浅野里沙子/よろず御探し請負い候
家計を助けるために「探し物屋」を営む元服前の少年・文平。
ある日、偶然文平と出会った旗本家の部屋住み 哲哉と岩五郎は自分たちも探し物屋を手伝い始める。
連作短編。
残念ながら今ひとつ。
設定は面白いと思うんだけど、内容がよく把握出来なかった。
一つの話に2つの要素が入っていてそれが絡みあって結末に至る…という構成なんだけど、話が進むに従って人間関係や事情がどんどん複雑になってきて何が起きているのか分からなくなってしまうことが多かった。
あまり複雑にし過ぎないで、それぞれ完結した短い話をいくつか重ねていく形式のほうがわかり易かったんじゃないかな。
3編のうち真ん中の「花篝」は一番まとまっていたし、内容も美しい余韻があってよかった。
特に後半の夭折した美少女と文平の淡く儚い恋の行方、それを見守る家族の様子が心に残った。
(ただこれも前半・後半分けたほうがよかったと思うけど)
登場人物も悪くはないんだけど、感情移入するところまでは行けず。
特に3人の年齢設定がどうしてもしっくりこなかった。
作中では文平が16歳で、哲哉と岩五郎がその10歳くらい上となっているけど、内容を読む感じではいずれももっと若い印象を受ける。
文平が14歳で、他の2人は22、3って感じに見えたけどな。
あと、結末が割と「大人の事情」的な灰色解決になっていたのもちょっと消化不良。
確かに何の権力も持たない若者3人が出来ることは現実としては何もないのかもしれないけど、そこはお話なんだからもうちょっと「勧善懲悪」をハッキリさせた結末があってもよかったような気がする。
<収録作品>
蒔絵の重ね / 花篝 / 綴れ刺せ
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