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2011/02/01

'11年02月の読了本

  • 中野翠『コラム絵巻』(毎日新聞社)
    コラムやエッセイってあまり読まないけど、中野さんの文章は好き。好き嫌いがハッキリしていて、特に好きなものへの愛情の注ぎ方が半端じゃないところがいい。あと、否定的な意見が下品じゃないところ。所々に挿入されている自筆の絵や書き文字も文章に合っていて好ましい。
  • 有栖川有栖『火村英生に捧げる犯罪』(文藝春秋)
    臨床犯罪学の火村准教授+推理小説家の有栖川有栖コンビの短編集。面白かった。短編なのでそんなに凝った内容ではないけど、その分色んなタイプのトリックや展開があって楽しめた。このシリーズは2人組で謎を解くミステリーの中で一番安心して読める作品かも。表題作の他「長い影」「鸚鵡返し」「あるいは四風荘殺人事件」「殺意と善意の顛末」「偽りのペア」「殺風景な部屋」「雷雨の庭で」の8編を収録。
  •  梶よう子『いろあわせ 摺師安次郎人情暦』(角川春樹事務所)
    絵師や彫り師の影に隠れがちな摺師を主人公に据えた時代小説。主人公安次郎を始め登場人物の性格付けが自然だし、特に大きな事件が起こるわけではないけれど、展開や登場人物の行動・心情が丁寧に描かれているので感情移入しやすく読みやすかった。各編のタイトルは全て摺師の技の名前。その手法に合わせた結末も嫌味なくきれいにまとまっていた。「かけあわせ」「ぼかしずり」「まききら」「からずり」「あてなぼかし」の5編を収録。
  • 山本兼一『ええもんひとつ とびきり屋見立て帖』(文藝春秋)
    『千両花嫁』の続編。政治(勤王とか倒幕とか)が絡む話と純粋に商売だけの話が混じってるけど、私は商売の話の方が好きだなあ。「ええもんひとつ」や「さきのお礼」みたいな話がもっと読みたい。上記2編の他「夜市の女」「お金のにおい」「花結び」「鶴と亀のゆくえ」を収録。
  • 有川浩『シアター!2』(メディアワークス文庫)
    面白かったっ!とにかくテンポがいい。文章にも会話にも淀みがないので読んでいて気持ちいい。あと、一つ一つのエピソードの展開が見事。本当にこんな人達がいて、それをみて書いてるんじゃないかと思うくらい自然だし説得力がある。あと1冊で終わるなんて勿体無い。
  •  松本清張『紅刷り江戸噂』(講談社文庫)
    時代推理小説短篇集。話の筋が判りやすいし、江戸弁もテンポが良くて読みやすいけど主人公が設定されないまま進むので感情移入し難い話が多かった。謎解きもあっさりしてるし。その中で「術」は人物設定、謎解きの過程、結末まできれいにまとまっていて一番面白かった。
  • 西澤保彦『夢は枯野をかけめぐる』(中公文庫)
    連作短編ミステリー。出だしの印象だともっとのほほんとした話になるのかと思ったら、けっこうシビアな展開、結末だった。老後とか介護とか人ごとじゃないんだよねえ…。ところで、この文庫版の表紙と帯のコピーは内容と全く合ってないと思うんだけど。
  • 赤川次郎『鼠、闇に跳ぶ』(角川書店)
    『鼠、江戸を疾る』の続編。前作同様テンポがいい文章で読みやすかった。ただ、今回の話は前作よりも深刻というか生臭い事件が多いので、内容と文章のバランスがあまりよくなかった感じ。特に終盤の敵との対決シーンはもうちょっと緊迫感が欲しかったな。
  • 川上弘美『古道具 中野商店』(新潮文庫)
    だいたいいつも何かしら事件の起こる話を読んでいるので、ただ淡々と日常の風景が綴られている話を読むと何となく落ち着かない感じがする。でも、その落ち着かない感じも含めて面白かった。声高にならずそこにあるものを切り取って行く文章が心地良かった。
  • 山本兼一『いっしん虎徹』(文春文庫)
    鉄を鍛え、ただ己が満足できる刀を作る事だけに生きた虎徹の後半生を描いた作品。苦しみ、悩み、迷いを乗り越え刀造りに全てをかける虎徹が鮮やかにどっしりと描かれていて読み応えがあった。虎徹を支える周囲の人々の書き分け、ゆるやかに収束して行く結末も見事。
  • 中島京子『平成大家族』(集英社)
    なんだかんだで同じ敷地内に4世代8人で暮らすことになった緋田家の物語。それぞれ別の人物の視点で語られる短編が11編。色んな立場、角度で家族とその中にいる自分が描かれていてどれも面白かった。軽妙なタッチの文章でサクサク読めるし、ラストも明るくてよかった。
  • 加藤実秋『Dカラーバケーション』(東京創元社)
    「インディゴの夜」シリーズの4作目。テンポのいい文章はそのままで、物語の発端や展開がスムーズになってきたし、登場人物の性格付けもハッキリしてきて楽しく読めた。ただ表題作は途中の展開がちょっと凝りすぎてた感じ。もっとシンプルでも良かったのでは。
  • 和田竜『のぼうの城』(上)(小学館文庫)
    予想に反してけっこう正統派の歴史小説。読みやすいけど、展開が遅いし本筋に関係ない挿話が多いのでちょっとダレる。歴史物を書く人ってどうして「ちなみに」話を入れたがるんだろう。上巻ラストでようやく三成軍との戦いが始まったので下巻に期待。
  • 和田竜『のぼうの城』(下)(小学館文庫)
    戦いの場面が多い下巻は展開も早く、緩急もあってなかなか面白かった。でも歴史小説というよりも、名門強豪チームと無名弱小チームのスポーツの試合みたいな読後感。そういうのを狙ったのならそれでもいいんだけど、だったら前半ももう少し軽快に書いて欲しかった。
  • 殊能将之『キマイラの新しい城』(講談社文庫)
    750年前に密室で死んだフランスの城主が現代の日本人に取り憑き、自分の死の真相を知るために探偵を雇う。その調査の途中でまた殺人事件が起こり…という話。かなり奇想天外な内容だけど、テンポよく進むので読みやすくて面白かった。
  • 畠中恵『こいしり』(文藝春秋)
    『まんまこと』の続編。一話目で麻之介がお寿ずと祝言をあげて夫婦になったのに、それ以降最終話までお寿ずの気配が物語の中に殆ど感じられないことに違和感。それぞれの話の顛末は面白いものが多かっただけに、その部分がすごく気になった。
  • 小路幸也『ラプソディ・イン・ラブ』(PHP研究所)
    全員が役者であり同時に家族でもある5人の、最初で最後の同居生活。一流の役者としての気持ちのいい緊張感と、家族としての穏やかな弛緩。唐突に始まるオープニングから、静かなエンディングまで綺麗に計算された作品。大人の家族の物語。とてもよかった。
  • 山本一力『たすけ鍼』(朝日文庫)
    相変わらずの深川話。読みやすいんだけどちょっと風呂敷を広げすぎでは。1つの問題が解決する前に次の問題がやってくるので大忙し。中には最後まで解決されないまま終わってしまった話もあったり。続編があるにしても、もうちょっと終わり方を考えて欲しかった。

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