川端康成/眠れる美女
睡眠薬で深く眠らされた美しい少女と添い寝出来るという怪しい宿の客となった老年の男の物語。
随分前に買ったままだったのを引っ張り出して来てようやく読了。
表題作は女性側の設定に比べて主人公の男性が妙に軽薄で通俗的なのが印象的。
「自分はまだこういう場所に来るような年寄りではない」としきりに弁解するんだけど、すればするほど説得力がなくなるのが可笑しい。
2本目の短編「片腕」は再読。
この作品は好き。
「私は一緒に行けないけど代わりに片腕を貸してあげましょう」と言って片腕を外す女とそれを持って帰って一晩一緒に過ごす男、という設定が秀逸。
そんな尋常ではないやり取りをする男女なのに2人の人となりや関係については一切触れずに唐突に始まり、唐突に終わるところもいい。
ただ、最後の男の行動の変化は意味はよく判らなかった。
「夢から覚めた」ってことなのかな?
でも、男の方は自分が好きな女といろいろ関係を持っているのに、好きな女には上品さや純潔を求めているのがなんだかなー、な感じ。
むしろ「片腕を貸しましょう」なんて言っちゃう女のほうがいろんな意味で「危ない」と思うけどな。
全体的に対象物を描写する文章がとても丁寧で柔らかいのが印象的だった。
<収録作品>
眠れる美女 / 片腕 / 散りぬるを
解説:三島由紀夫
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