中山七里/静おばあちゃんにおまかせ
警視庁捜査一課の刑事 葛城が持ち込んでくる事件を、ある事件をきっかけに知り合った法学部の大学生・円と彼女の祖母で元裁判官の静おばあちゃんが解決する安楽椅子探偵モノの連作短編ミステリー。
面白かった。
3人の人物設定がとてもいい。
安心して読めた。
本当は安楽椅子探偵もので殺人事件が出てくるのってあまり好きなじゃないんだけど、探偵役のおばあちゃんを元法曹関係者とすることでその違和感を薄くして上手くまとめてあったと思う。
葛城と現場に行って情報を持ってくる円の態度も大学生の女の子として自然で好感が持てたし、そういった捜査の過程で少しずつ近づいていく2人の気持ちの描き方も自然でとてもよかった。
最後は「なるほど、そう来ますか」という設定でちょっとビックリしたけど、確かにそうであれば納得できる部分もあった(円の両親のこととか)ので上手い結末だと思う。
また、全体的には明るい雰囲気でありながらその中に「正義とは」とか「裁く者と裁かれる者の心理」とか「冤罪について」などの問題提起もされていて考えさせられる部分がたくさんある作品だった。
ただ最後の話は、話自体は面白かったけどこの物語の中で扱うにはちょっと違和感があったかも。
あと、両親がそんな死に方をしたのに円に屈託がなさすぎる(特に警察に対して)というのが、ちょっと気になったな。
それも静おばあちゃんの薫陶だということなのかもしれないけど。
<収録作品>
静おばあちゃんの知恵 / 静おばあちゃんの童心 /静おばあちゃんの不信 / 静おばあちゃんの醜聞 / 静おばあちゃんの秘密
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