映画:プリンセス トヨトミ
万城目学の同名小説の映画化作品。
原作がすごく面白かったので期待して観に行ったんだけど、期待が大きすぎてしまったかも…。
展開がすごく速くてテンポがいいので飽きずに見られるんだけど、その分断片的なシーンの連続で物語や人物像の掘り下げ方が足りなかったような気がする。
松平はボンヤリして何考えてるか判らない人だし、鳥居はただの食いしん坊だし、旭はツンケンしてるだけだし。
特に鳥居は「ミラクル鳥居」というセリフが何度も出てくるわりにミラクルな部分がほとんど出てこないので、セリフの意味が生きてるようには思えなかった。
せっかく鳥居役に綾瀬はるかを持ってきたのに、あれじゃあおとなしすぎるでしょう。
もっと暴れさせてもよかったと思う。
あと、原作ではもっと笑えるシーンが多かったような気がするんだけど、映画は思った以上にシリアスな出来上がりだったのでビックリというかガッカリというか。
小さな部分では変な仕掛けがあったりするんだけど、それがうまく伝わって来ない。
何となく笑いで行こうかシリアスで行こうか迷ったまま走りだして中途半端に終ってしまったよ、的な感じがした。
そんな中一番美味しい役回りだったのは、もしかしたら大阪城公園のたこ焼き屋のにいちゃん役で出てきた玉木宏だったかもw
無駄に出番が多くて、しかもストーリーには全く絡まないところがよかった(笑)
そして何より一番失敗だったのは、原作では女だった旭を男にしたこと。
映画のキャスティングを聞いた時から「旭が女性じゃなかったらあの最後の独白シーンはどうなるの?」って心配だったけど、その心配がそのまま出てきてしまった感じ。
(別に岡田くんが悪いわけではなく設定の問題)
だって、原作では旭のあの独白があるからこそ、大阪国を支えているのは男じゃなくて実は女なんだってことがわかるわけでしょう。
それがスッパリなくなってるから「なんだか男どもが勝手なこと言ってるよ」という感想になってしまうし、その存在意義に納得も出来ないわけで。
あのシーンは短いけどこの物語にとってかなり重要だったはず。
それを設定の変更でなくしてしまうのであれば、同じくらいの説得力を持った設定を新たに組み込まなければ物語は完結しないんじゃないのかな。
少なくとも私はあれでは納得できなかった。
こんな細々したオリジナルグッズを作っている暇があるならその辺をもっとどうにかしろ、と言いたい。
あと、誰もいなくなった大坂、午後4時だっていうのに電気点きすぎですw
そんなにつまらなかったわけではないのに感想を書いてみたらいいことがちっとも出てこないな…^^;
え~と、真田役の中井貴一さんがよかったです。
落ち着いていて誠実そうで。
特に倒れた松平と会った後、府庁に戻ってきて見せた笑顔は素晴らしかった。
あと茶子役の沢木ルカちゃんの意志の強そうな目が印象的。
ところで、作品のタイトル、原作は中丸付きで「プリンセス・トヨトミ」なのに、映画は間がスペース(「プリンセス トヨトミ」)なのはなぜ?
(仮)映画オリジナル・サウンドトラック「PRINCESS TOYOTOMI」 ![]() | プリンセス・トヨトミ (文春文庫) ![]() |
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