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2012年4月の18件の記事

2012/04/30

沢木耕太郎/勉強はそれからだ 象が空をⅢ

エッセイ、コラム集。
昔読んだ文庫を再読。

沢木さんの文章は常にすっきりと力強い。
"迷っている"という文章でさえその先に向ける眼差しは真っ直ぐでゆらぎがない(ように思える)。

沢木さんが過去に1度だけゴーストライターを経験した時の話を書いた「夕立と幽霊」がよかった。
事実をそのまま書いてあるのだろうけれど、上質な短編小説のようだった。

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2012/04/26

夏川草介/神様のカルテ2

前作を読んだ時は漱石に影響を受けたという一止の口調がどうにも気になって物語に入り込めないまま読み終わってしまった本作。
その影響で続編を読むのもしばらく躊躇っていたんだけど、ふと思い立って読んでみたら…え、何?面白いじゃないですか!という感想。

一止の大学時代の親友・進藤の件も、古狐先生の件もストーリーに無理がないし、展開もすごくスムーズで読み易かった。
何よりあんなにいちいち引っかかった一止の喋りがすんなり入ってくることが驚き!
あまりの変わり様に自分でも驚くけど、楽しく本を読めたのは嬉しかった(^^)

古狐先生の顛末も沁みたけど、入院患者のトヨさんと、長年連れ添ったマゴさん夫婦のエピソードが切なくて美しくて暖かくて本当によかった。

また、家族を愛しながらも医師であるがゆえに自分をも顧みず患者第一の生活をせざるを得ない一止の前に、同じ生活によって家族を失いかけている進藤を配することがこの作品を単なる「いい話」以上のものにしていたと思う。
そしてそうしたものを全て受け止めた上での最後の一止の力強い宣言に勇気をもらえた。
医師として働く人々にあの覚悟を持続してもらうためにも、患者の立場としての私も努力しなければならないと思わせられた。

読んでよかった。

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2012/04/24

富樫倫太郎/鬼が泣く 中山伊織仕置伺帳

泣く子も黙る火付盗賊改の頭を勤める中山伊織を主人公にした連作時代小説。

三千石の旗本でありながら、礼儀にも言葉遣いにも頓着せず、ただ与えられた任務である「火付盗賊改方」の役をまっとうすることだけに心血を注ぐ。
べらんめえ口調、盗賊や狼藉者に対する容赦無い態度、弱き者正しき者自分が信じるものに対する掛け値なしの優しさ-。
こうやって書くと、伊織のキャラはなかなかカッコよくて魅力的。
でもそこに「火盗改」という役職が付いてしまうと(申し訳ないと思いつつも)どうしても過去の偉大な作品と比べてしまう。
なぜ似たようなキャラにしちゃうのかな。
火盗改の頭の任を拝命したあと、家の仏壇を叩き壊し「今日からわしは慈悲の心を捨てて鬼になる」と宣言した-というエピソードは印象的だけど、それが作品全体にうまくリンクしていなかったように思う。

それから、登場人物の使い方もちょっとぎこちない感じ。
伊織はさすがに主人公だけあってそれなりに動いてるけど、配下の同心が殆ど出てこないのがちょっと不自然。
その分、十手持ちの九兵衞の活躍が目立つけど、全体的に広がりが足りない感じがした。
面白そうな設定の登場人物も多いのでもっとそれぞれ活躍させて欲しかった。

逆に物語の本筋には絡まないけど、何故か伊織に名前を覚えられて何かというと絡まれて冷や汗をかいている町方同心の長谷川がいい味を出していて好きだったな。

それから、作品の中でいくつか似たような設定のものがあったのも残念。
よかったのは伊織の妻の姉が登場する「悋気講の夜」。
全体がきれいにまとまっていて面白かった。

多分シリーズ化されるみたいなので、他の同心たちの今後の働きを期待したい。

<収録作品>
鬼になった男 / 鬼が泣く / 密告者(いぬ) / 昔の女 / ろくでなし / 赤目の岩蔵 / 悋気講の夜 / 雷神党一件

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2012/04/21

米澤穂信/追想五断章

経済的な理由で大学を休学中の芳光は叔父の営む古本屋を手伝う条件で居候させてもらっていた。
ある日、店に訪れた女性客・可南子から、父親が書いた五つの小説を探してくれないかと依頼される。
唐突な申し出に驚く芳光だったが、彼女が提示した高額な料金と話の内容に興味を持ち叔父には黙ったまま捜索を引き受け、同じ店のバイト仲間である笙子を誘って五つの物語を探し始めるが-。

全体的にとても静かでしっとりとした物語。
芳光が失われた物語を取り戻していく過程がとても自然で説得力があった。

もともとは可南子に依頼された仕事であったはずなのに、それを実行することが芳光自身の内省に繋がり彼自身も見失った何かを見つけ出す物語になっているのもよかった。

取り戻した物語の語る真実は幸福なものではなかったけれど、その結果をすべて受け入れて凛と立つ可南子の姿が美しい。
ラストの手紙も印象的だった。

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2012/04/20

海堂尊/アリアドネの弾丸

東城大学附属病院に新設されることになった「エーアイセンター」を巡り、その主導権を握ろうとする警察が病院を潰そうと画策する。
敵の罠に嵌り窮地に陥った病院を救うため、厚生省のロジカルモンスター・白鳥が奔走する話。

最初の100ページくらいはなかなか進まなかったけど、白鳥が出て来たら急に展開が早くしかも面白くなってそこからは一気読み。
さすがロジカルモンスターw

内容も思った以上にミステリー要素が強く、かなり面白かった。
謎解きも説得力があり読み応えあり。
今回も白鳥のパワーと動き、頭脳そして喋りは素晴らしい。
それに対して田口センセは活躍の場が殆どなし。
全体を通してただ動揺して、白鳥の愚痴を言って、転寝してるだけにしか見えなかった。
しかもいくらそういう役回りとは言えいろんな場面で反応鈍過ぎ。
主人公なのに、それでいいのか?(^^;;

全体的に伏線の引き方が大胆、というかハッキリしてるなあ、という印象。
描写の仕方で「多分これは伏線なんだろうなあ」とある程度推測できるので、結果的に謎解きも何となく見えてくる部分はあった。
私のような鈍い読者にとってはそのくらいの方が楽しいけど、騙された感は今ひとつだったかな。

白鳥と島津、『イノセント・ゲリラ~』の彦根と桧山シオン、『ナイチンゲール~』の城崎と瑞人、『螺鈿迷宮』の桜宮小百合…などなど、いろんなところから続々と人が登場人物が集まってきて相変わらず賑やかな病院であった。
(小百合が人間離れしたキャラになってて怖かった…(;_:))

しかし、この話って白鳥はじめ、各分野のトップや最先端の専門家がいたから解決したわけだよね。
でも現実でこういった意思が働いた場合そんな状況になることはあり得ない。
そんな中で着せられた濡れ衣を晴らすことって一般人には無理な相談だと考えると暗澹たる気持ちになるな。

これは小説であって、現実ではそんなことはあり得ないと信じるしかない。

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2012/04/18

西條奈加/御師 弥五郎

江戸の材木問屋 巽屋の主人・清兵衛は外出先からの帰り道で何者かに襲われたところを伊勢の御師 八嶋太夫の手代・弥五郎に助けられる。
数日後、弥五郎の元を訪ねた清兵衛は思いつめた表情で「伊勢参りをしたいのでその世話を頼みたい」と申し出る。
弥五郎自身もあまり伊勢に足を踏み入れたくない事情があったが、清兵衛の様子が気に掛かり共に伊勢を目指すことを決心する。
果たして2人を待ち受けるものとは…。

登場人物もエピソードもたくさん出てくるし、事情もかなり込み入ってるけどうまく交通整理されていて読み易く、最後まで楽しめた。

いろいろ事件が起こる割にスルスルと上手く行き過ぎという部分も無きにしも非ず。
でも、あちこちに張った伏線を綺麗に回収する手際のよさは見事。
明るく温かい余韻が残るラストもよかった。

「御師」は今で言えば伊勢参り専門の旅行会社みたいなもの。
伊勢参りに行く人々について歩いて、宿から観光、食事の手配までなんでもやってくれるらしい。

清兵衛、弥五郎の個人的事情の他に御師の仕事ぶりや江戸から伊勢までの観光名所案内もあって楽しかった。

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2012/04/17

たつみや章/月神の統べる森で

縄文文化と弥生文化がぶつかり合う時代を舞台にしたファンタジー。

児童文学とのことだけど、深いテーマを丁寧に描いてあって読み応えがあった。
登場人物のキャラクターも魅力的。

特に自分の本当の姿を知った少年・ポイシュマが家族と別れるシーンが感動的だった。
でもその後大切な人を失ったポイシュマが怒りにかられてワカヒコを殺しに行こうとするあたりの描写はそれまでと一変して急に拙速な感じになってしまったのが残念。
彼が生まれて初めて誰かを憎むという感情を持ったシーンなのでもっと丁寧に描いて欲しかった。

それから、新しく入って来た人々が一方的に悪役であることにはちょっと違和感。
これからの展開で関係性にも変化が生まれるのかな。

東逸子さんの表紙イラスト、挿絵も麗しくて印象的。
シリーズもののようなので、続きも楽しみ。

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2012/04/16

高野秀行/世にも奇妙なマラソン大会

初めて読む作家さん。
ちょっと変わったタイトルと、パッと目につく表紙に惹かれて読んでみた。

てっきり小説だと思って読み始めたらノンフィクションだったのでちょっとビックリ。
でも面白かった!

著者紹介によると「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをやり、誰も知らないものを探す。それをおもしろおかしく書く」がモットーの辺境作家さんとのこと。
この本の内容もそうだけど基本的にはすべて自分の体験を書いている人らしい。

表題作は酔った勢いでアフリカの西サハラで開催されるマラソン大会に参加することになった話。
普通、いくら酔っててもそんなことにはならないと思うけど、そうなってしまうのが「辺境作家」たる所以なんだろうね(多分w)。
ただ主催者に突然「参加出来ますか~?」ってメールを送るほうもどうかと思うけど、開催日まであと半月しかないのに「まだ間に合うよ~。19日の9時にマドリッドの空港に集合ね!」って返事してくる主催者も凄いと思うな…(笑)
このへんは「類は友を呼ぶ」ってヤツなのかもしれないなあ。

文章がのほほんとしているので思わず笑いながら読んでたけど、状況としたらかなり過酷だったはず。
だってホントに砂漠の中を走るんだから。
しかも、高野さんはそれまでに一番長く走ったのが15km。ハーフマラソンも未経験という全くの素人なのに!
(ってか、それで応募するほうが間違ってるよね、うん)
それなのにそういうことを一切感じさせず、どんなことでも楽しんでしまおうというおおらかさ(というか野次馬根性というか)が気持ちよかった。

他の話も面白かった。
特に過去に(やむを得ない事情で)密入国したのがバレて強制送還されたため再入国出来なくなっているインドに行くために、パスポートに記載される名前を合法的に変えようと奔走する「名前変更物語」がかなり笑えた。
都庁の旅券課のおじさんに出した手紙が読んでみたい!
(もらったおじさんはどんな反応だったのかも知りたいな~)

私は小心者で基本的な生活から逸脱したことをしない(出来ない)人なので、こういう破天荒な行動が出来る人にはとても憧れる。
自分では絶対に行けない土地で絶対に出来ない経験を楽しい文章で届けてくれる高野さん、ファンになりました。
かなり著作も多いみたいなので他のも読んでみようっと。

ただ、実際に傍にいたらちょっと迷惑かもね^^;
(なので高野さんの奥様はよく出来たひとだな~と思う)

<収録作品>
世にも奇妙なマラソン大会 / ブルガリアの岩と薔薇 / 名前変更物語 / 謎のペルシア商人-アジア・アフリカ奇譚集

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2012/04/15

映画:アーティスト

金曜日(13日)、映画「アーティスト」を見てきた。

正直、そんなに「見たい」と思って見に行ったわけではないので、ほとんど事前情報なし。
「サイレント映画である」ことと「アカデミー賞を取った作品」だというのを風の噂(笑)で知っていたくらい。

見終わって驚いたのはホントにサイレントだったこと。
もちろん嘘だと思っていたわけではないけど、一部だけ、例えば最初のうちしばらくはサイレントだけど、その後ストーリー上の何かのきっかけでセリフも聞こえるようになる、という構成かと思っていた。
それなのに、一部の例外を除いてはほぼ完全にセリフ無しだったのには驚いた。
このあたりの徹底ぶりはさすが。

で、セリフの代わりに字幕が出てくるんだけどそれも全てのセリフについているわけではないから、実際に喋っているセリフの量から比べるとかなり少なめ。
それでも、ストーリーはちゃんと判ったのにもビックリ。
(そのくらい単純な話だったとも言える)

内容としては確かにいい映画だなとは思う。
おしゃれで、しっとりしてて、文学的で、華やかで、ちょっと哀しくて。
いかにも「オスカー獲りました」という感じの出来栄えだった。
ただ、基本的にもっとガサツwな映画が好きな私にはちょっと物足りなかったな。

この映画で特筆すべきは、主人公のジョージ(サイレント映画のスター俳優)の愛犬・アギー(Uggie)。
(ジャック・ラッセル・テリアという犬種らしい)
この子がめっちゃ賢くて、めっちゃ可愛かった!
ストーリーの中でも、サイレント映画が廃れて忘れ去られたスターとなったジョージの傍にいつも寄り添っている重要な存在。
ジョージの命を2度も救う立派なワンちゃんなのだ。
この子がいなかったら全く印象が違う映画になったのではないかと思うくらい、印象的な名演技だった。
この子が出ていたことで私のこの映画への評価は2割増しだな。

YoutubeにUggieの動画があったのでご紹介。

映画:『アーティスト』公式サイト

アーティスト(ジャン・デュジャルダン主演) [DVD]
アーティスト(ジャン・デュジャルダン主演) [DVD]
アーティスト オリジナル・サウンドトラック
アーティスト オリジナル・サウンドトラック

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2012/04/12

今野敏/東京湾臨海署安積班 夕暴雨

安積班シリーズの長編。
この間読んだ短篇集『烈日』の一つ前の作品。

お台場で開催される大規模なイベント会場での爆破予告がネットに書き込まれた。
いつもはイタズラで済むことがほとんどだが、これを見つけた須田は「本物かもしれない」と予感する。
それを受けて安積班も出動して警戒に当たるが…という話。

これもテンポが良く、読みやすくて面白かった。
ただ、ネットの世界の話になってしまうからか、外部の関係者とのやり取りの描写があまりなかったのが残念。
警察内の駆け引きや腹の探り合い面白いんだけど、やっぱり実際の捜査状況がもっと読みたかったな。
ちなみに今回は須田ちゃん大活躍の巻でした(^^)
あ、あと野村署長がカッコよかった。いい上司だ。

作中に出てきた「特車2課」という部署、私は全然知らないけど『機動警察パトレイバー』というアニメの設定らしい。
(そこが所有する謎の巨大マシン(ロボット?)も登場)
こんなシリアスな刑事物の中にアニメの設定を入れちゃう今野さん、凄い…^^;

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2012/04/11

instagramに投稿した画像をサイドバーに表示してみた

久々にカスタマイズ(というほどでもないか (^.^;)ネタです。

iPhoneアプリの「instagram(インスタグラム)」を利用してTwitterには割と頻繁に画像を投稿していましたが、それをブログにはリンクしていませんでした。
今日になって、ふと「もしかしたら表示用のブログパーツがあるのかも?」と思って検索してみたところ、やっぱりあった!

SnapWidget   |   Instagram Photo Gallery Widgets

設定は簡単、画面下部にある項目で自分が好きなように表示サイズやレイアウト、背景色を決めて「Get Code」ボタンを押すだけ。

120411prtsc

するとブログ貼り付け用のコードが別画面で表示されるので、これをコピーしてマイリスト(メモリスト推奨)に貼り付け、サイドバーに設置すれば完了です。

120411prtsc-2

私のはこんな感じにしてみました。

120411prtsc-3

サムネイルをクリックすると、拡大ページに飛びます。
新しい画像を投稿すると、上から順に入れ替わります。

ただ、設定した数(ここでは10枚)以前の画像はこのブログパーツでは見られないので、それはまた他の「listagram(リスタグラム)」という表示用サイトにリンクを貼ってみました。
サムネイルの下の「もっと前の画像一覧はこちら」の部分をクリックすると、私が過去に投稿した画像一覧のページが出てきますのでもしよかったら見てやってください。

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市井豊/聴き屋の芸術学部祭

大学の芸術学部に所属する、人の話を聴くのが上手い青年・柏木を主人公にしたミステリー短編集。

設定と登場人物のキャラクターが個性的で凄くよかった。
文章も読みやすい。
特に会話部分がテンポがよくて、ユーモアもあって楽しかった。

ただ、どちらかというとコメディタッチの話でしかも警察関係者は出てこないのに、4編のうち2編に死体が出てくることにちょっと違和感を覚えた。
単なる大学生が死体を見た直後に平気で推理とかしてるのって変でしょ。
(しかも片方の作品では目の前の死体を放っておいて。サッサと警察に通報しなさいって)
こういう設定なら全編「日常の謎」系で行って欲しかった。

そういう点からいうと、模型部の部室にあった作りかけの模型を壊した犯人を探す「濡れ衣トワイライト」が一番全体的にしっくりくる内容だったな。
こういう話をもっと読みたい。
もう1編の「からくりツィスカの余命」も死体は出てこないし話自体は面白かったけど、何となく登場人物のキャラと内容が合ってない気がした。

<収録作品>
聴き屋の芸術学部祭 / からくりツィスカの余命 / 濡れ衣トワイライト / 泥棒たちの挽歌

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2012/04/10

今野敏/任侠病院

文化活動に興味のある小さな組の組長が、潰れかけた企業や団体に乗り込んでそこの体質を変えて再生させる、というシリーズの3作目。

阿岐本組長の今度のターゲットは病院。
その病院の出入り業者のバックに別の組が絡んでいて嫌がらせをしてくるわ、組事務所の周辺では阿岐本組の追放運動が始まるわで代貸の日村は今日も気持ちの休まる暇がない…という話。

相変わらず読みやすくて面白かった♪
日村も安積に輪をかけて心配性だよね~w
でも、だからこそ「結末はこうなるだろう」と分かっているのに、途中をハラハラしながら楽しめるというのも事実。
あれで日村が冷静沈着で何ごとにも動じないタイプだったらちっとも面白くないもんね(^^)

今回は日村以外の組員では真吉とテツが活躍。
特に(日村が「魔法を使っているようだ」と表現する)真吉の女性の扱い方(というか考え方)について書かれた部分はなかなか興味深かった。
これって、男性→女性だけじゃなくて、人間の付き合い方全般に応用できるのではないかと。
でも、これをそうと意識せずに、普通のこととして実行するのは難しいよね。
そういう意味で真吉くんはやっぱり魔法使いかもw

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2012/04/09

梶山季之/せどり男爵数奇譚

少年時代に古本の魅力に取り憑かれて以来古書の蒐集を続ける「せどり男爵」と呼ばれる人物を主人公にした短編集。

初出が約40年前の作品だけどテーマが古書であるためか、そんなに違和感なく読めた。
ただ最後の方で急にエログロな展開になってちょっとビックリ。

せどり男爵(笠井氏)自身も、最初出てきたときは落ち着いていて鷹揚でどっしりした雰囲気(私の中では江守徹さんのイメージ)だったのに、最後のほうになるとだんだん喋り方も変わってきて何となく違う人みたいに感じた。

裏表紙の作品紹介では「ミステリー」となってるけど、変わった話ではあるけど(少なくとも今で言う)ミステリーとは違う感じ。

<収録作品>
色模様一気通貫 / 半狂乱三色同順 / 春朧夜嶺上開花 / 桜満開十三不塔 / 五月晴九連宝燈 / 水無月十三么九

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2012/04/07

中野翠/今夜も落語で眠りたい

'85年にTVで志ん朝の『文七元結』を観たのをきっかけに落語にはまって以来、毎晩テープやCDで落語を聞きながら眠りにつくのが習慣となった著者が自分の好きな落語について綴った本。

もともと中野さんの文章は好きなので、これもとても面白かった。
大好きなものについて語る熱っぽさの中にも、そういう自分をきちんとコントロールしている冷静さが垣間見える中野さんの文章のバランスが絶妙。

中野さんの好きな噺家とお薦めの噺、お馴染みの登場人物の紹介、落語についてのエッセイの三章仕立て。
私は第二章が好きだな。

文末に文中で紹介された噺の収録されたオススメのCD、DVDの紹介もあって、読んでたら聴きたく(観たく)なった人にも親切設計だった。

ちなみにこれも風呂読。
のぼせ症であまり長湯ができない私には、お風呂で読むのはこのくらいの短いエッセイや評伝なんかがちょうどいいみたい。
毎日ちょっとずつ読んで、きりのいい所で止められるので便利。
また何か面白そうなお風呂読用の本を買ってこよう。

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2012/04/05

有栖川有栖/絶叫城殺人事件

絶叫城殺人事件 (新潮エンターテインメント倶楽部SS)
絶叫城殺人事件 (新潮エンターテインメント倶楽部SS)

作家アリスシリーズの短編集。

内容より前に、タイトルが全編「建物の名前」+「殺人事件」で統一されていて、更にその建物名が全て三文字でしかも「●●亭」「●●庵」「●●荘」と表現を変えているあたりのこだわりが有栖川さんらしくて感心してしまった。

内容は相変わらず火村とアリスの会話で進む部分が多く、無駄がなく読みやすい。
ただ、紙数が少ないため謎解きまでの過程がスムーズ過ぎるのがちょっと物足りないかも。
あと、描写が丁寧なので、読んでるうちに結末が見えちゃう作品も幾つか。
そこも好きだけどね(^^;;

<収録作品>
黒鳥亭殺人事件 / 壺中庵殺人事件 / 月宮殿殺人事件 / 雪華楼殺人事件 / 紅雨荘殺人事件 / 絶叫城殺人事件

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2012/04/02

今野敏/東京湾臨海署安積班 烈日

烈日―東京湾臨海署安積班
烈日―東京湾臨海署安積班

2010年に出た安積班シリーズの短篇集。

このシリーズはドラマ化される時に既刊を一気読みして以来なので3年ぶりの再会(笑)
安積をはじめ、班のメンバーも速水も全然変わってなくて懐かしい友人(というのとはちょっと違うか)に会ったような気分になった。

安積班シリーズ、特に短編に関して言うと描かれているのは「事件」ではなく「人」なんだよね。
だから余計に登場人物たちに「懐かしさ」を感じるんだろうと思う。
今回も相変わらず安積は部下の心配ばっかりしてて、よくそんな性格で刑事なんてハードな仕事してるなーと改めて感心した。

今回から安積班に女性刑事・水野が新加入。
これは、ドラマでのオリジナルキャストが本編で採用されたということらしい。
(ドラマの「ガリレオ」で登場した内海が、小説にも出てきたのと同じパターンだね)
ドラマでは最初から「仲間」という感じだったけど、小説では新しく入ってきた異分子を扱いかねている安積の困惑ぶりが彼らしくてよかった。

そして速水は相変わらず美味しいところを総ざらいしていて笑った^^;

<収録作品>
新顔 / 海南風 / 開花予想 / 烈日 / 逃げ水 / 白露 / 凩 / 厳冬

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2012/04/01

横田順彌/古書狩り

古書狩り
古書狩り

古書をテーマにした短篇集。

タイトルのイメージからもっとハードでブラックな内容の話を想像していたけど、そんなことはなく、軽くて読み易かった。
SFっぽい内容のものが多いな~と思ったら元々SF作家さんだったのね。
(タイトルで選んだもので…(汗))

一番最後の「奇跡の夜」のオチが好きだったな。

<収録作品>
古書綺譚 / 古書狩り / 時のメモリアル / 姿なき怪盗 / 本の虫 / 小沢さんの話 / 思い出コレクション / 書棚の奥 / 奇蹟の夜

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