富樫倫太郎/早雲の軍配者
伊勢(北条)早雲にその才能を見出された少年 小太郎は早雲の庇護の下、名門・足利学校に入学する。
身内との争いに悩みながらも友や師に恵まれ、さまざまな経験を経て小太郎が戦を司る「軍配者」として成長していく物語。
表紙イラストのイメージだと小太郎ってもっと悪知恵が働いて、腕っ節も強いガキ大将タイプなのかと思ったら全然そんなことなくて頭がよくて素直で優しい少年だった。
あまりにもまっすぐすぎてちょっと面白みに欠けるのが難点だけど、その分脇役はみんな個性豊かで楽しかった。
中でも印象的なのは少年・小太郎の才能を見出し手塩にかけて育てようとした韮山様こと伊勢(北条)早雲、そして小太郎と共に足利学校で学ぶことになる「山本勘助」。
特に勘助はその設定からしてすごい(笑)
最初に小太郎と出会うシーンでは全然イメージと違うので「あれ?」と思うんだけど、その後の展開にビックリ。
かなり奇抜な設定だけど面白かったのでマル。
勘助については別に『信玄の軍配者』という作品が出ているらしいのでこちらも読んでみよう。
早雲を敬愛し、早雲の指示によって小太郎の警護をすることになる十兵衛もいいキャラクター。
足利学校までの旅が危険だからと一緒についていくのに、一人で病気になって歩けなくなってしまう…ってどっちが警護役か判らないし。
それなのに謝るでもなくむしろ偉そうにしている十兵衛が笑えた(笑)
ただ、足利学校を出て軍配者となった小太郎の采配がちゃんと描かれているのは初戦だけ。
それもそれまでの丁寧で細やかな展開に比べたら随分駆け足な感じの描写になっていたのが残念だった。
もうちょっと敵との駆け引きとか心理戦の部分を読みたかったなあ。
あと、小太郎が軍配者になるまでにいろんな妨害にも遭うわけだけど、そのことにきちんとケリが付いていないのも気になった。
特に身内関係のいざこざについてはちゃんと納得しあえる結末にしてスッキリさせてほしかった。
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