはもしかして設定とかの問題じゃないのかも…と思いつつ、Web検索したら、それらしい内容が書いてあるページを発見。

MS06-16の対策をしたら、以前保存していたメール送付の雛形**.emlが使えない

要は、マイクロソフトから発行されたセキュリティパッチの影響で以前のような使い方は出来なくなったらしい。
(保存してメール画面を閉じた時点で[受信メール]扱いになり、編集出来なくなる)
なるほど…って、これ2006年に発行されたパッチじゃないですかっ!
それに今更引っ掛かるって…(ーー;)

さすがに「パッチを削除して」とは言えないので、一応代案としてメール作成中に「ファイル」>「保存」をクリックして<下書き>として保存する、という方法を教えてきた。
ただこれだと、そのメールを送信してしまうと消えちゃうのが難点。
(オリジナルが残らない。「下書き」なんだから当然だけど)
なので、「フォルダにコピーする」で下書きフォルダーに同じメールをいっぱい作っておいて順番に使ってね~と言ってきたけど…やっぱり面倒だよね。

何か他にいい方法ないかなあ。
ホントは他のメーラーを使えればいいんだけど、会社用なので勝手にソフトのインストールは出来ないのが困ったところ。
なんといってもブラウザもまだIE6なんだから(-.-)
そのせいか、最近デザインが崩れて見えるサイトが多くなってきたような気がする…(汗)
セキュリティ対策するならメーラーもブラウザも新しくしたほうがいいと思うんだけどなあ。

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2011/01/03

謹賀新年

2011年、あけましておめでとうございます。

去年は1年で122冊本を読みました。
ちょうど3日に1冊くらいのペースですね。
たいした数ではないけど、ここのところ年間80冊前後しか読めていなかったのでそれにくらべれば随分頑張ったなあ、と思います。
といっても、あまり印象に残っている本はないし、感想も殆ど書けてないので何のために読んでいるのか判らない、という気もしますが^^;
でも、読まないよりは何かしら残るものがあると思うので、今年もこのくらいのペースで読めたらいいかなあと思います。
面白い本にたくさん出会えるといいな。

それから、去年はTwitterに入れ込んでしまい短い文章しか書けなくなってきているので、今年はもうちょっとブログで長い記事を書きたいなあと思っています。

…と、そのくらいかな。
今年もこんな調子で特に目標もなくぼんやり暮らしてしまいそうな気がします…^^;
あ、そうだ。体調管理だけは注意して去年よりも病院に行く回数を減らしたいと思いますw

ということで今年も宜しくお願いいたします。

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2011/01/01

'11年01月の読了本

  • 堂場瞬一『チーム』(実業之日本社文庫)
    箱根駅伝の予選11位以下の大学の成績優秀な選手を集めた「学連選抜」というチームで箱根駅伝に参加することになった選手たちと監督の物語。過去の積み重ねがない、ただ1度の大会のために集められただけのメンバーが様々な葛藤を経て同じ目標を目指すチームとしてまとまって行く過程、そして試合の様子が丁寧に描かれていて読み応えがあった。
  •  柄刀一『時を巡る肖像』(実業之日本社文庫)
    イタリア帰りの絵画修復士・御蔵瞬介を探偵役にしたミステリー。事件の内容や人間関係が判りにくい部分が多かった。それと、探偵役が絵画修復士である必然性もちょっと希薄だったような。むしろ私は瞬介自身の家族の話をもっと読みたかったな。
  • 月島総記『巴里の侍』(メディアファクトリー)
    明治初期、フランス留学中に勃発した普仏戦争に市民兵として参加した日本人の青年を描いた小説。導入部がもたついたけど、戦闘シーンはスピード感があってサクサク読めた。魅力的な人物が多かったのでもう少し会話や心理描写がしっかりしてるともっと面白かったと思う。
  • 中山七里『さよならドビュッシー』(宝島社文庫)
    面白かった。読みやすいし、どんどん引きこまれて一気読み。でも、ピアノの話と事件は別々のほうがよかったなあ。まあ、あの結末を持ってくるには事件が必要だったんだろうけど、もっと素直に音楽の話でもよかったような気がする。
  • 大崎梢『スノーフレーク』(角川書店)
    話の展開はスムーズで読みやすいし面白かった…けど、人間関係の部分はちょっと甘すぎかなあ。大昔に読んだ少女漫画みたいでちょっと気恥ずかしかった。若手アイドルを起用した映画の原作によさそう。版元が角川さんだから実現性ありかも?
  • 東野圭吾『赤い指』(講談社文庫)
    先日のドラマはかなり原作に忠実に作られていたのね。よって、納得出来ない部分もドラマと同じだった。前原家の親子より加賀家の親子のエピソードの方が印象的だった。
  •  富樫倫太郎『早雲の軍配者』(中央公論新社)
    北条早雲に才能を見出された若者 小太郎がその庇護のもと名門・足利学校に入学し、戦を司る軍配者として成長していく物語。噂通り面白かった!小太郎はまっすぐ過ぎてあまり面白みがないけど、脇役はみんな癖があっていい。最後ちょっと駆け足になったのが残念。
  • 小路幸也『カレンダーボーイ』(ポプラ文庫)
    48歳のおじさん2人がその記憶を持ったまま36年前と現代を行き来出来るようになってしまう。そこで2人が立てた計画は…という話。面白かった。途中の展開もいいけど、ラストにぐっときた。切なすぎるほど切ないけど、この物語にはぴったりの結末だったと思う。
  • 秋山香乃『漢方医・有安 波紋』(朝日文庫)
    シリーズの2作目。前作同様人情味あふれる時代小説らしい作品。ただ口当たりがよすぎてちょっと物足りない気もした。同心の堀田をもう少し魅力的に書いてほしいなあ。
  • 夏川草介『神様のカルテ』(小学館)
    主人公の一止のキャラクター設定が独特なのが最後まで気になった。病院の同僚との会話はいちいち面倒臭いし、病院の激務についての描写も説明的過ぎる感じ。愛妻のハルやアパートの住人、病院でも患者との会話やエピソードはよかったんだけどな。
  • 富樫倫太郎『SROⅡ 死の天使』(中公文庫)
    重症患者を死に導くことを神から与えられた使命だと信じ勤務する病院で殺人を繰り返す医師とSRO(警視庁広域捜査専任調査室)メンバーの攻防。犯人側も、警察側の設定もどこかで見たことあるような感じだったけど人物の書き分けが上手く一気に読めた。
  • 秋山香乃『漢方医・有安 ちぎれ雲』(朝日文庫)
    シリーズ3冊目。2冊目よりもストーリーに広がりと意外性があって面白かった。特に有安の元に出入りする同心の平介と小者の健太が20年前に突然消えた健太の息子を探す「残夏」がよかった。解決されないままになっているあれこれも少し前に進めて欲しい。
  • 栗本薫『吸血鬼 お役者捕物帖』(朝日文庫)
    内容はちょっとワンパターン気味だし心に残るようなものもなかったけど、文章、特に会話文のテンポがよくて読みやすかった。小説というより脚本に近いかも。主人公の夢之丞が突出していてそれ以外の登場人物の印象が今いち薄いのが残念。
  • 山本兼一『千両花嫁 とびきり屋見立て帖』(文藝春秋)
    親に認めてもらえないまま祝言をあげ道具屋を始めた真之介とゆずが周囲で起こる騒動を持ち前の機転と度胸で解決して行く話。面白かった。真之介とゆずのお互いを思いやる気持ちが微笑ましい。客として新選組や高杉、龍馬などが登場するのはご愛嬌。

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