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2011/06/21

Anniversary 50 カッパ・ノベルズ創刊50周年記念作品

Anniversary50 (アニバーサリーごじゅう) (カッパ・ノベルス)
Anniversary50 (アニバーサリーごじゅう) (カッパ・ノベルス)

綾辻行人、有栖川有栖、大沢在昌、島田荘司、田中芳樹、道尾秀介、宮部みゆき、森村誠一、横山秀夫という錚々たるミステリー作家による書きおろしアンソロジー。
それぞれ物語のどこかに「50」というお題を盛り込んだ作品が収録されている。

アンソロジーは収録作品にばらつきがあることが多いけど、これは始めからこの本のために集められた作品ばかりなのでどれもきれいにまとまっていて読み応えがあった。
またお祝いのための作品なので、全体的に明るく柔らかい雰囲気で終わる作品が多いのもよかった。
作品ごとのお題の使い方を読み比べるのも楽しい。
あまりにも自然に物語に配置されているので後から「そういえばどこで出てきたっけ?」と思うような作品も多かった。

私が好きだったのは宮部みゆきの「博打眼」と横山秀夫の「未来の花」。
「博打眼」は江戸怪談。
真面目に働いてきた商家の主人の元にあるやってきた「災い」をその家の娘と神社の狛犬が協力して退治する話。
短い作品だけどいつもの宮部さんの江戸物らしい、人情味あふれる柔らかな作品。
結末も明るく爽やか。
「未来の花」は《臨場》シリーズの倉石が主人公。
癌で入院している倉石の元に捜査一課の検死官がやってきて倉石に捜査の助言を求める話。
ベッドの上で現場の写真を見ただけで真相を言い当てる倉石の安楽椅子探偵っぷりがカッコいい。
最後に検死官に掛ける言葉にも重みがある。
お題の使い方もひねりがあって面白かった。

その他の収録作
綾辻行人「深泥丘奇談-切断」、有栖川有栖「雪と金婚式」、大沢在昌「五十階で待つ」、島田荘司「進々堂世界一周 シェフィールド、イギリス」、田中芳樹「古井戸」、道尾秀介「夏の光」、森村誠一「天の配猫」

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