柳広司/ロマンス
昭和初期。
ロシア人を祖母に持つ美貌の子爵・朝倉清彬は突然上野のカフェー<聚楽>に呼び出される。
そこで彼が見たのは唯一の親友で伯爵家の跡取りである多岐川嘉人と、見知らぬ男の死体だった。
既に駆けつけていた警官を適当に煙にまいて嘉人を解放させることに成功したが、翌日特高の刑事が清彬の自宅を訪れ協力を要請してきた。
どんな感想を書けばいいのか困る。
文章はすごく読みやすいし、登場人物の設定もよかった。
でも、何が主題なのかがハッキリしない(というか敢えてずらして書いてあるように思える)のがどうにももどかしい。
年代が近いので『ジョーカー・ゲーム』や『ダブルジョーカー』みたいな展開になっていくのかしら?と期待していたけど、残念ながらそれはナシ。
最初から最後までかなり淡々と物語が進んでそのまま終わってしまう、という展開だった。
最初に死体が出てくるので「殺人事件を解決するミステリー」なのかと思ったけど、どうやら清彬には事件を解決しよう、犯人を探そうという積極的な意欲はさっぱりなさそうなことが早々に感じられたのでその可能性は捨てて読んでいたため、謎解きについての不満はなかった。
でも、ラブストーリーならもうちょっと感情的であってもよかったかも、とは思う。
登場人物では朝倉家の家令である喬木老人が好き。
朝倉家三代に渡って仕える身でありながら、いろいろ訳ありの騒動の末に朝倉家の当主となった清彬にも忠実に愛情を持って仕える姿がよかった。
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