宮部みゆき/おまえさん(上下)
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橋のたもとで惨殺されていた身元不明の男と、自分の家の寝間で殺された名の通った薬種問屋の主人。
まったく関係がないように思われた二つの事件を調べ始めた平四郎は、二十年前誰にも気付かれずに闇に葬られた事件の存在を突き止める。
ハードカバーと文庫、両方が同時発売された宮部さんの新作。
私は文庫版で購入。
面白かった。
まっすぐに事件の経緯とその真相を追いかけていた前半。
そこから一転、それぞれの登場人物の人となりや人間関係に寄り添った描写になった後半。
かなり遠回りしてるなあと思いつつもそれぞれの想いを紡ぎだす丁寧な描写にひたすら引き込まれた。
いろんな事件が起きてそれがまたそれぞれ絡み合ってるし、登場人物の出入りも多いのに「この人誰だっけ?」「それって何の話?」にならずにするすると物語が頭の中に入ってくるのがすごい。
お徳や政五郎親分などお馴染みの登場人物たちも健在。
特に弓之助とおでこはそれぞれの環境の中で少しずつ大人になっていて、なんとなく久しぶりにあった親戚の子みたいな感じだったw
(最後のほう、おでこの活躍の場がなくて残念だった!)
前半では(見た目はともかく(^.^;)礼儀正しくスッキリした気質の将来有望な若者だった信之輔が、初めての恋に目が眩んでグダグダになってしまってからの迷いや葛藤の描き方が素晴らしかった。
その信之輔におとく屋の二階で源左衛門が昔語りをするシーンは泣けた。
弓之助の兄・淳三郎のキャラ設定や出し方、絡ませ方も上手いなあ。
(個人的には生田斗真くんのイメージw)
宮部さんの時代物はしっとりした作品が多くて、それはそれで大好きだけど、こういうタイプの人物を主人公にした軽い感じの作品も読んでみたいな。
ラストはかなり切ない終わり方だったけど、改めて宮部さんの「巧さ」を感じられた作品だった。
大満足!
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