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2012/07/11

鮎川哲也/不完全犯罪 鬼貫警部全事件Ⅱ

鮎川哲也氏の主要キャラである鬼貫警部を探偵役にした短編作品のアンソロジー。

鮎川作品をまとめてちゃんと読むのは初めてかも。
今回の作品集は全編アリバイ崩し、そして殆どが時刻表トリック。
これはそういうのを集めたのかな。
それとも元々そういう作風?

昭和30年代の作品なのでそれなりに時代がかった描写があったりするけど、それでも凝った設定と丁寧な展開で面白く読めた。
短編であるせいか鬼貫警部の内面に迫った描写は少なめ。
それどころか別の人物が推理を担当する作品もあったり。
鬼貫よりも尾行が得意な丹那刑事が印象的。

ところで、作中で殺人を犯した人物が「ここで捕まったら絞首台送り…云々」といったセリフが複数の作品であったんだけど、この当時は殺人犯人→即死刑だったの?

大都会は朝のしずけさから一変して躍動をはじめようとしていた。ただ屍体の周囲にだけ、大きなナイフで切りとられた巨大なケーキのように、隔絶した別の世界があった。
「早春に死す」p29より

活気のない、町全体がうすいふとんをかけてうたた寝しているような、索寞(さくばく)とした感じを受けた。
「早春に死す」p39より

わななく手の上からころげ落ちた焼き芋が、にぶい音をたててたたみの上を横切り、その一つは死んだ女の顔のわきで起き上がり小法師のようにひょいと止まった。同時に花子の口から、わなにかかったハイエナみたいな悲鳴がもれた。「下り"はつかり"」p160より

<収録作品>
五つの時計 / 早春に死す / 愛に朽ちなん / 見えない機関車 / 不完全犯罪 / 急行出雲 / 下り"はつかり" / 古銭 / わるい風 / 暗い穽(あな) / 死のある風景 / 偽りの墳墓

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