西條奈加/千年鬼
無垢のまま罪を犯した人間の心の中に芽生える「鬼の芽」。
そのまま放っておけばやがて弾けその人間を「人鬼」に変える鬼の芽を千年に渡って摘み続ける2人の鬼の物語。
面白かった。
千年前のほんの些細な出会いのために自分の身を削り鬼の芽を集め続ける小鬼のひたむきな姿が胸に迫る。
時代を超えて「鬼の芽』を摘む小鬼とその共をする黒鬼の姿を描く7つの物語はどれも切なく物悲しい。
でも、小鬼の活躍で鬼の芽を吐き出すことの出来た人々の瞳は明るくその先の希望を感じさせる。
小鬼はただ過去を見せるだけで、それ以上の手助けは出来ないという制約の中で解決する設定も生きていた。
ラストも印象的。
ただ自分を千年かけて助けてくれた小鬼の気持ちに報いるために、いつ終わるともしれない作業を続ける民の姿が心に響く。
「地獄とは、希望(のぞみ)の絶えた世界です。希望のないまま無為に時間を過ごす。それこそが地獄というものなのです」(p262より)
それにしても「鬼姫さま」はすごかったなあ。
織里姫のSっぷりがすご過ぎです(^^;;
それも興国というM男くんがいればこそ。
なんだかんだ言って、ベストカップルかもw
<収録作品>
三粒の豆 / 鬼姫さま / 忘れの呪文 / 隻腕の鬼 / 小鬼と民 / 千年の罪 / 最後の鬼の芽
小林系さんのイラストも物語の雰囲気にぴったりで素敵だった。
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