朝井まかて/すかたん
江戸詰めの藩士に嫁いだ饅頭屋の娘・知里は夫の大阪赴任に伴い引っ越すが、間もなく夫は病死してしまう。
婚家には縁を切られ、江戸にも帰れない知里はひょんなことから大阪の青物問屋の大店・河内屋の奥女中として働くことになる。
大阪を舞台にした時代物。
面白かった!
江戸時代の大阪の商家の様子が丁寧に描かれていてとても興味深かった。時代物でもやっぱり江戸を舞台にした作品とはちょっと違う感じ。
江戸っ子の知里が大阪の言葉のイントネーションや意味にいちいち反応する様子が面白かった。
あと、食べ物の描写が上手かったなあ(^^)
知里と河内屋の若旦那との関係はよくある展開ではあるけれど、それを端折らずに丁寧にじっくりと描いてあって好感が持てる。
結末も予想通りだけど、それも含めて気持よく読めるいい作品だった。
「ちゃうちゃう」「まったり」「だんない」「ぼちぼち」…などの各章のタイトルもいい。
「あんたのやることは何でも行き当たりばったりで、次のこと、先のことを考えへん。そやから心がない、言うんだす。行灯の始末は次に火ぃをつける段取りを考えて火皿を綺麗にする、雑巾を縫うときはそれを使う丁稚どんや女子衆らの使い勝手を思うて針を運ぶ、そうやって先々のことを考えて精を出すんが仕事に心を込めるということや。」(p36より)
「仕事いうもんは片付けるもんとちゃいます。どない小さなことでも、取り組んだ物事の質をちょっとでも上げてこそ仕事や。知里は休憩だけは一人前だすな」(p47より)
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