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2012年2月の13件の記事

2012/02/28

宮部みゆき/幻色江戸ごよみ

幻色江戸ごよみ (新潮文庫)
幻色江戸ごよみ (新潮文庫)

江戸下町の商家や長屋で起こる不思議なできごとを題材にした短編集。

怖い話、ほっこりする話、じんわりする話と多種多様。
導入部から人物の紹介、物語の本編へと少ない枚数で的確に、それでいて情感たっぷりに綴られて行く語り口が見事だった。

この作品を読むのは二度目。
今週末に見に行く朗読劇のテキストなんだけど、内容をすっかり忘れていたので予習として読んでみた。
結果、「ホントに前に読んだことあるの?」というくらい楽しめた(いつものことだw)
どの作品が登場するのか、それがどんなふうに舞台に現れてくるのか、今からとても楽しみ。

<収録作品>
鬼子母火 / 紅の玉 / 春花秋燈 / 器量のぞみ / 庄助の夜着 / まひごのしるべ / だるま猫 / 小袖の手 / 首吊り御本尊 / 神無月 / 侘助の花 / 紙吹雪

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2012/02/25

室積光/史上最強の内閣

史上最強の内閣
史上最強の内閣

隣国からのミサイル発射実験が現実として無視できない状況となったある日、現内閣は日本の舵取りを『影の内閣』に任せることにした-という話。

う~ん、つまらなかったわけではないけど、期待していたほどではなかったかな。真面目な部分と遊びの部分のバランスがあまりよくない感じ。
あと二条内閣の閣僚たちの性格設定は面白いけど、バックグラウンドがまったく説明されないので感情移入がし難かった。
(どの人が誰をモデルに書かれているのかは判るんだけど)

隣国の統治者の息子が遊園地で捕まるが何故か日本の芸能界で人気者になっていくあたりや、彼を奪還に来た隣国の工作員が日本に残ってアイドルグループとして成功し彼らを通じて世論がまとまっていくあたりはなかなか面白かった。

確かにこういうふうに何者にも束縛されず有言実行、判りやすい論理で動いてくれる内閣、閣僚だったらいいのかもしれない。
でもいくら政治家が有能だったとしてもそれだけで国が動いてるわけじゃないよねえ、というのをこれを読むことで逆に気付かされた気がするな。

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2012/02/22

赤城毅/書物輪舞

書物輪舞 (講談社ノベルス)
書物輪舞 (講談社ノベルス)

「書物狩人」シリーズ5作目。

ル・シャスールと依頼人の接触から始まって入手する本の来歴や背景の説明、その後のル・シャスールの行動と結果まで丁寧に描かれていて読み応えがあった。
特に3話目の「ダイヤモンドより永遠に」のシャスールと依頼人のやり取りは印象的。
今回の作品で敵役のミスター・クラウンとの対決姿勢も明確になって、今後はさらにきな臭く複雑な展開になりそう。
でも、そればかりに集中せずに今回のような依頼人との濃やかなやり取りを描いた作品も引き続き書いて欲しい。次回作も楽しみ。

<収録作品>
死すこと許されぬならば / 書物の復讐 / ダイヤモンドよりも永遠に / やんごとなき犯罪

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2012/02/20

近藤史恵/ホテル・ピーベリー

ホテル・ピーベリー
ホテル・ピーベリー

訳アリの青年が現実から逃れるようにハワイ島に行くところから始まる。
彼の精神状態とハワイ島がもつ緩やかな雰囲気を反映するかのように物語もゆるゆると進んでいくので、途中で「え?これってミステリじゃなかったっけ?」と思わずネットで粗筋を検索してしまったくらい。
いつもだったら物語が始まってすぐに事件が起こってそのあとはその解決に向かってどんどん進んでいくというパキパキした展開の話が好きで前振りが長い話はどちらかというと苦手なんだけれど、この作品に関してはそのゆったりした雰囲気がよかった。

最後もぎりぎりまで謎解きがされないので、「もしかして謎は謎のまま終わるのかな?」と思ってしまった。
でも、その謎を解くことが青年の新たな希望となるのならそういう終わり方でもいいかもねー、という気分にさせてくれる不思議な物語だった。

ちなみにハワイ島には3日だけ滞在したことがある。
温暖で、静かでゆったりしていて気持ちいい場所、という印象。
物語の結末は決してハッピーエンドではなかったけれど、ゆったりとすべてを飲み込んでゆくようなあの島の雰囲気がうまく表現されていたと思う。

ホテルの唯一の女性客であった桑島七生の設定と、物語後半で七生を迎えに来た恋人との対峙の場面がよかった。

そういえば、この本の表紙と似た写真が使われた作品をどこかで見た記憶があるんだけど何だったか思い出せないのが気持ち悪い…。
(多分CDジャケットじゃなかったかな~?と思うんだけど、それさえもあやふや)

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2012/02/17

Mystery Seller 新潮社ミステリーセラー編集部編

Mystery Seller (新潮文庫)
Mystery Seller (新潮文庫)

8人の推理作家による短編ミステリーのアンソロジー。

犯人探しとかアリバイ崩しとかいった普通の(?)ミステリーではなく、状況自体が謎といった感じの作品が多かった。
読者からは全体像が見えないので先の見通しがきかず、ちょっとホラーっぽい要素もあり。
個人的にはこの間読んだ『七つの死者の囁き』より怖かったかも。

そんな中で一番ストレートにミステリーっぽかったのは有栖川さんの学生アリスが出てくる作品。
テンポがよくてオチも面白かった。

米澤さんの作品は内容的にはあまり好みじゃないけど印象的。
ジワジワと怖い…というより気持ち悪さが残る作品。

我孫子さんの作品は予想外の結末で面白かった。

<収録作品>
島田荘司「進々堂世界一周 戻り橋と悲願花」 / 有栖川有栖「四分間では短すぎる」 / 我孫子武丸「夏に消えた少女」 / 米澤穂信「柘榴」 / 竹本健治「恐い映像」 / 北川歩美「確かなつながり」 / 長江俊和「杜の囚人」 / 麻耶雄嵩「失くした御守」

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2012/02/13

万城目学/かのこちゃんとマドレーヌ夫人

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)

小学校1年生のかのこちゃんと、かのこちゃん家の飼い猫・アカトラのマドレーヌ夫人の日常を描いた物語。

とてもよかった。
最初は「女の子と猫の縄張り争いみたいなドタバタした楽しい話かな」と思って気楽に読み始めたけど、実際はとても深く柔らかく温かく、そして切ない物語だった。
季節的にはかのこちゃんが小学校に入学する春先から秋までの約半年間なんだけど、特に夏休みが終わったあたりから涙腺決壊し始めて最後は号泣(T_T)
こういうさり気なく、でもきちんと「別れ」が描かれている物語にはホント弱い。

たった7歳なのに現実ときちんと向き合って身体と心全体で受け止めて成長していくかのこちゃんが眩しかった。
何があっても毅然として自分を見失わず、最後は恩返しまでしてしまうマドレーヌ夫人も素敵。
そしてマドレーヌ夫人の「夫」である玄三郎の男気に感動した。
かのこちゃんを優しく見守るお父さんとお母さんもいいし、かのこちゃんの「ふんけーの友」すずちゃんも可愛い。

どこをとっても本当にステキな物語だった。
読めてよかった。

でも判型が新書版だとは思わなかったな。
新書の棚で見つけたときはちょっとビックリした。

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2012/02/10

七つの死者の囁き

七つの死者の囁き (新潮文庫)
七つの死者の囁き (新潮文庫)

7人の作家による<死>あるいは<死者>をテーマにした短篇のアンソロジー。

ホラーというほど怖くはなく「ちょっと不思議な話」程度。
怖い話が苦手な私にはちょうどよかったし、作品全体の雰囲気もバランスがとれていて読みやすかった。
特に道尾さんの作品のラストがよかった。

タイトルが『「なな」つの「しし」ゃの「ささ」やき』と音を重ねる単語だけが使ってあるってことに気付いてちょっと感動(^^;;

<収録作品>
有栖川有栖「幻の娘」 / 道尾秀介「流れ星のつくり方」 / 石田衣良「話し石」 / 鈴木光司「熱帯夜」 / 吉来駿作「嘘をついた」 / 小路幸也「最後から二番目の恋」 / 恒川光太郎「夕闇地獄」

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2012/02/08

QED 鏡家の薬屋探偵 メフィスト賞トリビュート

QED 鏡家の薬屋探偵 メフィスト賞トリビュート (講談社ノベルス)
QED 鏡家の薬屋探偵 メフィスト賞トリビュート (講談社ノベルス)

メフィスト賞受賞者による人気シリーズを別のミステリー作家が執筆したアンソロジー短編集。

題材になった3作(佐藤友哉「鏡家サーガ」、高田崇史「QED」、高里椎奈「薬屋探偵妖綺談」)の中でちゃんと読んだことがあるのは「QED」だけだったせいか、この作品をテーマにした2作が一番面白かった。
(「鏡家~」は未読、「薬屋探偵~」は1作目のみ既読)

むしろ本編よりも人物設定かクリアで分かりやすかった>QEDトリビュート。 
本編では「ウザッ」と思う外嶋もちょっとかっこ良く思えたし、タタルもこのくらいの口数だと読みやすいんだけどなーw
(でも「パンよりご飯のほうが太る」と思ってる人って最近ではもうかなり少ないのでは(^.^;)

あとは薬屋探偵トリビュートの「リベザル童話」が可愛くてよかった(^^)

<収録作品>
竹本健治「漂流カーペット」(鏡家サーガ) / 西澤保彦「外嶋一郎主義」(QED) / 椹野道流「薬剤師とヤクザ医師の長い夜」(QED) / 令丈ヒロ子「リベザル童話『メフィストくん』」(薬屋探偵妖綺談) / 時村尚「一杯のカレーライス」(薬屋探偵妖綺談)

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2012/02/06

今野敏/とせい

とせい (中公文庫)
とせい (中公文庫)

この間読んだ『任侠学園』の前に来る話で、舞台は倒産寸前の出版社。

展開は『任侠学園』とほぼ同じで特に目新しさはないけど、あくまで昔気質のヤクザの美学を貫く代貸 日村のかっこ良さがツボだったw
私の中では阿岐本組長は西田敏行で、日村はエンケンさんのイメージだな。

この内容で『とせい』というタイトルは分かりにくいので、次の作品を『任侠学園』のタイトルにしたのは正解だと思う。

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2012/02/05

東野圭吾/麒麟の翼

麒麟の翼 (特別書き下ろし)
麒麟の翼 (特別書き下ろし)

首都高の下に架かる日本橋の翼のある麒麟像の下で胸にナイフが刺さったまま倒れていた中年の男。
犯行現場から橋までは10分の距離があるのに、助けを求めることもなく橋を目指して歩いた男が最期に示したかったものとは。

寝る前に読み始めたら止まらなくなって一気読み。
丁寧に張り巡らされた伏線、それを一つ一つ解いていく緻密な展開、それでいてスルスルとページが先に進む読みやすさ。
さすがの面白さだった。

私は殆どあの界隈を知らないけど加賀と松宮と一緒に歩いている気分になった。

ただ、すごく読みやすいし上手いとは思ったけど、物語に感動するって感じはちょっと希薄。
全体的に感情よりも理性が勝っている感じの表現が多かったし、特に謎解き部分の描き方が淡白だったせいかな。

現在この作品を原作にした映画が公開中。
これだけ分量を2時間の映画にまとめるのは難しそう。
でもどの視点から見た物語にするかでかなり形が変わってくると思うので確認するのが楽しみ。
あと、多分映画版ではもっと情緒的な表現が多くなっていると思うので、いい感じに泣ける作品になっていると予想。

被害者の行動に微妙に疑問が残っているので、映画を見たらもう一回読み返してみよう。

映画『麒麟の翼~劇場版・新参者~』公式サイト

でも、この麒麟、画像で見た限りでは「ちょっと怖い…」と感じてしまうのは私だけなんだろうか。
なんとなく「ガーゴイル」っぽくない?(^.^;

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2012/02/04

青春ミステリーアンソロジー 寮の七日間

寮の七日間―青春ミステリーアンソロジー (ポプラ文庫ピュアフル)
寮の七日間―青春ミステリーアンソロジー (ポプラ文庫ピュアフル)

加藤実秋、谷原秋桜子、野村美月、緑川聖司各氏による

一、舞台は紅桃寮
一、四〇四 号室が「開かずの間」
一、事件の発生から解決までが「7日間」

を共通設定にしたミステリーアンソロジー。

最初にこの「共通設定」を読み飛ばしてしまったため、同じ場所の話を別の人が書いていくのね~って感じで読み始めた2話目の最初で「??」な状態になってしまったのだった(^.^;
そうではなく、名前だけが同じでそれぞれ別の場所の話。

加藤さん以外の3人はいずれも学校の寮が舞台。
それぞれ話自体はまったく別物なのに、舞台が学校だからなのかどこか似たような雰囲気を感じた。
その中では谷原さんの「聖母の掌底突き」が一番スムーズで読み易かった。
あと、上記の共通設定とは全然関係ないけど野村さんの作品が先日読んだ近藤さんの『ダークルーム』に収録されていた一編と人物関係の設定がかなり似ていたのが気になった。
ラストは違う展開になるので多分偶然なんだろうなあとは思うけど、続けて読んだので妙に印象に残った。

加藤さんだけは業界の健保が所有する寮が舞台。
スピーディで意外な展開な展開が面白かったけど、「あかずの間」の使い方はちょっと雑だった。

<収録作品>
谷原秋桜子「聖母の掌底突き」 / 野村美月「桃園のいばら姫」 / 緑川聖司「三月の新入生」 / 加藤実秋「マジカル・ファミリー・ツアー」

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2012/02/02

近藤史恵/ダークルーム

ダークルーム (角川文庫)
ダークルーム (角川文庫)

短篇集。

上手い。
どれも、いわゆる「いい話」ではなくちょっと苦味のある屈折した話なんだけど、読み始めると気持ちの中にスルッと入ってくる。
そして読後感も不思議と悪くない。

「窓の下には」のラスト一文が特に印象的。
あと「SWEET BOYS」の子供が母親似の女の子だったらどうだったのかな、なんてことを考えてみたり。

<収録作品>
マリアージュ / コワス / SWEET BOYS / 過去の絵 / 水仙の季節 / 窓の下には / ダークルーム / 北緯六十度の恋

ちょっと検索していたら60年前の小説で『北緯六十度の恋』(モーリス・ブデル)という作品があるのを発見。
あまりにも古くてどんな作品なのか判らないけど、最後の短編はこの作品と関係があるのかな。

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2012/02/01

渡瀬草一郎/源氏物の怪語り

源氏 物の怪語り (メディアワークス文庫)
源氏 物の怪語り (メディアワークス文庫)

タイトルに「源氏」とついているけど、作品自体ではなく著者である紫(藤)式部を主人公にした平安ファンタジー。

若くして亡くなった式部の姉が、娘の賢子を通して物の怪絡みの謎を解くという設定が面白かった。
人物設定や心理描写もわかりやすい。

ところで、この物語の中に陰陽師が出てくるんだけど、それが安倍晴明の孫なんだよね。
ところが先日見た映画「源氏物語 千年の謎」には晴明本人が、それも青年の姿で出てきてた。
「?」と思って調べてみたら、式部が彰子に仕えた頃(1006年頃)には既に晴明は死んでいるじゃないですか。(1005年没)
確かに陰陽師イコール安倍晴明というイメージはあるけど、年代を無視して死んだ人を出しちゃうのはちょっとどうなのよ、という気がした。
まあ、でも調べないとそんなことにも気づかない自分もどうかと思うけどね(^.^;

<収録作品>
春の櫻 / 夏夜の逢瀬 / 望月の候 / 煙の末

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