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2012/05/20

三浦しをん/舟を編む

すごく面白かった。

この作品には「辞書編纂」という仕事の大変さ、面白さ、重要さが楽しく判りやすく描かれている。
辞書って日常の中に当たり前のように存在してるし、内容が膨大なので「人が作ってる」という意識が希薄な出版物だと思う。
でも人の手を経ずに出来てくる本なんて存在しないということを、それに携わる人々の思いの深さや真摯さを含めて改めて気付かされた。

登場人物の中で私がシンパシーを感じたのは馬締よりも西岡だった。
「辞書づくり」という仕事において天才的な才能を発揮する馬締に対する羨望と憧憬、自分の能力への劣等感、焦燥、葛藤…そうした「一般人」の複雑な胸中が見事に表現されていた。
でも、西岡は馬締に対し嫌がらせをしたりせず、自分出来る最大限の貢献をしようときちんと仕事をしていく。
その西岡のプライドのあり方に拍手を贈りたい。
自分は人より劣っているのではないかと考え悩んだときに、きちんとそれを認めた上でそこから上を目指せる人は凄いなと思う。

この作品で取り上げたのは「辞書編纂」という特殊な仕事だけど、著者が描きたかったのはそれだけではなくどんな仕事でもそれに情熱を傾け、自分ができる限りのことをしようと日夜取り組む人々へのエールだったんじゃないかな。

自分の場所に迷う、すべての人に読んで欲しい作品。

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コメント

>自分の場所に迷う、すべての人に読んで欲しい作品

いい言葉だなあ。

投稿: ムムリク | 2012/05/26 08:44

■ムムリクさん

えへへ…ちょっとカッコつけすぎですね^^;
でも仕事に対する姿勢がすごく丁寧に描かれていて、読むと元気になれる本だと思います。

機会があったらムムリクさんもぜひ。

投稿: tako | 2012/05/29 21:18

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