松井今朝子/東洲しゃらくさし
単純に「写楽は誰だったのか」な内容かと思っていたら、上方出身の戯作者・並木五瓶(作中では「五兵衛」)を登場させることで当時の大阪と江戸の歌舞伎を比較した内容にもなっており読み応えがあって面白かった。
蔦屋をはじめ、この時代に輩出された数多の文化人たちも大勢出てきて華やか。
ただ、写楽となった彦三は、性格が曖昧で今ひとつ迫力に乏しく印象が薄い。
むしろ五兵衛のほうが心情も行動も丁寧に描かれていた。
昔なじみで現在は江戸歌舞伎の大立者となっている瀬川菊之丞との緊張感があるやり取りが印象的。
この物語の主人公は五兵衛のほうだったのかな。
大阪から江戸へ出てきた彦三の才能を認めた蔦屋の命を受けて彼の世話をやく二八(のちの十辺舎一九)もよかった。
表紙は写楽の「大童山文五郎の土俵入り」(部分)。
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