夏川草介/神様のカルテ2
前作を読んだ時は漱石に影響を受けたという一止の口調がどうにも気になって物語に入り込めないまま読み終わってしまった本作。
その影響で続編を読むのもしばらく躊躇っていたんだけど、ふと思い立って読んでみたら…え、何?面白いじゃないですか!という感想。
一止の大学時代の親友・進藤の件も、古狐先生の件もストーリーに無理がないし、展開もすごくスムーズで読み易かった。
何よりあんなにいちいち引っかかった一止の喋りがすんなり入ってくることが驚き!
あまりの変わり様に自分でも驚くけど、楽しく本を読めたのは嬉しかった(^^)
古狐先生の顛末も沁みたけど、入院患者のトヨさんと、長年連れ添ったマゴさん夫婦のエピソードが切なくて美しくて暖かくて本当によかった。
また、家族を愛しながらも医師であるがゆえに自分をも顧みず患者第一の生活をせざるを得ない一止の前に、同じ生活によって家族を失いかけている進藤を配することがこの作品を単なる「いい話」以上のものにしていたと思う。
そしてそうしたものを全て受け止めた上での最後の一止の力強い宣言に勇気をもらえた。
医師として働く人々にあの覚悟を持続してもらうためにも、患者の立場としての私も努力しなければならないと思わせられた。
読んでよかった。
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