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2011/05/01

'11年05月の読了本

  • 宮部みゆき『あやし』(角川ホラー文庫)
    随分前に買った文庫を再読。「怪談話」ということだけど、怖さよりも切なさ、哀しさが前面に出た短編集。文章の読みやすさ、展開の巧みさはさすが。あ、この文庫の表紙イラストは今市子さんだったのか。気づかなかった。イメージは「梅の雨降る」かな。
  • 『源氏物語 九つの変奏曲』(新潮文庫)
    「人気作家9人が織り成すまったく新しい「源氏物語」」というコピーがついていたけど、思ったよりも原作に沿った物語が多かったのが残念。その中では町田康の「末摘花」がオリジナリティがあって楽しかった。特に頭の中将の描き方が最高!他の話も読んでみたいなあ。
  • 諸田玲子『狸穴あいあい坂』(集英社文庫)
    ひょんなきっかけで知り合った火盗改の娘 結寿と町方の隠密同心 妻木がいくつかの事件を通して惹かれあって行く様子を丁寧に描いた連作時代小説。頑固者の結寿の祖父や元幇間の小者、大家の子供たちなど脇役の設定もきっちりしていて読みやすかった。
  • 宮部みゆき『あんじゅう』(中央公論新社)
    『おそろし』の続編。三島屋の黒白の間で語られる物語そのものはどれも面白かったけど、そこに至るまでの前置きがちょっと長すぎたような気もする。…と言いつつ表題作にはボロ泣きだったけど。ふんだんに挿入された南伸坊さんの挿絵も雰囲気ぴったりでよかった。
  • 小路幸也『オブ・ラディ・オブ・ラ・ダ 東京バンドワゴン』(集英社)
    今年も届いた堀田家の物語。今回もそれぞれがお互いを思いやり、大切にしたいと願う気持ちが溢れていた。それでも人は別れていく。別れは悲しいけれど、そこで立ち止まることなく前を向いて歩いて行こう。また誰かに出会うために。
  • 中島京子『冠・婚・葬・祭』(筑摩書房)
    「冠」「婚」「葬」「祭」それぞれをテーマにした4つの物語。どの物語もすごく静かで穏やか。そしてその中に品のいいユーモアと懐かしさがあって、読み終わると鼻の奥がツンとする感じ。特に「葬式ドライブ」は設定も登場人物もちょっと不思議でとてもよかった。
  •  中島たい子『漢方小説』(集英社)
    初めての作家さんだけど読みやすくて面白かった。登場人物の設定や状況の説明に感じられるユーモアのセンスが抜群。主人公の経験を通して語られる漢方医療の基礎には説得力があって、思わず漢方のお医者さんに診てもらいたくなった。近所で探してみようかな。
  • 冲方丁『天地明察』(角川書店)
    期待以上に面白かった!迷ったり悩んだり挫折したり落ち込んだりしながらも、いつかそこにたどり着くことを信じて改暦という難事業に挑み続ける春海の姿が清々しく心地いい。春海を取り巻く周囲の人々の描写もみな個性的で楽しかった。読み終わって前向きな気持になれる作品だった。
  •  有川浩『植物図鑑』(角川書店)
    多少覚悟はしていたけど、そんなものでは足りないくらいストレートに激甘なラブストーリー。出会いのきっかけからしてすごいシチェーション。そこで拾わないだろ、フツーw でも、ストーリーの展開やセリフの上手さはさすが。「カーテンコール 午後三時」が一番好き。
  • 富樫倫太郎『信玄の軍配者』(中央公論新社)
    「軍配者」三部作の2作目。出だしなかなかページが進まなかったけど、四郎左が駿河を出奔したあたりからスルスル読めるようになった。修行期間の描写が殆どだった小太郎のときよりも実戦の描写が多くて面白かった。次は冬之助が主人公の『謙信の軍配者』。楽しみ♪

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