真保裕一/猫背の虎 動乱始末
幕末の江戸を大地震が襲った。
一夜にして混乱の巷と化した町の平安を保つため、当番方同心である虎之助は「臨時の臨時」として町方見回りに抜擢される。
手練の岡っ引き松五郎と中間の新八を従えて町を巡る虎之助の元に次々と厄介事が運び込まれる。
長編時代小説。
事件が起きて謎解きもあるけど、推理物というよりも人情物あるいは成長物語の印象が強かった。
「仏」の二つ名を持つ名同心だった父と同じ役目に着いた虎之助が町を歩き、人に出会い、事件を解決することで人として成長していく姿が丁寧に描かれていて読み応えがあった。
ただ、虎ノ助を始めとする男性の登場人物がみな印象的な好人物なのに対して、女性は今ひとつ共感出来る人物がいなかったのが残念。
特に虎之助の家族(母、姉)は最初の方の「怖い」印象が強すぎ。
最後の方に見せた面白さ、可愛らしさをもっと前面に出してくれたら印象が違ったと思うのだけど。
この物語のメインは虎之助が見回り同心になって以降だと思うけど、それよりもその前段、夜半の大地震発生後の混乱する江戸の町の様子がとても印象に残った。
この部分を読むだけで涙が出そうだった。
私なんて大して怖い思いしてないのにこんなに気持ちが揺れてしまうのね…。
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