川に死体のある風景
「川に死体のある風景」から始まる書きおろし短編ミステリのアンソロジー。
執筆陣は歌野晶午、黒田研二、大倉崇裕、佳多山大地、綾辻行人、有栖川有栖の各氏。
いろんなアプローチがあって楽しめた。
特に大倉さんと有栖川さんの作品がよかったな。
歌野晶午「玉川上死」
前半は面白くて引きこまれたし謎解きも内容はよかったけど、謎を解いたのが被害者の父親だということにちょっと違和感。
息子をなくしたばかりの父親があんなに冷静にあんな結論を引き出して来られるものかなあ。
もう少し関係の離れた人物(母親のきょうだいとか)のがよかったんじゃないのかな。
黒田研二「水底の連鎖」
物語よりも「毎朝出勤前に朝食を作りに来てくれる2つ年下の幼なじみだけど、妹のようなもので恋人だとは思ってない。多分相手もそう思ってるはず」という人物設定のほうが気になったw
大倉崇裕「捜索者」
あとがきに
「これ、どう読んでも『川に死体のある風景』じゃなくて『山に死体のある風景』だよなあ」
とあって、ホントにそのとおりなので笑えた。
でもすごく面白くて引きこまれた。
山岳救助隊のメンバーの性格設定もいい。
佳多山大地「この世でいちばん珍しい水死人」
残念ながらよく判らなかったし、物語にも入っていけず。
綾辻行人「悪霊憑き」
超常現象(?)が出てくるちょっと異色の作品。
でも、事件そのものは伏線や動機、手段もそことは関係ない部分できちんと設定されているミステリーだった。
ただ、それよりもあとがきで「当初はこんな話を書こうと思っていた」とプロットだけが紹介されていた話が魅力的!
読んでみたかった!
有栖川有栖「桜川のオフィーリア」
学生アリスが出てくる小品。
山あいの小さいけれど美しい川。
散りゆく桜の花びらととともに浮かぶ美少女の死体…という美しく悲しい情景で始まりそのままのイメージでエンディング。
雰囲気もよかったし、とても読みやすく面白かった。
作家アリスはわりと読んでるけど学生アリスシリーズのほうは読んだことないので、今度探してみよう。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- '09年8月の読了本(2009.08.01)
- 樋口裕一/読ませるブログ 心をつかむ文章術(2009.07.29)
- 大石直紀/輪廻の山 京の味覚事件ファイル(2009.08.03)
- '09年9月の読了本(2009.09.01)
- 海堂尊/ひかりの剣(2009.09.13)
「読了本」カテゴリの記事
- '09年8月の読了本(2009.08.01)
- 樋口裕一/読ませるブログ 心をつかむ文章術(2009.07.29)
- 大石直紀/輪廻の山 京の味覚事件ファイル(2009.08.03)
- '09年9月の読了本(2009.09.01)
- 海堂尊/ひかりの剣(2009.09.13)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント