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2011年9月の12件の記事

2011/09/30

三木笙子/世界記憶コンクール

世界記憶コンクール (ミステリ・フロンティア)
世界記憶コンクール (ミステリ・フロンティア)

先日読んだ『人魚は空へ還る』に続くシリーズ2作目。

とても良かった。
謎の内容もそれを解くまでの筋道も無理がなく安心して読める。
悲しい内容の話もあるけれど、他者に対する優しさ、温かさに満ちた結末に救われた。

登場人物の設定、書き分けも巧い。
前作と違って高広と礼以外の人物(若かりし頃の高広の義父・基博や前作で高広に助けられた恵)を主人公に据えてある作品が多かったけど、どれも展開が巧みで飽きさせない。
趣向が変わって楽しかった。

その分礼の登場シーンが少なかったのがちょっと残念だったけど…。

同じ道を歩く誰かがいると思えることはこんなにも心強いことなのか。同じ高みを目指すことをただひとつの資格として、どんな自分も受け入れてくれる場所が、ここにある。(「黄金の日々」p169)

<収録作品>
世界記憶コンクール / 氷のような女 / 黄金の日々 / 生き人形の涙

ところでこの作品、シリーズ名は「帝都探偵絵図」シリーズというらしい。
シリーズ名があったほうが便利なのは判るけど、なんとなく作品のイメージとは違うような気がするな…。

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2011/09/28

津原泰水/11 eleven

11 eleven
11 eleven

タイトル通り11の作品が収められた短篇集。

体調が悪かったせいか、通勤途中にぶつ切りで読んだせいか残念ながら今ひとつ入っていけず。

ただ、簡潔でリズムのある文章で読みやすかったし、いわゆるハッピーエンドは殆どないのに悲惨さや苦しみは一切無くてむしろ爽快感や穏やかさを感じる作品ばかりだった。

返すまでにまだ日数があるので週末にもう一回通して読もう。

<収録作品>
五色の舟 / 延長コード / 追ってくる少年 / 微笑面・改 / 琥珀みがき / キリノ / 手 / クラーケン / YYとその身幹(むくろ) / テルミン嬢 / 土の枕

今、Amazonを覗いたらユーズドの価格が軒並み3000円くらいになっていた。(定価は1785円)
今年の6月に出たばかりなのに…凄い。

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2011/09/26

三木笙子/人魚は空に還る

人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)
人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)

明治末期の東京を舞台にした短編連作ミステリー。
現在3冊出ているシリーズの1作目。

気まぐれでわがままな美貌の天才絵師・礼と彼に振り回される正義感溢れる雑誌記者・高広の組み合わせがいい。
特にいつもは傍若無人でクールですんごい偉そうなのに謎解きが絡むとワクワクしてテンションが上がってしまう礼の性格設定が絶妙。
目が離せませんw
さらにこんなに謎が好きなのに自分では謎解きはしない、という設定も上手い。

そんなに重くなくサラリとした内容で、ラストも温かさを感じる気持の良い物語ばかりで読みやすかった。
このあとの作品も楽しみ♪

<収録作品>
点灯人 / 真珠生成 / 人魚は空に還る / 怪盗ロータス

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2011/09/20

赤城毅/書物法廷

書物法廷 (講談社ノベルス)
書物法廷 (講談社ノベルス)

『公表されれば一国の政治や経済をも揺るがしかねない秘密を孕んだ本を、依頼人の求めに応じて合法非合法、手段を問わずに獲得する』という「書物狩人」シリーズの3作目。

相変わらず、見事な銀髪の謎の東洋人、le Chasseur(ル・シャスール)のクールでクレバーな活躍がカッコいい。

今回は本を手に入れた後の取引相手との駆け引きが殆どだった。
それはそれで面白いし、あれだけ込み入った内容をスムーズに読ませる筆力は凄いと思うけど、出来れば手に入れるまでの過程をもっと詳しく読みたかったな。

次回作に期待。

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2011/09/18

津原泰水/たまさか人形堂物語

たまさか人形堂物語
たまさか人形堂物語

祖父から譲り受けた小さな人形店のオーナー・澪とそこで働く2人の修復師(天才肌で口の悪い富永と、物腰が柔らかく熟練された技術を持つ師村)を中心にした物語。

想像していた展開とはちょっと違ったけど、とても面白かった。
テンポの良い文章が心地いい。
それと、時々地の文に挿入される澪の心の中のつぶやきが効いていた。

素人同然のオーナーの澪と、癖のある2人の修復師の関係がよかった。
なので最後のほうの展開は「え~、そうなの?それを選んじゃうの?」とヤキモキしたけど、最後の最後で大逆転して「なるほど、そう来たか」とニヤニヤしてしまった(笑)
ちょっとベタなラストだけど、私の期待していたとおりになったので許すw
いいなあ、こういう職場環境って理想かも。

ただ、物語の内容としては、「お客が持ち込んでくる人形とその持ち主の関係に潜む秘密や謎を3人が解決する」みたいな話が読みたかったので、その手の話が少なかったのがちょっと残念。

<収録作品>
毀す理由 / 恋は恋 / 村上迷想 / 最終公演 / ガブ / スリーピング・ビューティ

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乾くるみ/カラット探偵事務所の事件簿1

カラット探偵事務所の事件簿 1 (PHP文芸文庫)
カラット探偵事務所の事件簿 1 (PHP文芸文庫)

金持ちの息子・古谷が始めた謎解き専門の探偵事務所に持ち込まれた6つの謎とその答え。

設定がちょっと変わってるけど、物語の展開はストレート。
変な思わせぶりや、ミスリード、横槍がなくて読みやすい。
スピード感があるし謎解きも出し惜しみがなくて気分よくサクサク読めた。
謎解き役の古谷のキャラもよかった。

ただ、最後に「そうだったのか!」的な展開があるんだけど、私はこの設定は余分だったと思うな。
なぜここでこんな展開になるのかちょっとよく判らなかった。

<収録作品>
卵消失事件 / 三本の矢 / 兎の暗号 / 別荘写真事件 / 怪文書事件 / 三つの時計

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2011/09/15

池端洋介/若さま料理事件帖 包丁の因縁

若さま料理事件帖 庖丁の因縁 (静山社文庫)
若さま料理事件帖 庖丁の因縁 (静山社文庫)

シリーズ2作目。

今回もストーリーや設定がしっかりしてるし文章にリズムがあって読みやすく登場人物も多彩で面白かった。
特に平八郎を気に入って何かと一緒に付いてくるやくざ者の忠治とその妹で売れっ子芸者の八重の兄妹の口喧嘩のシーンは勢いがあって楽しい。

偶然出会った、親に恵まれない幼い兄弟に料理を教えることで2人の将来につながる道をつけてやる展開もとてもよかった。

ただ、だんだん敵方との探り合いや対決がメインになってきて、肝心の料理の描写が若干薄くなってきてるのが残念。
難しいかもしれないけど、料理が単に敵方に忍び込む手段にならないようにうまくバランスを取って書いていってほしいなあ。

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2011/09/14

佐々木裕一/公家武者 松平信平 狐のちょうちん

公家武者 松平信平 狐のちょうちん (二見時代小説文庫)
公家武者 松平信平 狐のちょうちん (二見時代小説文庫)

将軍家光の正室となった姉を頼り江戸に出て五十石取りの旗本になった元公家の鷹司(のちに松平)信平が主人公。

これまたTVの時代劇のような勧善懲悪展開の作品w
面倒くささが一切ない単純な展開でサクサク読めて楽しかった。
表紙イラストのせいか、ラノベのような雰囲気もありつつ。

公家の身分を捨てて旗本になったくせに「動きやすいから」といつまでも狩衣を着ているという信平(「しんぺい」じゃないよ)が可愛い。
ただ、最初の話から次の話に行くまでに急に3年も経つのはもったいなかった気がする。
もうちょっと若くて江戸に慣れていない美少年・信平が周囲を混乱させる物語が読みたかった。
その間に信平に好意的で後ろ盾でもある将軍・家光があっさり死んでしまっているのにもビックリ。
このへんは史実だから変えるわけにはいかないんだろうけど、だからこそもうちょっと生きてるうちに丁寧なやり取りがあったほうがよかったと思うんだけどな。
それに一番のアピールポイントである元公家という設定がだんだん曖昧になってしまったのも残念。

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2011/09/13

池端洋介/若さま料理事件帖 秘伝語り

若さま料理事件帖 秘伝語り (静山社文庫)
若さま料理事件帖 秘伝語り (静山社文庫)

料理が得意な水戸藩の家老の息子・平八郎が脱藩してやってきた江戸で事件に巻き込まれる、という話。

TVの時代劇みたいな変なノリの話だけど、テンポがいいし登場人物に嫌味がないのでスムーズに読めた。
料理の話もきちんとしていて好感が持てる。
ただ、全体的な流れは「料理」で来てるのに、最後の決着はやっぱり「剣」頼りになってしまうのがちょっと残念。
といっても「料理で敵を倒す」じゃ毒殺か、あるいは怪しげな忍術みたいになってしまうからそれも変か(汗)

敵方の設定が怪しすぎて笑えたw

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2011/09/12

佐藤雅美/一心斎不覚の筆禍

一心斎不覚の筆禍 物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)
一心斎不覚の筆禍 物書同心居眠り紋蔵 (講談社文庫)

南町奉行所で例繰方(過去の判例のまとめや判決の調査をする係)を勤める紋蔵を主人公にした連作短編集。
シリーズ9作目。

佐藤さんの著作を読むのは2作目なんだけど、やっぱりちょっと苦手かも…。

事象や人物についての説明するときに中心からすごーく遠い場所から始まるので、何を言おうとしているのかなかなかつかめなくて途中で飽きてしまうことが多かった。
それから登場人物たちの性格設定や人間関係もよく判らなかった。
(といってもこれは9冊も出ているシリーズものの9冊目をいきなり買った私も悪いんだけど(汗))

話の展開自体は面白いものもあったけど、終わり方が今ひとつスッキリしなくてモヤモヤ。
もっとキッチリ白黒つける形のが私は好きだなあ。

いい悪いではなく相性の問題だと思う。
たくさん時代小説を書いていらっしゃる作家さんなのに残念。

<収録作品>
女心と妙の決心 / 江戸相撲八百長崩れ殺しの一件 / 御奉行御手柄の鼻息 / 文吉の初恋 / 天網恢々疎にして漏らさず / 一心斎不覚の筆禍 / 糞尿ばらまき一件始末 / 十四の娘を救ったお化け

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2011/09/10

画像編集ソフト:Photoscape

久々にPCに新しいソフトをダウンロードしてみました。

Photoscape

無料の画像編集ソフトなのですが、軽くて操作しやすい上に機能満載でなかなかいいです。
基本的な画像補正やリサイズが出来るのはもちろん、画像装飾の種類が多くいろんな加工ができます。

例えば…

<画像にフレームを付ける>
フレームの種類は150以上あります。
ダウンリストで選択するとそのままプレビューできるので仕上がりがすぐに確認できます。

kakou02

アンティークフレーム。


kakou03切手風


<トーンを変える>
セピアやモノクロにもボタンひとつで変換できます。

kakou04

<ふきだしやテキストを入れる>

kakou05 ふきだしや文字入れも可能です。
吹き出しの種類やフォント、大きさ、文字色、位置も簡単に設定できるし、何度でも修正可能です。


<モザイクをかける>
kakou06

モザイク処理も簡単。


<複数の画像を1枚にまとめる>

様々な枚数や配置の組み合わせのパターンがこれも100種類以上あって、kakou01選択したパターンの上に画像をドラッグ&ドロップしていくだけで複数の画像を1枚にすることができます。
残念なのはパターンの形が全部正方形なこと。
横長や縦長があるとブログのタイトル画像やWebサイトの壁紙にも便利に使えそうです。

その他、アニメgifを作るツールも入っています。

外国のソフトのようですが、最初の設定で言語を日本語にしておけばきちんとした日本語で表示されます。
また操作自体簡単なので適当にボタンを押していけば問題なく使えると思いますが、丁寧な解説をされているサイトがありましたのでご紹介しておきます。

フリーの画像加工ソフト・PhotoScapeの色々な使い方(kachibito.net様)
Photoscape(フォトスケープ)の使い方 花のポストカードやさん別館

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2011/09/03

高橋克彦/源内なかま講

源内なかま講
源内なかま講

名前を大声で名乗ることは出来ないが、晴れて自由の身となった源内と、役者の蘭陽、絵師の春朗の3人が、「もしかしたらあるかもしれない」お宝を探しに源内の故郷・讃岐まで旅をすることに。
その道中で出会った事件や怪異を綴った短篇集。
『だましゑ歌麿』シリーズ最新刊。

面白かった。
蘭陽の毒舌と儲け話に目がない性格に磨きが掛かっていて笑える。
でもどんなに自分勝手に話を進めて周りを面倒に巻き込んでも、一番危ない役は自分で買って出るし、お金に目がないけどケチではないし、更に最後は思いやりのある話に落ち着くところがいい。

前作『蘭陽きらら舞』は内容のわりにページが少なすぎて中途半端に終わってしまっている作品が多くかったけど、今回はどれも短いページの中でうまく盛り上がったし結末もきちんとしていて楽しめた。

高橋さんの作品ってセリフが独特。
単語だけ放り出したような体言止めが多い。
普通だったら違和感があるような書き方だけど、何故かスルッと読めるし却って物語にリズムが出るのが不思議だなーと思う。

旅の途中で新しい仲間も加わって(十辺舎一九と香具若衆出身の鬼若)今後の作品も楽しみ。
ただ、今回も仙波家の面々は冒頭にちらりと姿を見せただけ、というのがちょっと寂しい。
出世して与力になってしまった仙波よりも、自由業の蘭陽や春朗のほうが動かしやすいってことなのかな。

<収録作品>
打ち水 / 源内焼 / 船幽霊 / 鬼ヶ島 / でれすけ / 香具若衆 / 玉櫛笥 / 屋島のたぬき / 手長 / 厄介講

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