宮木あや子/雨の塔
都会から遠く離れた港町にある資産家の娘だけが入学を許可される女子大。
広い敷地の中に生活に必要なすべての施設が立ち並び、すべてのものが学生証だけで手に入る。
ただ一つ外界からの情報を除いては。
緩やかで贅沢な牢獄に閉じ込められた4人の美しい少女たちの美しくて儚くて静かで哀しい物語。
淡々とした硬質な文章が印象的で、作品のイメージにあっていてよかった。
登場人物が4人しかいないのに、それぞれの名前とキャラクターがなかなか結びつかなかった。
特に小津と矢咲は2人がごっちゃになってしまって、3分の1くらいまでは最初の出会いのシーンを何度も読み返した。
みんな苗字だけで呼び合っていたことも影響しているのかな。
結末は今ひとつ中途半端な印象で残念。
苦しいことも辛いこともあるけど、それでも全員に明日への希望と力を与えて欲しかった。
カバーイラストも作品の雰囲気と合っていてとてもよかった。
鳩山郁子さんという漫画家さんの作品らしい。
単行本のカバーも同じ方の作品らしいけど4人が直接描かれている単行本版より、暗喩的に小さな綺麗なものがたくさん描かれている文庫版のイラストのが私は好きだな。
背景の色もとても綺麗。
今度作品も読んでみよう。
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