辻真先/世紀の殺人
明治から続く広告会社で社史編纂作業が開始される。
現在も会社の実権を握る98歳の会長・福は、上司とぶつかり退社寸前のコピーライター・出石にその仕事を一任する。
出石が会社の過去を調べていくとそこには驚愕の事実が隠されていた…。
冒頭の、社史によせた福の口上や社史を小説仕立てにするといった発想、その社史の文章と実際の小説の展開が交錯する設定などから受ける印象だともっと軽い感じの読み物なのかなと思ったら、読んでいくうちに本格的な殺人事件になってくるのが意外だった。
でも明治から平成にかけて100年以上に及ぶ長いスパンの物語で、登場人物が多いけど描き分けが上手く、まとまっていて読み易かった。
最後の福による真実の告白にはビックリ。
なるほど、そう来ますか…。
確かにそれらしい記述はあちこちに散らばっていた気はするけど、まさかそういうオチとは。
ラストはかなり多くの人間が死んでしまう展開だったけど、きっちり終わっているせいか読後感はそんなに悪くなかった。
物語の中で福の口から語られる明治以降の日本の広告史(多分これは事実)の紹介も興味深かった。
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