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2011/05/25

有川浩/植物図鑑

植物図鑑
植物図鑑

多少覚悟はしていたけど、そんなものでは足りないくらいストレートに激甘なラブストーリー。
出会いのきっかけからしてすごいシチュエーション。
「ヒロインが酔って帰ってきたらマンションの前に行き倒れてる男がいたので拾ってきた」って…拾わないだろ、フツー(ーー;)
でもこれ、男女の立場が逆転してるから「すごい」と思うだけでむしろありがちなストーリーなのかな、という気もする。
拾った男をその後も置いておく気になったのも「彼が作ってくれた翌日の朝食」だし。
でも、出会った2人を街からちょっと離れた郊外の自然の中に連れ出して山菜(野草)採り+それを使った料理の数々というファクターを加えることでその「ありがちなストーリー」が新鮮なものになっていたし、2人の関係や気持ちの変化を丁寧に描いたストーリー展開やエピソードの使い方、自然でリズムのあるセリフはやはり上手くてするする読めた。
特にイツキがいなくなった当日の描写は圧巻。
突然の出来事を取り乱すこともできずただ静かに受け入れることしかできないさやかの深い喪失感を見事に表現していたと思う。

ただ全編を通してイツキがどんな男の子かはよく判るのに、さやかは「イツキが好き」ってことしかさっぱり判らなかった。
(語り手がさやかだから仕方ないのかもしれないけど)
好きなこととか趣味とか友達とか家族とか仕事とか。
イツキに会う前もさやかは生きていたんだろうにその形跡がほとんど判らない。
これだけだと「素直で可愛いけど、何も知らなくて何も出来ないヒト」にしか見えないんだけど。
もうちょっとそうじゃない部分があってもいいのでは?と思うんだけどなあ。
それとも「素直で可愛ければいい」ってことなんですか。そうですか。

ともあれ、普段ラブストーリーを読み慣れない私はかなりお腹いっぱいになりました。
ごちそうさまでした。

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